そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第九話帰って来たパンツ

夏休みが終わり今日から再び学校が始まる

海で起きた事件以降イカロスの様子は変わらない。いつも持っているスイカを膝の上に置いて食パンをちぎりヒヨコに与えてた

 

「お待たせシュウ君」

 

「じゃあいってくるなイカロス」

 

「はい、行ってらっしゃいませマスター」

 

今日は始業式のため午前中で終わり日和は畑仕事があると家に帰りシュウは新大陸発見部の部室を訪れていた

 

「心の整理はついたかシュウ?」

 

「まぁ、それなりにはつきましたよ」

 

「それでもまだ信じていないようだなイカロスが兵器だって事に」

 

「正直、今でも嘘であったらいいなって思っているところはあります。でもこれは変えられない事実」

 

「そうだ。だが謎も残る。何故イカロスは空から落ちてきたのか」

 

「そして、シナプスがイカロスを回収しないというのも気になります。捨てたのか、それとも他に目的があるのか」

 

考えていると智樹とそはら、会長が部室に入って来た

 

「なんだか最近ここにみんな集合しますね部長」

 

「まぁ、良いではないか。それより今日な何の用だ?」

 

「実はパンツが俺の所に戻って来たんです?」

 

「何?」

 

「朝起きたらトモちゃんの部屋に前に盗られたパンツが全部帰って来たんです」

 

「あらあら、それじゃあ今、桜井君の家には色とりどりの下着が山のようにあるのね。桜井君も男の子だからそれを何に使うかは会長、聞かないであげる」

 

「トモちゃん!ちゃんと全部捨ててよね!」

 

「おう!任せておけ」

 

とは言っているが全然信用できないがな

 

とりあえず今日はこのまま解散し帰宅すると夕方頃にそはらが家を訪ねて来た

 

「すいません。突然お邪魔しちゃって」

 

「いや、別に構わないが何の用だ?」

 

「えっと、イカロスさんにお願いがあって」

 

「私、ですか?」

 

「はい。実はちょっと協力して欲しいんです」

 

「イカロスに?」

 

※※※※※

 

次の日

シュウは目を覚まし居間に入るとそこにはラップに包まれた朝食が置かれていた

 

「あぁ・・・そういえば日和とイカロスは外出しているだっけ・・・」

 

昨日、そはらが家に訪ねてイカロスにカードを使わせてほしいと相談に来た。そはらは智樹にお灸を据えようと『智樹が見たパンツは爆弾に変わる』という機能はないかと相談するとイカロスが可能だというのでシュウはカードをそはらに渡しそはらは日和とイカロスを連れて今日はショッピングに行くと言っていた

 

「今日は一人か・・・」

 

縁側に出て座り込み空を見上げると今日は雲一つない青空が広がっている。時々遠くから大きな爆発音が聞こえるが気にしなければいつもと変わらない日常だ

 

「そういえばこうやって一人で空を見上げるのって久しぶりだな・・・」

 

 

シュウが一人で空を見上げている時に日和達はショッピングを終えて喫茶店でお茶をしていた

 

「そういえばこうやってイカロスさんや風音さんと一緒にお出かけするの初めてだね」

 

「そうですね。結構一緒にいたりしますけどこういうのは初めてですね」

 

「ねぇ、風音さんの事、日和さんって呼んでもいいかな?私の事はそはらって呼んで欲しいの」

 

「はい。そはらさん」

 

「うん日和さん」

 

「ふふ、なんだかちょっと恥ずかしいですね」

 

「そのうち慣れるわよ。そういえば日和さんって緋村君とどれぐらいの付き合いなの?」

 

「そうですね。両親がシュウ君の両親と同級生だったみたいです。ですから生まれた時から一緒だったんですけど最初の頃は私はシュウ君の事が苦手でした」

 

「そうなの?」

 

「はい。シュウ君、今もそうですが昔からアニメとか漫画が好きで一日中漫画を読んだりしていたのであまり話す機会がなかったんです。でもこの鈴の髪飾りが私とシュウ君を繋げてくれたんです」

 

そう言って髪飾りに触れるとチリーンと音が鳴る。その音を聞いて風音は今でも昨日の事のように憶えている記憶を思い出す

 

今から数年前

日和は両親から鈴の髪飾りを貰い嬉しくて早速つけて外に出ると気づいたらその髪飾りをなくしていた

 

誕生日プレゼントだから絶対に見つけないとって思っていたんですが見つからなくて一人で泣いているとシュウ君が日和の元に現れた

 

体中傷だらけで服には泥がいっぱいくっついた

 

『大切な物ならしっかり持っていろ』

 

そう言って日和が探していた髪飾りを差し出す

 

「あ、ありがとうシュウ君」

 

「その髪飾り、似合っているよ。日和」

 

「えへへ、ありがとうシュウ君」

 

※※※※

 

「へぇ~そんなことがあったんだ」

 

「はい。それで私がその時にシュウ君にどうして今まで喋ってくれなかったのって聞いたら『女の子と話した事がなかったから何を話せばいいのか分からなかった』って答えたから私、笑っちゃったんです

でもシュウ君は優しい所があるんだなって思って私はその時に多分シュウ君の事が好きになったんだと思います

でも、その後に両親が亡くなって一緒に住むようになっちゃったからちょっと意識しちゃいますけど楽しいです。シュウ君といれて」

 

「いいな~私もトモちゃんとは幼馴染だけどいつもエッチな事ばかり考えているからそういうのはあんまりないな~」

 

「私からすればそはらさんと桜井君は仲が良いと思います。そはらさんだって桜井君の事が好きでしょう」

 

「え・・・」

 

ボフン!と頭から煙が出て顔が真っ赤になる

 

「べ、別にトモちゃんとはそういうのはないと・・・」

 

「ふふ、今はいいじゃないですか。今はただ友達として楽しければそれで。でもいつかは告白したい私はそう考えています」

 

「大人だね日和さん」

 

「私よりイカロスさんの方が大人ですよ」

 

「私、ですか?」

 

「はい。イカロスさん、掃除に料理まで何でもできますしそれに美人ですし」

 

「確かにイカロスさんって何でもできる大人って感じだね」

 

「私が、大人・・・?」

 

「あまり深く考える必要はありませんよ。今のままのイカロスさんが良いって事ですから」

 

「それじゃあそろそろ行こうか。日和さん、他に寄りたいところはない?」

 

「私は大丈夫です。イカロスさんは?」

 

「私、スイカを育ててみたいです」

 

「じゃあ次はスイカを探しに行きましょう」

 

そして三人の楽しいショッピングは続いた

 

一方シュウは暇で桜井家を訪れるとそこには家がなく焼け野原になっていた。焼け野原の中心には智樹が全裸で倒れていた

 

「シュウ、俺のパンツと家が・・・なくなっちまったよぉ・・・」

 

「後でカードの力で戻してやるから元気出せ。俺も今日は一人だから一緒に飯でも食いに行かないか智樹」

 

「・・・ありがとうシュウ」


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