魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-   作:零式機龍

10 / 24
第7話 わかりあいたい 伝わらない

 

 

 

「はぁ・・・どうしたもんかなぁ・・・・・・」

「何ですか突然」

「いや、これからの事を考えるとな・・・」

 

ふと、あの子、フェイトの事を思い出していた。

現状、実力行使のジュエルシード争奪戦になっているからな。

向こうの事情くらい知りたい所だが・・・

 

「そう上手くはいかないよなぁ・・・・・・」

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは Metal Chronicle -鋼を統べる者-

 

第7話 わかりあいたい 伝わらない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なのは、何かあったか?」

「・・・・・・え?」

 

あの夜の一件から数日。

なのはと2人での帰り道(アリサとすずかはヴァイオリンのレッスンだと)、

あまりに沈痛な面持ちで隣を歩くなのはが気になって声をかける。

 

「まぁ、話したくなければ無理にとは・・・」

「ううん、大丈夫・・・

 わたしがぼーっとしてたから、アリサちゃんを怒らせちゃって・・・」

 

そう言って笑うが、その顔に力は無い。

上の空だった原因は聞かなくても分かるけど・・・・・・ふむ。

 

「・・・少し、寄り道していくか」

「え・・・?」

 

有無を言わせず、なのはの手を引く。

友達として、相談に乗るくらいさせてもらっても罰は当たるまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――― わたしたち、最初から仲が良かった訳じゃないんだ・・・」

 

海鳴臨海公園。

ベンチに腰をかけ、彼女たちの会ったばかりの頃の話を聞く。

 

当時、アリサはその居丈高な性格でクラスでも浮いた存在で、

クラスメイトをからかって馬鹿にするような子だったらしい。

すずかも、今よりずっと気が弱くて、思った事も全然言えないような子だったという。

 

「あの日・・・屋上で、女の子が他の子のカチューシャを取り上げてるのを見たの。

 取られた子は泣きそうな顔で何か言いたそうにしてたけど、取った子は返そうとしなかった。

 それでわたし、思わずその子をひっぱたいちゃって・・・

 その後その子、アリサちゃんとは大喧嘩。それを止めたのが・・・」

「すずか、か」

「うん。

 それから、少しずつ話をするようになって・・・・・・

 2人とも、本当に大切な友達になったんだ・・・」

「そっか・・・

 それからずっと一緒にいるんだもんな」

 

缶ジュースを飲み干し、ベンチから立ち上がる。

 

「――― アリサの気持ちも、分からないでもないけどな。

 悩みがあるなら話してほしいけど、何か事情があって話さないんだって事も分かってる・・・

 そんな感じなんじゃないか?

 

 ま、元気だせ。 大丈夫だろ。

 1年程しか付き合ってない僕が言うのも何だけど、2人が良い奴だってのは知ってるつもりだ。

 一呼吸置いて、落ち着いたら謝ればいい。それで仲直りだ。

 親友、なんだろ?」

「・・・うん。 ありがとう、祐介くん」

 

少しはマシな顔になったな。

僕にできるのはこれくらいだ。あとは本人たち次第、だな。

まぁあまり心配はしていない。あの2人なら分かってくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・もうこんな時間か」

「そろそろ今日はお終いですかねー」

 

その日の夕方。時刻は19時を回っていた。

今日もジュエルシードは発見できず、か。

 

《なのは、そっちはどうだ?》

《うーん・・・今日はもう駄目かなぁ・・・》

《こっちもだ。・・・今日は切り上げるか?》

《そうだね。帰らないと、そろそろ晩ご飯の時間だし・・・》

《僕はもう少し、この辺りを回ってから帰るよ》

《1人で大丈夫か? ユーノ》

《うん、大丈夫。2人とも、ゆっくり休んで》

 

その言葉に甘えて、帰路につく。

しかし、なかなか見つからないと、少し焦りも出てくるな。

その時・・・

 

「――― ッ!!?」

 

突然感じた大きな魔力の流れ。少し遅れて、周辺の様相が変わる。

 

「美月! 状況は!」

「周辺市街に分散された魔力反応、続けて結界が展開されました!」

 

直後、ビル街から青白い光の柱が立ち上るのが見える。

 

《なのは! 大丈夫か!》

《だ、大丈夫! ユーノくん、これは!?》

《あの子たちが近くにいる!

 大規模な魔力流を打ち込んで、ジュエルシードを強制発動させたんだ!

 とりあえず、広域結界は展開したから!!》

《強引だけど見つけるには手っ取り早い、か。

 なのは、そこからジュエルシード見えるか?》

《うん、すぐ近く!》

《先手必勝! 先に封印するんだ!!》

《や、やってみる!!》

 

僕も発動地点に行かないと。

飛行ユニットを装着し、飛び上がる。

何とか間に合えばいいけどな・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現場に着いたとき、既に封印は終わっていた。

なのはの前には沈静化したジュエルシード。

 

「なのは。早く確保を―――」

「そうはさせるかいっ!!!」

「ッ!? またあなたですかッ!!!」

 

飛び掛ってきた赤毛の狼をビームシールドで受け、弾き返す。

 

「なのは! そっちは頼んだぞ!!」

「う、うん!!」

 

そう言って、アルフさんを迎撃するべくバーニアを噴かし飛翔する。

 

 

 

 

 

「何でジュエルシードが必要なんですか!

 それくらい教えてくれたっていいでしょう!!」

「話す必要は無いって言ったろ!!」

 

緑銀とオレンジの光弾が乱れ飛ぶ。

向こうが本気かどうかは分からないが、今のところ互角に持ち込んでいる、か。

ただ、会話も前回から進展してないんだよなぁ・・・・・・

 

「少しくらい話してくれたって減るもんじゃないじゃないですかッ!!」

「ごちゃごちゃうるさい!!

 とにかくアタシたちはジュエルシードを集めなきゃいけないんだよ!!!」

「だからその理由を聞いてるんでしょうがッ!!」

 

射撃の隙間を縫い、アルフさんが突っ込んでくる。

ビームシールドで受け止めるが、刹那、人形態になった彼女はその拳で激しいラッシュを叩き

つけてきた。両手でそれぞれシールドを展開し受け止めていくが、その乱打にはキリが無い。

――― 射撃させずに近接で潰す気か。

 

「このまま寝てなッ!!」

こんのぉ・・・舐めるなぁッ! ――― 美月ッ!!」

「はい! 機鋼顕現!!」

 

右手に握られるのは、10cm強の筒状のパーツ。その先端から緑銀の光刃が伸びる。

THI BSjG01 ビームサーベル。

 

「はあぁッッ!!」

「ちぃっ!!」

 

ビームサーベルから発生させた魔力刃で斬りかかる。

かわされるが、そのまま続けて攻撃、アルフさんが後退し距離が開いた所に左手でビームライフルを3連射。シールドで受けられるが、その顔には苦々しい表情。

ふふん、射撃オンリーだと思って甘くみるからだ。

してやったりと思う反面、あんまり怒らせると後が怖いなぁと思ったりもする・・・

 

 

 

 

 

「フェイトちゃん!!」

 

突然、なのはの声が響き渡る。

確かあっちもフェイトと派手にやりあってた筈だけど・・・

そちらに目を向けると、2人はデバイスを構え睨み合いになっていた。

 

「話しても何も変わらないって言ってたけど・・・言葉にしないと伝わらない事だってあるよ!

 ぶつかり合ったりするのは、それは仕方ないのかもしれないけど、

 だけど・・・何も分からないままぶつかり合うのは、わたし、嫌だ!!」

 

アルフさんがフェイトの近くに移動するのを見て、僕もなのはの傍に移動した。

そして2人を見つめ口を開く。

 

「なのはの言う通り、衝突する事になるのを否定はしない。

 こっちにも、そっちにも、譲れない理由があるんだと思う」

「ジュエルシードを見つけたのはユーノ君・・・

 散らばっちゃったそれを、ユーノ君は集め直そうとしてる。

 最初はわたし達も、その手伝いのつもりだった。

 だけど・・・今は、自分たちの意思でジュエルシードを集めてる!

 この街や、周りの人たちに危険が降りかかったら嫌だから!!」

「そっちの事情に比べれば、小さいものなのかもしれない。

 でも、これは譲れない。譲らないと決めた!

 

 ――― これが・・・僕たちの理由だ」

 

頼む・・・答えてくれ、フェイト・・・・・・

 

「・・・私は・・・・・・」

「フェイト!! 答えなくていい!!!」

「っ!?」

 

その言葉はアルフさんに掻き消される。

 

「優しくしてくれる人たちの所で、ぬくぬく甘ったれて暮らしてる様な

 ガキンチョになんか、何も教えなくていい!

 アタシたちの最優先事項は、ジュエルシードの捕獲だよ!!」

「・・・・・・っ!!」

 

突如、身を翻すフェイト。

その先は――― ジュエルシード!!

 

「なのはッ!!」

「大丈夫!任せて!!」

 

直後にフェイトを追って飛び出すなのは。

そしてジュエルシード至近で2人が交錯し・・・

 

 

 

光の奔流が辺りを呑み込んだ・・・・・・

 

 

 

 

 

      第7話   終

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ~あとがき・・・もどき!!~

 

 

 

祐介「戦闘あった割りに文章少ないね」

作者「文才の限界ってやつだな」

美月「他人事みたいに・・・あと私にもっと台詞を」

作者「・・・さぁ次回!

   激しい光に呑まれたみんなの運命は!ジュエルシードの行方は!?

   じゃ、そういう事で!」ピューッ!

祐介「あ、逃げた・・・・・・」

美月「・・・台詞無いと存在を忘れられそうで怖いんですけど・・・・・・」

 

作者「あぁ、言い忘れてたけど」

祐介「うぉ!? 戻ってきた!」

作者「THI BSjG01だけど、あれ RGM-79 ジムのビームサーベルね。

   例によって型式は合ってるか分からないけど。

   背中に展開してるエールストライカーパックにサーベルついてるじゃん! って

   後で気づいたけどね。もういいやってスルーする事に。

   祐介の顕現させたパックはあくまで飛行用で、武装がついてなかったって事で。

   あと、一度登場した機鋼は、もう通称で呼ぶから。っていうか既に呼んでる」

美月「もう、どこまで真剣でどこから適当なのか分かりませんね・・・・・・」

祐介「いつも適当だろ」

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。