魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-   作:零式機龍

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第13話 己が宿命受け入れて

 

 

 

「――― の事、頼んだよ・・・・・・」

 

そんな声を聞いたような気がした・・・・・・

ここは・・・どこだ・・・?

周りが揺れたような気もする・・・・・・

何だ・・・? 何が起こってる・・・?

夢半分の中、ふと、耳に届く音。

 

『次元震さらに増大! 次元断層発生まで、長くはかかりません!!』

「なぁっ!?」

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-

 

第13話 己が宿命受け入れて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛び起きる。

ここは・・・・・・アースラの医務室か・・・?

あぁ、そうだ・・・・・・あの時、プレシアの攻撃で・・・・・・

あれからどうなった・・・?

 

「・・・美月」

「はい」

「今の状況は?」

「それが、かくかくしかじか・・・」

「それじゃ分からん」

「結構いろいろありましてねー」

 

倒れている間にあった事を、美月から聞かされる。

逮捕失敗で返り討ち。カプセル内のアリシア。

そして――― 真実を突きつけられたフェイト・・・

 

「そっか・・・そんな事が・・・・・・」

 

隣のベッドに眠るフェイトを見やる。

・・・相当ショックだったんだろうな・・・・・・

ずっと母親のために頑張ってきたはずなのに、それを一瞬で拒絶されたんだ・・・

 

  ズズゥンッ!!

 

また艦が揺れる。

 

「そうだ、次元震!

 なのは達は! 今どこに!!」

「現地に飛んでます。あ、ほらあそこに」

 

美月が機器を操作し、モニタを表示する。

そこに映っていたのは、なのは、ユーノ、そしてアルフさん。

なのは達はともかく・・・アルフさん、ご主人様の近くにいなくていいのかな・・・

 

あれ・・・? そういえば・・・・・・

 

「・・・なぁ・・・・・・ひょっとして、アルフさんにフェイトの事頼まれた・・・?」

「はい。出動される時に」

 

あぁやっぱり・・・・・・

夢うつつで、あんまり覚えてないけど。

アルフさんだって、フェイトの傍にいたかっただろうに・・・

 

 

 

「・・・う・・・・・・」

 

身じろぎする気配。

振り向く事無く声をかける。

 

「・・・起きたか?」

「・・・うん・・・・・・」

 

しばらく無言でモニタを見つめる。

 

 

 

「・・・身体は・・・・・・」

 

ぽつりと、フェイトが声を漏らす。

 

「身体は・・・大丈夫・・・?

 私たちを・・・護って・・・・・・」

「気にするな、ピンピンしてるよ。

 お前の方こそ・・・色々と・・・あったんだろ?」

 

振り返り、フェイトと顔を合わせる。

そこにあるのは、暗く沈み、たくさんの想いを抱え込んだような表情。

 

「・・・母さんは・・・最後まで私に微笑んでくれなかった・・・

 私が頑張ってこれたのは、母さんに認めて欲しかったから・・・・・・

 どんなに酷い事をされても・・・笑って欲しかったから・・・

 あんなにハッキリと捨てられた今でも・・・私・・・まだ母さんに縋り付いてる・・・」

 

モニタを見やるフェイト。

そこに映し出されている、彼女の使い魔。

 

「・・・アルフは・・・ずっと傍にいてくれた・・・・・・

 言う事を聞かない私に、きっと随分と悲しんで・・・・・・」

「・・・本気で心配してたな。

 本当に・・・お前の事が大好きなんだろ・・・」

 

振り返った彼女と目が合う。

 

「あなた達とも・・・何度もぶつかった・・・

 初めて・・・私と対等に、まっすぐ向き合ってくれた・・・

 何度も出会って、戦って・・・何度も、私の名前を呼んでくれた・・・」

「あぁ・・・そうだな・・・・・・

 特に、あいつは・・・なのはは頑固だ。

 決めた事は、とことん突き進む。手ごわいだろ?」

 

身体を起こそうとするフェイトを支えながら、少し笑ってやる。

他人に話す事で少しはすっきりしたようにも見えるが、

その表情には未だ悩みや葛藤が見て取れる。

 

「・・・生きていたいと思ったのは、母さんに認めてもらたいからだった・・・

 それ以外に、生きる意味なんか無いと思ってた・・・・・・

 それが出来なきゃ・・・生きていけないと思ってた・・・・・・

 それを・・・忘れる事なんて―――!」

「忘れる必要なんて無いと思うぞ」

 

その言葉に、フェイトが顔を上げる。

 

「これまでの事を忘れる必要は無いんだ。

 ・・・勝負の前に、なのはが言ってた事、覚えてるか?

  『捨てればいいって訳じゃない・・・・・・

   逃げればいいって訳じゃ、もっとない・・・・・・』

 これまでの事を捨てたり、逃げたりしちゃいけないんだ」

「・・・逃げたり・・・しない・・・・・・」

「ああ。過去は変えられないからな。

  『過去を忘れるつもりはない。過去に縛られるつもりもない。

   人生とは常に前へと進むものだから』

 これはウチの家訓なんだけどな。

 過去を受け入れて、その上で、未来を見なきゃいけないんだ。

 

 お前はこれまで母さんのために頑張ってきた。

 それは『過去』だ。それを忘れる必要は無い。

 そして、母さんに拒絶されたという『今』がある。

 後は・・・『未来』をどうするか、だ。

 

 フェイト・・・お前自身で、決めるんだ。

 始まりは、そこからだ・・・」

 

立ち上がったフェイトに、サイドテーブルに置いてあったバルディッシュを渡してやる。

手のひらを見つめるフェイト。

 

「私の・・・・・・

 私たちの全ては・・・まだ始まってもいない・・・?」

 

バルディッシュを起動させる。

デバイスは、至るところに罅が入り、ボロボロになっていた。

 

「そうなのかな、バルディッシュ・・・・・・

 私・・・まだ始まってもいなかったのかな・・・?」

 

その時、コアに光が灯り、ギシギシと音を立てながらヘッドを動かしつつ、声が返る。

 

「Get set.」

「!!」

 

こいつ・・・こんなボロボロになっても、それでも応えようと・・・・・・

フェイトがバルディッシュを抱きしめ、涙を流す。

 

「そうだよね・・・バルディッシュも、ずっと私の傍にいてくれたんだもんね・・・

 お前も・・・このまま終わるのなんて・・・嫌だよね・・・!」

「Yes sir.」

 

コアを明滅させ、力強く答えるバルディッシュ。

その声に、フェイトの表情も変わる。

 

・・・決めたみたいだな・・・・・・

魔力を込めバルディッシュを修復、さらにバリアジャケットを纏うフェイト。

 

「・・・行くのか・・・?」

「うん・・・・・・

 私たちの全ては、まだ始まってもいない・・・

 だから・・・本当の自分を、始めるために・・・!」

「そっか・・・・・・

 お前が自分で決めたなら、文句は無い。

 ただ・・・ひとつ頼みが」

 

そう言ってフェイトの前に立つ。

そしてバリアジャケットを展開。

 

「僕も連れてってくれ。

 1人だけ蚊帳の外ってのは嫌だし」

 

少し笑い、頷くフェイト。

 

さぁ・・・この騒動も終焉だ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、これからどうするんですかー?」

 

転移後、フェイトをなのは達の方へと向かわせたはいいが・・・迷子になった・・・・・・

時の庭園とかいったっけ? 3人しか住んでないのに、何でこんなに無駄に広いんだよ・・・

次から次へと鎧のお化け(フェイトは傀儡兵(くぐつへい)とか言ってたっけ)は出てくるし。

 

振り下ろされる斧を身体を捻ってかわし、

その柄を踏み台にして跳躍、頭上からビームライフルを撃ち込む。

 

「どれだけ出てくるんだか・・・・・・」

 

かれこれ10体以上は潰したが、いつまでもこの場に留まっている訳にもいかない。

 

「・・・やっぱりオペレーターに訊くしかないかなぁ・・・・・・

 美月、エイミィさんに連絡を」

「はぁ・・・でもそうすると―――」

『ちょっと祐介くん!?

 何やってるのそんなとこで!!』

 

まぁ、やっぱり怒られるよなぁ・・・内緒で出てきたのはまずかったかな。

 

「か、勝手に現場に出たのはすみません・・・

 まぁそこには目を瞑ってもらってですね・・・・・・

 今、結構やばいんですよね。状況を教えてもらっていいですか?」

『はぁ・・・・・・でも確かに緊急事態なんだよね。

 現在、プレシアが発動させたジュエルシードによって、次元震が発生。

 ついでにその施設の駆動炉も暴走を始めて・・・

 それによって、今にも次元断層が発生しそうなの』

「なのは達は?」

『なのはちゃん、ユーノくん、アルフは駆動炉の封印に。

 クロノくんがプレシアの逮捕に向かってる』

「なのは達の方には、フェイトが向かってます。

 僕はクロノの方に合流しますから。ナビゲート、お願いできますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイミィさんの誘導で回廊をひた走る。

飛行するようになってから久しく使ってなかったランドスピナーも、

こういう狭い屋内では面目躍如だ。

正面から向かってきた傀儡兵の脇をビームサーベルを構え斬り抜ける。

振り向きざまに、追ってくる3体をハイパーバズーカで撃破。

 

「ったく! しつこいっての!!」

 

そのまま前に向き直り、再び疾走。

湧き出る鎧をビームライフルで打ち抜く。

 

「美月! クロノは!?」

「確かこの辺・・・あ! いました!」

 

見回すと、下の階にクロノを見つけた。

すっげー・・・誘導弾1つで5、6体を相手取ってるよ・・・・・・

 

「あっ・・・!」

 

その背後に、5m程の大きめの傀儡兵が迫っているのに気づく。

 

「クロノ!!」

 

咄嗟に飛び降りた。

顕現させる『MMI-710』。身の丈ほどもある巨大な片刃の長剣。

両手で振りかぶり、刃部分に魔力刃を発生させ、振り下ろす。

 

「でりゃあぁぁぁッッ!!!」

 

一刀両断。真っ二つになって崩れ落ちる鎧を背に、軽く手を挙げる。

 

「よっ、クロノ」

「よっ、じゃない! 何なんだお前は!!

 アースラにいたはずだろう! 何でいきなり出てくる!!」

「目覚めたのに留守番なんてつまらないしな。

 そう怒るなよ、助けてやったんだし」

 

まぁクロノなら放っといても大丈夫だっただろうけど。

 

「結構やばい状況で人手不足なんだろ。

 せっかくここまで来たんだ。手伝わせてくれよ。

 ・・・ほら、次のお客さんだ」

 

通路の奥から、傀儡兵の集団が向かってくる。

大剣をメガ・バズーカ・ランチャーに持ち換え、そちらに向ける。

 

「プレシアの逮捕は局の仕事だ。

 ここは1人でいい。

 なのは達の援護に向かってくれ!」

「そっちはフェイトが向かったよ。

 まぁそう邪険にするな。

 逮捕するって大仕事があるんなら、なおさら元気な人に露払いは任せなって」

「そうですよー。執務官どのは、力を温存しておいて下さいな」

 

背後で吐かれるため息を聞きながら、緑銀の砲撃をぶっ放した―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく・・・滅茶苦茶なやつめ・・・・・・」

「そう言うな―――よッ!!」

 

ぼやくクロノと並んで通路を奥へと走る。

姿を現す傀儡兵にビームライフルを撃ちこみ沈黙させる。

 

「世界規模の災害が起きそうだって時に、戦力の出し惜しみは良くないぞ」

「そういう問題じゃないだろう・・・

 エイミィ! 状況は!」

『なのはちゃんとユーノくん、駆動炉へ突入!

 フェイトちゃんとアルフは最下層へ!

 ・・・大丈夫。いけるよ、きっと』

「あぁ!」

「順調だな・・・このまま行けば・・・ッ!!」

 

前方にまた新手。

正面から迫ってくる相手に0式レールガンを連射し、体勢を崩す。

そのまま突撃し、すれ違いざまにビームサーベルを一閃。

崩れ落ちる傀儡兵を眺め、一息つく。

 

「しっかし何体いるんだよ、この鎧お化け・・・・・・」

「さぁ・・・・・・

 でも、これだけの数を運用しているプレシアさんも、結構な化け物ですよねー」

「それはそうと・・・そこらへんのアレって何だ?」

 

屋敷のあちこちに入った亀裂。

そこから覗いているのは、暗い・・・宇宙にも見える空間?のようなもの。

 

「虚数空間だ。気を付けろ。

 あの中では全ての魔法はキャンセルされる。

 落ちれば、二度と上がっては来られないぞ」

「マジか・・・怖いなそりゃ・・・」

 

その時、激しく屋敷を震わせていた震動が、ふいに弱まった。

 

「・・・なんか急に揺れが弱くなったか・・・?」

「恐らく艦長だろう。ディストーションシールドで次元震を低減させているんだ」

「リンディさんも凄いんだな・・・」

「無論、屋敷全体を抑えるには、アースラからの魔力供給は必要だが、

 それを制御するには、それなりの技術は必要さ・・・・・・

 

 ――― 着いたぞ・・・ここだ」

 

目の前には扉。

この向こうがプレシアさんの居る部屋らしい。

扉を蹴り開け、踏み入った瞬間―――

 

「っ!!?」

 

突然後ろから蹴り飛ばされ前方に転がり込む。

慌てて振り返ると・・・そこには瓦礫の山。

 

「クロノ!?」

「祐介! 大丈夫か!?」

「大丈夫だ! 助かった!」

「すぐに迂回する! いいか! それまで余計な事をするな!」

 

瓦礫の向こうで遠ざかる足音。

――― 余計な事するなって言われてもな・・・

 

部屋の前方に目を向ける。

広大な空間。20m程離れた所に、彼女の姿はあった。

アリシアのカプセルと、その傍らにプレシア。

手にはジュエルシード。それを使われたらマズい事になる。

・・・・・・黙って見てる場合じゃない・・・時間くらいは、稼がないと・・・

 

 

 

 

 

歩を進め、彼女と相対する。

先に口を開いたのは、あちらだった。

 

「・・・何の用?」

「もちろん、あなたを止めに。

 プレシア・テスタロッサ、投降して下さい」

「私たちの旅立ちを邪魔すると言うの・・・

 何の権利があって?」

「そうですね・・・

 普通に旅立つだけなら、それを止める権利はありません。

 でも、旅立ちの代償が普通じゃない。

 逆に聞きますけど、何の権利があって世界を滅ぼすと?」

「アッハッハッハ!

 それこそ権利なんて必要なのかしら。

 アリシアを取り戻す以上に重要な事があるとでも!?

「アリシアの事については、僕にはどうこう言えません。

 何て言ったらいいかも分かりません。

 でも・・・あなたのしようとしてる事を見過ごすわけにはいきません。

 

 ――― 僕も子供なんですよ・・・

 だから! 我儘を言うくらいしかない!

 迷惑なんですよ!

 そっちの勝手な都合で、僕の生活を破壊するなッ!!

「あなたに何が分かると言うの!!」

「分かりませんよ!! 我儘だって言ってるでしょう!!」

 

お互いに譲れないもの・・・

視線がぶつかり合う。

 

「・・・どうしても、止めようと言うのね」

 

杖(デバイスだろう)をこちらに向けるプレシアさん。

 

「・・・どうしても、です」

 

こちらもビームライフルの銃口を向ける。

 

「・・・邪魔はさせないわ・・・・・・

 私は取り戻す・・・私とアリシアの・・・過去と未来を・・・!

 ・・・取り戻すの・・・こんなはずじゃなかった・・・世界の全てを!!

「心中お察しします、とは言いませんよ・・・

 でも、その悲しみに、無関係な人間まで巻き込んでいい権利なんて――― ん?」

 

上階を見上げると、フェイトとアルフさん、そしてクロノがすぐ傍に飛び降りてくる。

 

・・・ここまで、かな。

さっきは声を荒げてしまったが、元々の目的はクロノが来るまでの時間稼ぎだ。

もちろん本音ではあったけども。

武器を向け合う僕たちに驚いていたフェイトだったが、

僕が銃口を下ろし、数歩下がるのを見て安心したようだ。

黙って親指を立てる。それに、少し笑って頷くフェイト。

その瞳には、確かな意思。

そっか・・・向き合う覚悟、したんだな・・・・・・

 

 

 

 

 

足を踏み出すフェイト。

 

「・・・何を、しに来たの・・・!」

 

静かな、しかし強い語調で睨み付けられ、数歩進んだところで足を止める。

 

「・・・消えなさい・・・・・・

 もうあなたに、用は無いわ・・・・・・」

「・・・あなたに・・・言いたい事があって来ました・・・・・・」

 

後ろからでは顔は見えないが、はっきりと、決意を込めた声で話しかけるフェイト。

 

「私は・・・アリシア・テスタロッサじゃありません・・・・・・

 ただの失敗作で・・・偽物なのかもしれません・・・・・・

 だけど、私は・・・フェイト・テスタロッサは・・・

 あなたに生み出してもらって、育ててもらった・・・あなたの娘です・・・!

 今までずっと・・・今もきっと・・・!

 母さんに笑ってほしい・・・幸せになってほしいって気持ちだけは・・・・・・

 私の、フェイト・テスタロッサの・・・本当の気持ちです・・・・・・」

「・・・・・・だから何・・・・・・

 ・・・今更あなたを、娘と思えと言うの」

「・・・あなたが・・・・・・それを望むなら・・・・・・」

 

プレシアに向かって手を差し伸べる。

 

「それを望むなら・・・私は・・・

 世界中の誰からも、どんな出来事からも・・・あなたを護る・・・・・・

 私が・・・あなたの娘だからじゃない・・・・・・

 あなたが・・・私の母さんだから!!」

 

宣言。

それは、フェイト・テスタロッサの・・・・・・

これまでの自分を受け入れた上で、これからに進む事を決めたフェイトの・・・心の声。

 

「・・・くだらないわ・・・・・・」

「なっ・・・何ぃ!?」

 

返るのは否定。完全な拒絶。

その言葉に愕然とした。

 

「なんで!? なんでそこまで拒絶するんですかッ!!!」

 

口を出すまいとしていたが、思わず叫ぶ。

ここまで言われて・・・この状況で・・・それでも受け入れないってのか!? この人は!!

 

プレシアの足元に魔法陣が展開される。

輝きを増すジュエルシード。

 

「おわッ!?」

「ジュエルシード、エネルギー開放寸前です!!」

 

屋敷を襲う震動が大きさを増す。

 

『艦長、駄目です! 庭園が崩れます!! 戻って下さい!!

 この規模の崩壊なら、次元断層は起こりませんから!!

 クロノくん達も早くッ!!!』

「了解した!

 ・・・脱出するぞ! 祐介! フェイト! アルフ!」

 

エイミィさんの警告に、撤退指示を出すクロノ。

しかし、まだフェイトは動かない。

 

「フェイト!」

「フェイト! 急ぐぞ!!」

「でも・・・! 母さんッ!!」

 

アリシアの傍らのプレシアも動かない。

揺れはさらに激しさを増し、亀裂からは虚数空間が覗いている。

 

「私は行くわ・・・・・・

 アリシアと一緒に・・・アルハザードへ・・・・・・」

「母さん・・・・・・」

 

フェイトの声に背を向け、呟くプレシア。

ついにその足元も崩れ始める。

 

「・・・言ったでしょう・・・・・・

 私はあなたが・・・大嫌いだって・・・・・・

 これは私とアリシアの旅・・・・・・

 だからこそ―――」

「!!!」

 

崩壊する足場。

プレシアとアリシアが落下する!

 

「母さんッッ!!!」

「駄目だフェイトッ!!」

 

追って飛び降りようとするフェイトを、後ろから飛びついて押し倒す。

そのままの体勢で、彼女の視線の先を追うと、そこには・・・・・・

次元の狭間へと落ちて行く・・・プレシアとアリシアの姿。

 

「アリ・・・シア・・・・・・母・・・さん・・・・・・」

「フェイト・・・・・・」

 

かける言葉が見つからない中、ますます激しくなる震動。

 

「祐介! フェイトさんを連れて早く脱出をッ!!」

 

叫ぶ美月。

時の庭園は・・・崩壊しようとしていた・・・・・・

 

 

 

 

 

      第13話   終

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ~あとがき・・・もどき!!~

 

 

 

作者「う~ん・・・・・・」

祐介「どうしたよ?」

作者「結構いいシーンだったはずなのに・・・

   祐介が出てくると全然グッとこないな」

祐介「お前が書いてると、の間違いじゃないのか」

美月「文才の無さは、今に始まった事じゃないんですから・・・

   それより機鋼復習やりますよー」

祐介「おぉ・・・忘れてた。

   あのデッカイ剣な。『MMI-710』とかいったっけ?」

作者「ZGMF-X56S/β ソードインパルスガンダムの装備、

   『MMI-710 エクスカリバー レーザー対艦刀』です。

   今回は1基しか出してないので、アンビデクストラスフォームでは使いませんでしたね」

祐介「そのアンなんちゃらフォームってのは・・・」

作者「エクスカリバー2基を連結した両刃刀形態で―――」

美月「あー、おそらく使わない設定は説明しなくていいですから。

   次回はついに、事件終了! になるはず・・・本当でしょうか・・・・・・」

 

作者「新機鋼、エクスカリバーとアロンダイト、どっちにしようか悩んだんだけど―――」

祐介「しつこい!!」

 

 

 


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