魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-   作:零式機龍

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A’s編
第17話 告げられる始まり


 

 

 

声が聞こえる・・・・・・

何だ・・・冬の朝は寒くてつらいんだから・・・・・・

 

「・・・朝ですよー?

 起きて下さーい。祐介ー?」

「・・・起きてるよー・・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・ぐぅ・・・

 

《起きろっつってんだろ!! このグズがぁっ!!!》

「どひゃあぁっっ!!?」

 

こうして今日も、神代祐介の一日は始まる・・・ってね。

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-

 

第17話  告げられる始まり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ仕上げか・・・

僕は両手に持った空き缶を掲げる。

 

「よっし・・・行くぞなのは!」

「うん! オッケー!」

 

集中に入るなのは。

足元に魔法陣が展開される。

 

「リリカル、マジカル・・・

 福音たる輝き、この手に来たれ。

 導きの下、鳴り響け!」

 

僕も、4基の射撃台をスタンバイする。

そして、空き缶の一つをなのはの、もう一つを自分の上に放り投げる。

 

「フィン・ファンネルッ!!!」

「ディバインシューター・・・シュートッ!!!」

 

なのはから放たれた誘導弾が、落下する空き缶を何度も何度も打ち上げていく。

こっちも負けてられないな・・・・・・

ファンネルをコントロールし、次々と位置を変えつつ空き缶を撃つ。

 

レイジングハートのカウントが増加していく・・・・・・

 

「Ninety-eight…One hundred.」

 

目標達成だ。ラストっ・・・!

最後に大きく打ち上げた空き缶を見据え、次の機鋼を顕現。

 

「グラビティ・クレッセントッ!!」

 

くの字に曲がったブーメラン。そこに魔力を集中させ・・・

 

「――― シュート・・・!!!」

 

――― 放つ。それは狙い違わず缶に命中し、粉砕する。

・・・しゅーりょー。

 

 

 

 

 

見ると、なのはも練習を終えていた。

 

「どうだ、なのは。調子は」

「まあまあかなぁ・・・

 ・・・採点すると何点?」

「About eighty points.(約80点です)」

 

レイハさんは厳しいねー・・・・・・

 

「さて・・・そろそろ時間だな・・・帰ろうかね」

「うん!」

 

この朝練習も、始めて随分たつなぁ・・・もう12月だもんな。

ここ最近は、ユーノもアースラに行くことが多くなって、

なのはの練習もレイジングハート監修になっている。

訓練メニューはよく貰ってるみたいだけど。

 

 

 

なのはと別れ、家へと向かう。

今日も元気に頑張りませう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

いつも通りの風景。我が家は平和である。

おや、今日は母さんも朝ゆっくりなのね。

 

「祐介ー、郵便来てたわよ」

「うぃ。誰だんべ」

「海外郵便ね・・・あぁいつもの」

 

その封筒を受け取る。中はいつものDVDだろう。

なのはと僕、そしてフェイトとは、ビデオレターの遣り取りが続いている。

 

(元気にやってっかなー?)

 

クロノやユーノの途中経過を聞く限り、裁判はいい感じで進んでるようだ。

恐らく判決無罪、しばらくの保護観察処分、ってな具合になるらしい。

みんな頑張ってるんだな。

 

そんな事を考えつつ、朝食をとる。

 

「フェイトちゃんだっけ? もう半年になるのねー、文通」

「そうだなー。

 ・・・って、なんで姉さんそんなブスっとして」

「べっつにー」

 

これもいつもの事だ。

ぬぅ・・・ブラコンの姉妹は、マンガでは良い味を出すキャラだろうが、

身内にいると対処に困るんだぞ。

いやもちろん姉さんの事は好きだが、姉さんの場合愛が重い・・・

 

・・・しょうがない。

ディスクは後でこっそり観るとして、姉さんには後日買い物に付き合って機嫌をとるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の夜。

 

「どーなったかなー。最終判決」

「大丈夫でしょう。問題なく終わったと思いますよ?」

 

ま、そうだよな。みんな、あれだけ色々と頑張ってたんだ。

無罪は確定だろう。

 

「まぁまた連絡も来るだろうし―――」

「魔力反応! 広域結界が展開!!」

 

美月の声と同時、辺りが結界の影響下に入る。

 

「な、なんだ!?」

「接近中の魔力反応感知。まっすぐこちらに向かってきます!」

 

何かよく分からないが、ただ事じゃない。

場所を移すべく、慌てて家を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し離れたビルの屋上。

 

「目標接触まで30秒」

「分かってる・・・っていうか、もう見えてる」

 

そして・・・その人が目の前に降り立つ。

長い髪はポニーテールにまとめられ、凛とした顔立ちの、長身の女の人。

甲冑、というには軽装なジャケット。そして手にした長剣。

その姿、纏う雰囲気は、まさしく――― 騎士。

・・・魔導師であるのは間違いない。

しかし、何故ここに、僕のところに来る・・・? それも臨戦態勢でだ。

 

「え、えーと・・・こんばんは・・・?」

 

取り敢えず、声をかけてみる。

この人が何者かは分からないし油断はできないが、いきなり攻撃するわけにもいかない。

まずは相手の出方を見て・・・・・・

 

「多くは言わん・・・・・・大人しくしていてもらおう」

「―――!!?」

 

その手の剣を、こちらに向けつつ告げる彼女。

おいおいおい・・・なんかヤバイ人なんじゃないの・・・?

こちらを殺す気かどうかは分からないが、少なくとも攻撃はしてきそうだ。

 

「襲われるような事をした覚えは無いんですけど・・・」

「こちらには理由がある。恨みは無いが、その魔力、貰い受ける!!」

 

発せられる圧力が強まる。

あーもう、訳が分からん。

けど、黙ってやられるわけにもいくか!

 

「鋼纏烈華ッ!!!」

 

バリアジャケットを装着する。

夏休みの事件後、新しく構築したジャケットは、以前のコートとはデザインが異なっている。

黒のズボンとインナーシャツは同じだが、外套を変更した。

白地に薄紫のラインが何本か走る・・・陣羽織だ。

背中には 『鋼』 のひと文字。

 

「――― 来ます!!」

 

美月の警告と共に、突っ込んでくる通り魔(それ以外の何者でもないだろう)さん。

振り下ろされる剣先を、後ろに大きく跳び回避する。

上空に飛び上がり、

 

「容赦なしか・・・!

 良く分からんが抵抗はさせてもらう!

 名刀カゲムラサキ!!

 

機鋼顕現。手にした刀で、続けて繰り出される彼女の剣を受け流す。

 

「それがお前のデバイスか――― はあっ!!

「そういう訳でも――― ないんだけどねッ!!

 

次々に繰り出される連撃を、正面から受ける事を避け、回避を中心に飛び回る。

体格の面でも、武器の面でも、真正面から打ち合うのは難しい。

 

(まったく・・・事情がさっぱり分かんねー・・・・・・)

 

そんな事を考えている隙に、一気に距離を詰められていた。

しかも、その剣が・・・炎に包まれている。

 

「なっ・・・・・・しま――― ッ!!」

「はぁぁっ!!!」

 

咄嗟に、カゲムラサキを掲げ防ぐ。

しばらく耐えたものの、機鋼は高い音と共に砕け散る。

ちっ・・・・・・込めた魔力が少なかったか・・・!?

 

「くッ―――!!」

 

そのまま堪えずに、衝撃を使って後ろに飛び、距離をとる。

 

 

 

相手はすぐに飛び込んで来なかった。再びにらみ合う。

・・・今は、彼女の持つ剣から炎は上がっていない。

 

「今の一撃・・・妙に威力高くなかったか・・・?」

「はい・・・一瞬、魔力値が跳ね上がりました。

 どういう機能かはわかりませんが・・・剣の基部で何か炸裂したのが見えましたよ」

「しかも、まさかの炎の剣だよ・・・RPGかっての」

「魔力変換資質・・・ですか。それの炎熱タイプですねー」

 

彼女が剣を構え、一歩踏みだす。

 

「武器を失ってなお、抵抗するな・・・

 命までは取らん・・・大人しくしていろ」

「はいそうですかって言うとでもッ!?」

 

そうそう諦める訳にもいかない。

事情が分かるまで、倒れる訳にいくか!

両手に、ビームマシンガンを顕現。弾幕を展開し、距離を広げる。

とにかく、あの必殺っぽい一撃を食らいたくはない。

彼女の今の魔力は普通に戻っている。

よく分からないが、必要な時に魔力を上げる事ができるんだろう。

 

距離を詰めさせずに、魔力弾を高速連射する。

人の魔力を貰い受けるとか、冗談じゃない。どういう意味かは分からないケド。

 

・・・ん? ちょっと待てよ・・・・・・

 

「・・・美月。さっきあの人、魔力を貰い受けるとか言ってたよな。

 手段はさておき、言葉通り魔力を奪うのが目的だとしたら・・・

 まさか・・・なのはの所にも・・・!」

「か、確認します!

 ・・・!? なのはさん、戦闘中!!

 

やっぱ悪い予感当たったー!?

くそっ! すぐ行きたいけど・・・・・・

 

「どうした・・・諦める気になったか」

 

目の前に立ち塞がる剣士。

この人から逃げないと・・・なのはの所に駆けつける事ができない!

 

こうなったら・・・・・・一撃を入れて、隙をつくって逃げるしかない。

 

「フレイムソードッ!!」

 

今度はこちらも長剣を顕現させる。

目には目を、歯には歯を。――― 炎には炎を!

 

《美月・・・相討ちでもいい、一撃入れるぞ》

《・・・はぁ・・・・・・無茶だと言いたいですけど、それが一番可能性が高そうですね》

《一撃入れたら、退散しよう。見つからないように隠れてな》

 

お互い剣を構えて対峙する。

 

「そろそろお暇させて頂きたいんで、これで終わりにしませんか」

「私の一撃を正面から受けるか・・・いいだろう」

 

彼女が剣を振りかぶる。

それに応じ、こちらも剣を頭上に掲げる。

 

「レヴァンティン!! カートリッジロードッ!!!」

「フレイムソード――― チャージアァァプッッ!!!」

 

お互いの武器が炎を纏う。

 

「はああぁぁっ!!」

「でりゃあぁぁっ!!」

 

刹那、交錯。

 

「――― ッ!!」

 

腹部に痛み。

ジャケットを裂かれてはないが、かなりの衝撃を食らった。

けど・・・・・・

 

「手ごたえは・・・あった・・・

 美月! とんずらだ!!

 

後ろも見ずに、急速降下。

ビルの谷間に姿を隠し、機鋼を顕現させる。

 

「ミラージュ・コロイド散布、並びに急速定着・・・!」

 

ステルス機能を施し、そこから走り出す。

これで撒ければいいけど・・・・・・

 

(なのは・・・無事でいてくれよ・・・!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   Side change  通り魔(笑) Side

 

 

 

奴の姿を見失う。

 

「・・・レヴァンティン」

「Es gibt keine Reaktion.(反応、ありません)」

「・・・逃がしたか・・・・・・」

 

レヴァンティンを下ろし呟く。

若かったな。主と同じ年頃だろうか。

この土地にあれ程の魔導師がいたとは・・・・・・

だが妙な奴だったな・・・・・・

最初に奴が使った細身の剣(この国の古い剣、刀といったか)、あれが奴のデバイスかと

思ったが・・・その後に用いた銃や長剣・・・複数のデバイスを所持しているのか・・・?

それに最後の交錯・・・

 

「紫電一閃を真っ向から迎撃するとはな・・・・・・」

 

だが正しい選択ではあった。自分の攻撃で相手の攻撃を相殺してダメージを抑えたか。

腹部に手をやる。この私に一撃を入れるとは・・・・・・

奴にも一撃は入れたが、私と同じで大したダメージにはなっていまい。

 

「惜しいな・・・奴を蒐集すれば、かなりのページを稼ぐことができたろうが・・・・・・」

 

だが居なくなったものはどうしようもない。

それに・・・・・・

 

「レヴァンティン、ヴィータとザフィーラの方はどうなっている」

「Sie traf den Feind. Sie kämpft.(目標と接触、戦闘中です)」

「よし・・・援護に向かう」

 

余計なお世話と文句を言われるかもしれないが、構うまい。

彼女の事だ。不覚をとるとは思えんが・・・

だが、自分と同じように撒かれる可能性も無い訳ではない。

 

溜息をひとつ、飛び上がり、目標へと向かう。

 

 

 

 

 

      Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそぉ・・・・・・無駄に時間かかった・・・・・・」

 

ようやく、なのはのいるであろうエリアまでたどり着く。

ほぼ完璧なステルス性能を誇るミラージュ・コロイドといえど、流石に高速飛行に伴う魔力光までは隠せない。そのため高速で飛ぶ訳にもいかず、こっそりと移動していたせいで、かなりの時間を使ってしまった。

 

ここにくるまで、遠目にだったが桃色と赤色の魔力光の激突が見てとれたが・・・

 

「なのはは―――」

 

空を見上げた瞬間、轟音と共に吹き飛ばされた白い姿がビルに激突する。

それを追う赤い魔導師。

 

「なのはッ!!!」

 

くそッ! 今更こそこそしていられるか!!

飛び上がり、2人を追ってビルに侵入する。

 

 

 

 

 

そこで目にしたのは――――――

力なく壁に寄り掛かるなのはと・・・・・・

真赤なジャケットを纏った魔導師。

その手にしたハンマー状のデバイス、それを頭上に持ち上げる。

 

「やめろぉぉッッ!!!」

 

そして・・・・・・その手が振り下ろされる――――――

 

 

 

 

 

      第17話   終

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ~あとがき・・・もどき!!~

 

 

 

美月「まったく物騒な話ですねー。いきなり通り魔に襲われるなんて」

祐介「なのは大丈夫なのか・・・?」

作者「大丈夫だって。ちゃんと助けるから。お前じゃないけど」

祐介「・・・さいですか。しかしもう劇中の季節は冬になってるんだな」

美月「早いですねー。機鋼の扱いも随分慣れてきてるみたいですし」

作者「登場機鋼の説明、まだいる?」

祐介「いや僕たちにはいらないけど・・・やりたいならどうぞ」

美月「では参りましょー。出典作品と機体を。えー・・・・・・

 

   フィン・ファンネル・・・・・・機動戦士ガンダム 逆襲のシャア >>> νガンダム

   グラビティ・クレッセント・・・超重神グラヴィオン >>>グラヴィオン

   名刀カゲムラサキ・・・・・・・勇者指令ダグオン >>>ダグシャドー

                            (もしくはシャドーダグオン)

   ビームマシンガン・・・・・・・ガンダム系 特に指定はなし 強いて言うなら、

             機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY >>>ガーベラ・テトラ

   フレイムソード・・・・・・・・太陽の勇者ファイバード >>>ファイバード(武装合体)

   ミラージュ・コロイド・・・・・機動戦士ガンダムSEED >>>ブリッツガンダム他

 

   以上でしたっけ?」

作者「おつかれさん。それより気になるのは、鋼纏烈華って何? バリジャケも微妙に変えたし」

祐介「言わせてんのはお前だろうに。特に意味は無いよ。

   仮面ライダーが『変身ッ!』ってやるのと同じで。

   ちなみに“こうてんれっか”と読む」

美月「他の魔導師の皆さんも、セットアップを言う時と言わない時あるじゃないですかー」

作者「そのとーりー。要は気分の問題」

祐介「バリジャケ変更は・・・なんとなく。陣羽織ってカッコよくない?」

美月「でも背中に『鋼』って・・・新撰組じゃないんですから」

作者「いや、こういうのは気分の乗ったもん勝ちだ!

   技名は叫ぶと威力が上がるという法則もある事だし!」

 

 

 


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