そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第八話認められない事実

みなさん、こんにちわ。私の名前は風音日和です。今、私はシュウ君とイカロスさんの三人で電車に揺られている

何故、このようになったかと言うとそれは昨日の事だ

 

商店街で買い物をしていたら福引券を貰い試しに福引をすると

 

「大当たり!一等賞は日帰り海旅行に三名様をご招待です!」

 

なんといきなり一等が当たり今日、私は海に向かっていた

 

「それにしてもいきなり一等とは凄いな日和」

 

「たまたまだよ。でも、シュウ君は良かったの?夏休みの最後って確か毎年イベントとか行っていたよね」

 

シュウは毎年コミケに行っているが今年はイカロスがいるし折角日和が一等を当ててくれたから予定をキャンセルした

 

「いいんだよ。コミケは毎年行けるけど日和達と海に行けるのは滅多にないしな」

 

「ふふ、ありがとうシュウ君」

 

そう言ってこっちに気を遣って自分の予定をキャンセルしてこっちに来てくれるのはシュウ君の優しい所

 

電車はシュウ達が降りる駅に到着し三人が降りるとそこには太陽の光を反射しキラキラと光り輝く

 

「うわぁ綺麗・・・」

 

「これで人混みがなければ感動的なのにな・・・」

 

海は綺麗なのに砂浜には人が沢山いる

 

「じゃあ着替えて出口の所でまた集合で」

 

「はい。行こうイカロスさん」

 

更衣室の前で分かれ水着に着替えその上にパーカーを一枚羽織り外に出暫く待つと女子更衣室から二人が出てきた

 

イカロスは白のビキニで風音もイカロスと同じ城のビキニで下にはパレオを身に着けている

 

「ど、どうかなシュウ君」

 

「良く似合っているよ二人共」

 

「良かったねイカロスさん」

 

「日和さんが、一緒に選んで、くれたからです」

 

「さて、海に来たのは良いが何をするか?」

 

「じゃあ一緒に泳ごうシュウ君」

 

「そうだな。そういえばイカロスは泳げるのか?」

 

「いいえ、私達エンジェロイドは羽が水を吸って沈んでしまいます。ですが私は圧壊深度3000、無酸素活動時間連続720時間の性能を持っているので溺れることはありません」

 

「そこまで潜る必要があるのか?」

 

普段の生活で深海なんて行くことなんておそらく、いや絶対ない

 

「あはは・・・流石イカロスさんね。でもどうするシュウ君?」

 

「う~ん泳ぎ方を教えても羽が水吸ったら意味ないよな・・・」

 

「だったら俺達が教えてやろうか」

 

シュウ達に柄の笑いチャラい奴が三人近づいてきた

 

「風音、俺の後ろに」

 

「うん」

 

シュウの後ろに下がりシュウが前に出る

 

「俺達、地元の人間だから泳ぎは得意だぜ」

 

「よかったら教えてやるぜ」

 

「まぁ、お礼は貰うがな」

 

ゲスイ笑いを浮かべ風音はシュウのパーカーを掴みその手は震えている

 

「悪いけど遠慮します。では」

 

「待てよ」

 

去ろうとするが三人はシュウ達を囲み逃がそうとしない

 

「おいおい一人で美人を二人も独占とはズルくないか」

 

「そうだぜ。俺達にも分けてくれよ」

 

「大人の言う事はよく聞くべきだと思わないか」

 

「大人・・・はは、お前らみたいに無駄に年だけ喰った奴が大人とは笑えるな」

 

「あぁ!」

 

シュウの挑発に乗り三人は怖い顔でシュウに詰め寄る

 

「てめぇ少し痛い目に合わないと分からないみたいな」

 

「じゃあ一発喰らっときな!」

 

一人がが拳を振り下ろすとシュウはその拳を右手で掴むと左手で胸倉を掴みそのまま背負い投げを決め男の体が砂浜に倒れた

 

「まだ、やるか?」

 

残った二人はこのままやられてたまるかと拳を握りシュウに襲い掛かる。シュウは構えを取ると男の手をイカロスが掴んだ

 

「イカロス?」

 

「マスターに危害を加える気ですか?」

 

「あぁ!?放せよテメェ」

 

「聞いているんです。マスターに危害を加える気ですか」

 

シュウはイカロスの様子がおかしいのに気づいた。瞳の色が緑から赤に変わり背中から羽が広がると周囲に衝撃波が広がる。かなり強い力で握っているのか男二人は苦悶の表情を浮かべている。おそらく痛みで声が出ないんだろう

 

「止めろイカロス!」

 

 

シュウの声でようやくイカロスは手を放すがその手はイカロスの手跡がくっきりと残っている。おそらく骨は折れていないだろうがかなりの怪我だ

 

「お前はそんなん(・・・・)じゃないだろう」

 

「マスター・・・」

 

シュウはカードを取り出す

 

「俺達が海に来たことをなかった事に」

 

カードが光り出すとシュウ達の姿は消え海にいた全員からシュウ達の記憶が消されイカロスに捕まれた腕の怪我もなくなり砂浜はいつも通りになった

 

カードの効果でシュウ達は自宅に転送された

 

「悪いな日和。せっかくの海旅行を台無しにしちまって」

 

「ううん。あのままじゃあ大変な事になっていたしシュウ君は最善の判断をしたと思っているよ」

 

「ありがとう日和」

 

「あの、マスター。私は駄目だったでしょうか?」

 

「いいや。お前は俺を守るためにやってくれたからお前を責めるつもりはない」

 

「でも、マスターは怒っていました」

 

「あれはお前がまるで兵器みたいに見えちまって一瞬でもお前にビビっちまった自分に怒っているんだ」

 

「マスターは兵器が嫌いですか?」

 

「・・・あぁ、兵器は人の命を奪うだけで誰にも幸せにする事も出来ずただ人を不幸にするだけでなんか、イヤだなって思って」

 

「じゃあこの話はこれぐらいにして着替えましょうイカロスさん」

 

「はい」

 

二人が部屋に行くのを確認してシュウは守形先輩に電話する

 

「先輩、今日は三人で海に行ったんですがちょっとトラブルがあったんです」

 

『ほぉ、何かあったようだな』

 

「はい。風音達がナンパされてそれを俺が割って入ったら喧嘩になってそしたらイカロスが止めたんですがイカロスのやつが物凄い力を使いました」

 

『・・・それでお前はどう思った?』

 

「思いたくはないです。そして認めたくもないです。ですが事実です。イカロスは愛玩用ではない。おそらく戦闘用のエンジェロイド。シナプスの人型兵器です」


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