魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-   作:零式機龍

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しばらく間が空いてしまいました。申し訳ない。

仕事が忙しかった+ゲームばっかりしてたせいです・・・



第12話 決戦、そして真相

 

 

 

――― クロノから通信を受けたのは昨夜の事だった。

 

『祐介、今いいか』

「クロノ? どうしたんだ一体」

『いや、今回の作戦において、フェイト・テスタロッサについては、

 君たちに一任する事になったが、プレシア・テスタロッサについて

 伝えておきたい事があってね・・・君も当事者として、頭に入れておいてくれ』

「なんだよ、そんな重要な事なのか?」

『ああ・・・・・・

 プレシア・テスタロッサの家族と、事故の事だが―――』

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-

 

第12話 決戦、そして真相

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「始まったか・・・・・・」

 

海上では、なのはとフェイトが交戦を開始していた。

何度も激突し、魔力弾の応酬が繰り広げられる。

 

《・・・いいんですか?》

《・・・何がだよ》

 

ふいに、美月が念話を送ってくる。

 

《あの話、なのはさんに内緒にしておいて》

《クロノにも、他言無用だって言われただろ》

 

この戦いの勝敗は、作戦全体においては、あまり関係は無い。

フェイトが帰還するか、プレシアさんがまた攻撃してくるか・・・・・・

いずれにせよ、その時に本拠地を突き止めるための準備が、アースラでは行われているはずだ。

でもやっぱり、想いを伝えるためにも、なのはには勝ってもらいたい。

だからこそ、クロノも僕だけに連絡してきたんだろう。

 

(ならこの話は、まだ話すべきじゃない。

 なのはを・・・迷わせたくないしな・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   Side change  なのは side

 

 

 

「Photon lancer.」「ファイアッ!」

「Divine shooter.」「シュートッ!!」

 

フェイトちゃんの直射弾を回避しつつ、誘導弾を放つ。

シールドで防がれるけど、動きは止まった!

 

「シュートッ!!」

 

さらにディバインシューターを5発。

 

「Scythe form.」

 

魔力刃で切り払いながら、そのまま突っ込んでくるフェイトちゃん。

1つ、2つ、3つ、4つ・・・・・・速い!!

 

「っ!!」

「Round shield.」

 

振り下ろされる魔力刃を、かろうじてシールドで受け止め、そのまま拮抗する。

でも・・・!

 

(お願い・・・行って!!)

 

生き残った1発を、フェイトちゃんの背後から強襲させる。

慌てて防御魔法で防ぐフェイトちゃん。

その隙に、フラッシュムーブで彼女の頭上へ。

 

「っせえぇぇいっ!!!」

 

レイジングハートを思い切り振り下ろす。

受け止められた直後、激しい衝撃と閃光。 

 

――― 突然手応えが無くなった!?

フェイトちゃんは・・・!?

 

「Scythe slash.」

「―――っ!?」

 

頭上からの一撃。

かろうじて避けたけど、ジャケットを軽く裂かれる。

とにかく距離をとらないと・・・!!

 

「っ!!?」

 

離脱しようとして体をひねると、そこにはフェイトちゃんの射撃魔法。

いつの間に・・・!!

 

「Fire.」

 

飛来する直射弾をシールドで弾きながら、体勢を整える。

視線の先には、わたしと同じように肩で息をするフェイトちゃん。

・・・やっぱり、強い・・・!

 

 

 

 

 

   Side change  フェイト side

 

 

 

距離をおいて睨み合いになる。

予想以上に消耗が激しい・・・・・・

 

(・・・初めて会った時は、魔力が強いだけの素人だったのに・・・・・・)

 

今は・・・強くなってる・・・・・・

このままじゃ・・・迷ってたら・・・やられる・・・!

 

「バルディッシュ・・・!」

「Phalanx shift.」

 

一気に勝負をつける・・・!

周囲に発生する無数のフォトンスフィア。

同時にライトニングバインドで、あの子を拘束する。

 

「アルカス・クルタス・エイギアス。

 疾風なりし天神、いま導きのもと撃ちかかれ。

 バルエル・ザルエル・ブラウゼル。

 フォトンランサー・ファランクスシフト―――」

 

もう一度、あの子を見据える。

 

「撃ち砕け・・・ファイアッ!!」

 

無数の魔力弾が殺到し、閃光と爆煙の中、彼女の姿が掻き消える。

 

「・・・・・・っ!!」

 

ふっと、これでいいのかと躊躇する気持ちがよぎった。

だけど・・・・・・

迷いを振り捨て、撃ち続ける。

容赦は無しだ、遠慮は駄目だ・・・!

あの子が言った、『本気の勝負だ』と。

全力でいかないと・・・・・・勝てない!!

 

「ハァ・・・ハァ・・・・・・くっ・・・!」

 

連射を止め、爆煙が収まり始めた。

残りの魔力も多くはない。

掲げた手に、トドメの一撃を集束させる。

これで・・・!

 

「・・・っ!!?」

 

爆煙の中から現れた白い姿。

そんな!? 防ぎきった!?

ほぼ無傷。しかも・・・・・・

 

「今度はこっちの―――」「Divine―――」

 

自身のデバイスを掲げ、砲撃体勢に入る。

 

「番だよ!!!」「Buster.」

 

放たれる砲撃。

 

「うわあぁぁっっ!!!」

 

おもわず、ランサーを撃ち返す。

しかし砲撃は私のランサーを消し飛ばし迫ってくる。

かろうじてシールドで受け止めるが、凄まじい勢いで押し潰されそうになる。

 

(でも・・・耐えてみせる・・・!

 あの子だって・・・耐えたんだから・・・!)

 

バリアジャケットの端々が魔力を維持できず千切れ飛ぶ。

腕も痺れてきた。

でも・・・・・・

 

(まだだ・・・まだいける・・・!)

 

 

 

気の遠くなるような時間を耐え、砲撃が止む。

正直なところ、ほとんど力は残っていない。

でも、あの子の魔力も限界に近いはず。

一撃を入れさえすれば・・・!

 

「・・・・・・えっ!?」

 

見上げた先、そこにはあの子を中心に集まる魔力の輝き。

そんな・・・集束魔法(ブレイカー)!?

 

「受けてみて・・・ディバインバスターのバリエーション!」

「Starlight breaker.」

 

魔法陣が展開され、魔力が集束されていく。

 

(でも、集束の時間を与えなければ・・・!)

 

距離を詰めようとしたとたん、動きが止められる。

 

「なっ・・・! バインド!?」

 

私の手足を拘束する4つのリング。

いつの間に・・・・・・

そんな私の驚きを余所に、魔力は集束していく。

 

「これがわたしの全力全開!!

 スターライト―――」

「っ!?」

「ブレイカァァッッ!!!」

 

放たれる砲撃。

目の前いっぱいに、桜色の奔流が迫ってきていた・・・・・・

 

 

 

 

 

      Side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すっげー・・・・・・」

 

なのはの砲撃がフェイトを捕らえる。

・・・これはもう、決まりだろう。

 

「容赦の無い一撃だなぁ・・・」

「フェイトさん、生きてますかねー?」

「行くか・・・」

 

とりあえず勝負ありを宣言するべく飛び出すが、

 

「って落ちたぞおい!」

 

フェイトが海へと落下する。

そこまで限界だったのか!?

そのまま、急いで海へ飛び込み、フェイトを抱え上げ、上空へ。

 

「おい、しっかりしろフェイト!」

 

程なく目を開けるフェイト。

 

「大丈夫か?」

「・・・うん」

 

よかった・・・大した事なさそうだな。

胸を撫で下ろす。

 

「フェイトちゃん! 大丈夫!?」

 

お、なのはが降りてきたか。

とりあえず大丈夫だと伝えてやる。

 

「よかった・・・・・・

 

 ・・・わたしの、勝ちだよね・・・・・・」

「・・・そう、みたいだね・・・・・・」

「Put out.」

 

バルディッシュがジュエルシードを吐き出す。

 

「飛べるか?」

 

頷くフェイトを腕から下ろしたところで、クロノから通信が入る。

 

『よし、なのは。ジュエルシードを確保してくれ。

 それから彼女を―――』

「空間に異常!!」

「ッ!? こっのぉぉッッ!!!」

 

僕たちを狙って降る雷。

即座に2人の上に出て、範囲を拡大したビームシールドを展開、

上空から来た攻撃をギリギリで受け止める。

そうそう何度もやらせるか!!

 

「なのは! フェイトを連れて離脱しろ!!」

「で、でも・・・・・・」

「早くしろ!! いつまでもッ・・・保たないッ・・・!!」

 

正直、かなり押されている。

かなり魔力を込めてるつもりだが、このままだと押し切られる・・・!

 

「ジュエルシードが!!」

「ッ!?」

 

なのはの声に、つい振り返ってしまう。

集中が緩み、身体を打ちのめす衝撃。

 

「祐介くんっ!!」

 

最後に見たのは、虚空へ消えて行く9つのジュエルシードだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   Side change  美月 side

 

 

 

アースラへと帰還し、祐介は医務室へと放り込まれた。

なのはさん達は、フェイトさんを連れてブリッジへ。

ユーノさんに頼んで、私も一緒に連れてきてもらっている。

 

「なのはさん」

 

ブリッジに入ると、リンディさんがこちらへ歩いて来た。

 

「祐介くんの容態は?」

「あ、はい、魔力ダメージで昏睡しているだけで、特に心配はいらないそうです」

「そう、よかったわ・・・・・・お疲れさま。

 それから・・・フェイトさん。 はじめまして」

「・・・・・・・・・・・・」

 

フェイトさんは無言で正面のモニターに目を向けた。

ちょうど武装局員の皆さんが、プレシア・テスタロッサの本拠地へと突入していく所だ。

 

「・・・フェイトちゃん、良かったらわたしの部屋―――」

 

母親の逮捕を見せないようにとの気遣いだろう、なのはさんがフェイトさんを促すが、

フェイトさんは動こうとしない。

 

「総員、玉座の間に侵入。目標を発見!」

 

モニター上では、多くの局員さんがプレシアさんを包囲していた。

 

『プレシア・テスタロッサ!

 時空管理法違反、および管理局艦船への攻撃容疑で、あなたを逮捕します!

 武装を解除して、こちらへ』

 

その状態のまま、別の一隊が、玉座の背後にある部屋へと入る。

 

『こ、これは・・・・・・』

 

映し出されるのは、人が入れる程の、SFにでも出てきそうな、無数のカプセル。

そして、部屋の中央にある、唯一稼動しているらしいカプセル・・・・・・

 

(あれは・・・・・・まさか!?)

 

そこに入れられていたのは、フェイトさん、いえ、彼女と瓜二つの少女。

誰も彼も、言葉を失ってモニタを見つめる。

 

カプセルを調べようとした局員が近寄るも、激昂したプレシアさんに阻まれる。

 

『私のアリシアに・・・近寄らないで!!』

(アリシア!? それって・・・・・・)

 

再びプレシアさんを包囲し攻撃を加えるも、一度の反撃で局員は全滅。

リンディさんの指示で、局員の緊急転送が行われる。

 

・・・そして残され、カプセルに向かうプレシアさん。

 

『時間が無いわ・・・たった9個のロストロギアでは、

 アルハザードに辿り着けるかどうかは分からないけど・・・・・・』

 

そして、こちらに向き直り、言葉を続ける。

 

『でも・・・もういいわ・・・・・・終わりにする・・・・・・

 この子を亡くしてからの、暗鬱な時間を・・・・・・

 ・・・この子の身代わりの人形を、娘扱いするのも・・・・・・

 あなたの事よ、フェイト・・・

 アリシアにそっくりなのは見た目だけの・・・

 ちっとも使えない・・・私のお人形・・・・・・』

「・・・・・・そういう・・・事でしたか」

「美月さん・・・?」

(あ・・・しまった・・・・・・)

 

思わず漏らした呟きに、なのはさんが反応する。

クロノさんから聞かされた、なのはさんには内緒にしていた話・・・・・・

でも・・・今のプレシアさんの言葉で、薄々は理解しているんだろう・・・・・・

 

「美月さん、知ってるなら教えて・・・・・・

 あれは! どういう意味っ!?

「(今更、隠し通せそうには・・・ありませんね・・・)

 ・・・・・・・・・・・・例の事故の時・・・・・・

 プレシアさんは、一人娘アリシア・テスタロッサを亡くしているんです・・・

 その後彼女が行っていた研究は、人造生命の生成、そして死者の蘇生・・・

 そしてその研究の開発コードは―――

 “プロジェクト F.A.T.E.(フェイト)・・・・・・」

「・・・! そんな・・・・・・」

 

言外に告げる。

プレシアさんによって生み出された、

在りし日のアリシアの記憶を転写した人造生命、それが・・・彼女(フェイトさん)なのだと・・・

 

『そうよ、その通り・・・・・・

 ・・・だけど駄目ね・・・・・・ちっとも上手くいかなかった・・・・・・

 作り物の命は、所詮作り物・・・・・・

 失ったものの代わりにはならないわ・・・・・・』

 

こちらを、いや、フェイトさんを見やる。

 

『フェイト・・・・・・やっぱりあなたは・・・アリシアの偽者よ。

 せっかくあげたアリシアの記憶も・・・あなたじゃ駄目だった・・・・・・』

「やめて・・・もう、やめて・・・!」

 

なのはさんが呟く。

フェイトさんは目を見開いて震えるばかりだ。

 

『アリシアを蘇らせるまでの間に、私が慰みに使うだけのお人形・・・・・・

 ・・・だからあなたは、もういらないわ・・・・・・

 どこへなりと・・・消えなさいッッ!!

「お願い! もうやめてぇっ!!」

 

なのはさんの悲痛な叫びをよそに哄笑するプレシア・テスタロッサ・・・・・・

 

『アッハハハハ・・・・・・・・・・・・

 いい事を教えてあげるわ、フェイト・・・・・・』

 

この人はまだ・・・!

 

『あなたを作り出してからずっとね・・・・・・

 私はあなたが―――』

 

その言葉を言わせまいと思わず叫ぶ。

 

「もういいでしょう!

 これ以上なにを―――!!」

『―――大嫌いだったのよッ!!』

「―――ッ!!!」

 

崩れ落ちるフェイトさん。

 

「フェイトちゃん!」

 

なんて事を・・・この人は・・・!

私に身体があれば、モニターを睨み付けていただろうが、それはかなわない。

 

 

 

そんな中―――

 

「屋敷内に魔力反応、多数!!」

 

異変。

モニターに映し出される多数のモノ。

まるで西洋の飾り鎧のような人形(ヒトガタ)が、斧や大剣を手に手に湧き出てきていた。

 

「庭園敷地内に魔力反応、いずれもAクラス!

 総数60・・・80! まだ増えています!!」

「プレシア・テスタロッサ・・・いったい何をするつもり!?」

 

プレシアさんが、アリシアのカプセルを伴い歩き出す。

 

『私たちの旅を、邪魔されたくないのよ・・・

 私たちは旅立つ。忘れられた都、アルハザードへ・・・!!

 ・・・取り戻すのよ! 全てを!!!

 

その手にはジュエルシード。

9つのそれが、激しく輝き、直後激しい震動が艦を襲う。

 

「次元震です! 中規模以上!!」

「震動防御! ディストーションシールドを!!」

「ジュエルシード、9個発動! 次元震、さらに強くなります!!」

「転送可能距離を維持したまま、影響の薄い空域に移動を!!」

「り、了解!」

「乱次係数拡大! このままだと、次元断層が!!」

 

全てを揺らす震動の中、ただ1人笑うプレシアさん。

 

『あっははははっははは―――

 私とアリシアは、アルハザードで全ての過去を取り戻す!!

 あっははっはは―――   アーハッハハハハ―――』

 

高らかに・・・彼女の声だけが響く・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

      Side out

 

 

 

 

 

      第12話   終

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ~あとがき・・・もどき!!~

 

 

 

祐介「他者視点ばっかりだったな」

作者「だって、なのはとフェイトの勝負時に祐介視点だと、

   遠くから眺めてるだけだから臨場感に欠けるでしょ?」

祐介「本人視点でも臨場感ねーよ・・・・・・」

作者「・・・・・・ほ、ほら!

   アースラ以降は、祐介不在だから必然だし!!」

美月「初めての私視点! 活躍? これから先も活躍の予感?」

作者「いや、特にそんな予定は・・・祐介が倒れてる間の状況を

   後でちゃんと把握できる様にするための代理視点・・・かな?」

美月「・・・また思いつきですか?」

作者「割と初期から決まってたよ?

   この先、祐介が生きてると困るから」

祐介「物騒な事言った!? え、何!? 僕このまま死ぬの!?」

作者「冗談冗談。ちょっと倒れただけだから。すぐ出番あるから」

美月「ちゃんと復帰できるんですかねー・・・・・・」

 

 

 


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