そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第七話イカロス初めてのお使い

みなさん初めまして。私は愛玩用エンジェロイド。タイプαイカロスです

私は今、マスターのご命令で空見町商店街に買い物に来ています。マスターから貰ったお買い物メモには肉とカレーのルーと書いてある。マスターのために買い物を成功させます

 

イカロスが商店街に入るとその後ろをシュウ達全員が尾行してきた

 

「やっぱり心配?シュウ君」

 

「そりゃ・・・まぁ、な。イカロスにはルールとかそういった書物は読ませたけど知識として身に着けただけで実際に使っていないから何とも言えないんだよな」

 

商店街に入り八百屋の前に差し掛かるとイカロスが足を止め八百屋にあるある物を見つめている

 

「おい、シュウ。イカロスは何やっているんだ?」

 

「トモちゃん、イカロスさんはスイカ見ているよ」

 

「スイカ?なんでまたスイカなんかを?」

 

「ふむ、エンジェロイドはスイカに興味を示すとは興味深いな」

 

「う~ん・・・日和はスイカを育ていないよな」

 

「うん。スイカは育ててないよ」

 

「もしかして見た事のない野菜だから興味を持っている?」

 

「でも、私も全部の野菜は育てていないから多分スイカだけなんじゃないの?」

 

暫く見ていると八百屋の店主がイカロスと話すとイカロスはお金を払いスイカと何故か糸こんにゃく購入した

 

「あぁ・・・なんか違うぞイカロス」

 

「あらあらいきなりつまずいちゃったわね。これからどうなるか会長楽しみ」

 

シュウの心配をよそに会長は楽しそうだ。八百屋で支払いをおえた イカロスは再び商店街の中を歩いているとイカロスがペットショップの前で立ち止まった

 

「ペットショップ?」

 

「あ、シュウ君。あれ」

 

日和が指さした方を見るとそこにはヒヨコが売られている。イカロスは一羽を手に取る

 

「お肉」

 

「シュウ!止めてくれ。カレーに肉はいらないから止めて!」

 

「私からもお願いします!」

 

智樹とそはらがシュウの体を左右に激しく振る

 

「と、言われてもイカロスの初めてのお使いを中止にする訳には・・・」

 

「安心して。会長、ヒヨコも捌けるから」

 

「そういう問題じゃない!」

 

シュウのツッコミでイカロスの初めてのお使いは終了となった

 

河原に帰りイカロスは買ってきた物を広げる。スイカ、糸こんにゃく、ヒヨコ(お肉)後は醤油だ

 

「ふふふヒヨコカレーなんて会長初めてだわ」

 

どこから取り出したのか包丁を持って笑みを浮かべる会長は物凄く怖いです

 

「会長!止めて!」

 

そはらがヒヨコを抱きかかえ止めてと必死にアピールするが会長はおほほほ・・・と笑いながら包丁を持って近寄る

 

「あぁ・・・なんか色々と混沌としている」

 

「マスター、お買い物はこれでよかったですか?」

 

「まぁ、初めてにしては良く出来たよ。偉いよイカロス」

 

そう言って頭を撫でると少しだけ表情が現れ嬉しそうに見えた

 

「次も頑張ろうな」

 

「はい。頑張ります」

 

結局、肉がないため魚を釣る事にしたがおれが結構釣れない。野生の魚は警戒心が高いためそうそう掛からない

 

「はぁ~釣れないな」

 

「釣れないですね」

 

隣に日和が座って一緒に津入り糸を垂らすが二人共全く釣れない。一方で智樹は既に二匹も釣っている

 

「あれ?シュウ君、そういえばイカロスさんは何処にいったの?」

 

「魚を捕まえるように言ったけどどこ行ったんだ?」

 

周囲を見渡すがイカロスの姿が何処にもない

 

「シュウ、鎖を引っ張ればいいんじゃないか?」

 

「部長、引っ張ったら鎖が見えちゃいますよ。もし、誰かに見られたら俺、変態になりますよ」

 

「会長的にはその方が面白いんだけど」

 

「俺は面白くない!」

 

「待て、何か聞こえるぞ」

 

部長の言葉でみんなが静かにすると確かに微かだが音が聞こえる

 

すると遠くの空から何かがものすごい勢いでシュウ達の前を通り過ぎその際に衝撃波が発生し川の水が空に巻き上がり雨を降らせる

 

「もう一度来るぞ!伏せろ!」

 

「日和!」

 

シュウは日和を庇おうと日和を押し倒す様に伏せた

 

再び来た衝撃波が川の水を空に打ち上げて天然のシャワーが降り注いだ

 

「大丈夫か日和」

 

「う、うん。ありがとう」

 

「「あ!」」

 

今になって互いの息がかかるまでに接近していたことに気づきシュウは慌てて日和から離れる

 

「わ、悪い日和」

 

「ううん。ありがとうシュウ君」

 

互いに顔を赤くして視線を外す。さっきのせいでお互いに目を合わせずらくなってしまった

 

「な、なんだアレ!」

 

智樹の驚いた声で現実に戻った二人は川の方を見るとそこには巨大な魚を抱えたイカロスが立っていた

 

「あれはピラルク。南米のアマゾン川に生息する世界最大の淡水魚だ」

 

「アマゾン!イカロス、お前どうやってアマゾンまでいったんだ?」

 

「私はマッハ24で飛べますので」

 

「マッハ!?」

 

世界最強の戦闘機より早く飛べる。というかあの黄色いタコの先生だってマッハ20で飛ぶのが限界なのにそれを超える生物がいるのか!?あ、生物ではなくロボットだけど

 

「ふむ、マッハ24というと時速は30000キロか・・・これで愛玩用とは笑わせるな」

 

イカロスに対する疑問は深まるばかりだ

 

結局、イカロスの捕まえてきた魚を会長が捌きカレーは作れなかったので糸こんにゃくがあったので肉じゃがを作った

 

「イカロスさんが作ったんだけどシュウ君、食べてみて」

 

一口食べると程よい甘さが口の中に広がる

 

「美味いなこの肉じゃが」

 

「よかったねイカロスさん」

 

「はい」

 

夕食終了後、みんなで後片付けをしていると部長がイカロスを連れてどこかに行くのが見えてシュウはこっそりと後を付けた

尾行していると二人は川辺で話しをしていた。もう少し近寄りようやく二人の話が聞こえる距離までこれた

 

「イカロス、お前はいったい何者だ?」

 

「私は愛玩用エンジェロイド」

 

「とぼけるな。愛玩用が巨大ぎょを生け捕りしたりマッハ24で飛ぶ必要があるのか?かと思えば電算能力は赤子並みで感情にも制限がある。お前は限りなく完全であり限りなく不完全だ。お前はいったい何者だ?」

 

「・・・」

 

「答えろ。お前はいったい何が目的でシュウに近づいている」

 

「私は、何を目的にいしたらいいのでしょうか?」

 

「何?」

 

「私はマスターとこの鎖で繋がっているからマスターの傍にいられます。ですが今日のお使いに失敗しましたがマスターは私を褒めてくれました。失敗したのに褒められる。私は本当にここにいても良いのでしょうか?」

 

(当の本人も分かっていないだと。これはつまり誰かがシュウの元にイカロスを送り込んだと考えた方がいいのか?)

 

「はぁ・・・ならその答えを見つける事だな」

 

「え?」

 

「シュウはお前が傍にいるのを嫌っていない。ならお前はシュウの傍にいればいいさ。シュウの傍が好きなんだろうお前は」

 

「私には好きと言った感情は理解できません。ですがマスターの傍にいるとなんというかフワフワした気持ちになります」

 

「なるほど。なら、その気持ちが分かったらいつかレポートを提出してもらおうか。シュウと永遠の別れがこないように祈りながらな」

 

「はい」

 

部長はその場から去り森の中に入りシュウの横で立ち止まる

 

「盗み聞きとは感心しないなシュウ」

 

「部長こそイカロス連れ出してマスターの知らない所で内緒話ですか?」

 

「シュウ、お前も気づいているんだろう。イカロスは「止めてください!」

 

部長の言葉をシュウが遮り部長の前に立つ

 

「部長、あいつはイカロスです。愛玩用でも他の何だとしてもあいつはイカロスです。たとえあいつが俺に何かを隠していても構いません

成り行きでマスターになっちまったけどマスターになった以上は俺はあいつを信じています。それにこんなアニメみたいな体験はそうそう出来ませんから」

 

「そうか。なら、お前にも忠告してやる。いつか、この日常は無くなるぞ」

 

「その時は俺の隠された力でも見せてあげますよ。それまではせめてあいつには幸せに過ごしてもらいたい。それがマスターとしても務めだと俺は思っています」

 

「そうか。頑張れよシュウ」

 

こうしてシュウ達のとある夏休みの一日は終わった


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