元通りの日常が戻りいつもの生活が戻ったある日の事だ
シュウはいつものように自室のパソコンで深夜番組をリアルタイムで視聴してきた時の事だ。画面には男女が向かい合っている
『愛している』
「え・・・?」
その言葉にシュウはピクッ!と反応した。その時にシュウの脳内にあの時の言葉を思い出した
『愛してますマスター』
その言葉が脳内で何度も再生されるとシュウの頭から煙が上がりそのまま気絶した
次の日
日和、イカロス、ニンフ、アストレア、カオスの五人はのんびりとリビングでくつろいでいる時だ
「ねぇ、アルファー」
「なんですかニンフ?」
「私達が居なくなってあんたとシュウが地球最後の二人みたいになったけど何かあったりしたの?」
「え・・・?」
その時、イカロスの脳内メモリーにあの日に起きた事を脳内で再生された
壊れていく自分の事を見ているマスターに自分は・・・
「!!!」
愛している。そういった事を思い出しイカロスは顔を赤くし頭から煙が噴き出す
「ちょっ!どうしたのよアルファー!?」
「わ、わた・・・私・・・」
「一度落ち着こうイカロスさん」
日和が急いでイカロスを落ち着かせなんとかオーバーヒートするのを防いだ
「すいません取り乱しました」
「イカロスお姉様だいじょうぶ?」
「一体どうしたんですかイカロス先輩」
「実は、シナプスにマスターを連れて行って私の体が壊れ始めて消滅する前に私、マスターに愛していますって・・・言ってしまったんです」
イカロスの告白に日和とニンフは衝撃を受けるがアストレアとカオスに至っては何の事か分からないのかキョトンとした顔をして頭の上に?マークを浮かべている
「それでシュウから返事は貰ったの!?」
「いえ、まだ・・・です」
「はぁっ!事件が終わってから何日経っていると思っているのよシュウの奴は!?」
「落ち着いてニンフさん。多分、色々あってシュウ君も憶えてないんじゃないかな?ほら、その後に世界を元通りにしたり色々あったし」
「でも、それじゃあ納得いかないわ!ここはシュウに白黒はっきりつけてもらいましょう!」
「ですがマスターに迷惑が・・・」
「う~ん・・・シュウ君が起きてこないのってもしかしてイカロスさん同様に思い出したからでしょうか。そうなると無理に聞き出すのは良くないですよ」
無理には聞き出せない。だけどこのままと言う訳にもいかない
悩んでいると縁側の窓が開き会長が現れた
「ここは~緋村君に白黒はっきりつけてもらいましょう~」
会長は新しいおもちゃをみつけたかのようないい笑顔をして不敵な笑みを浮かべた
一方イカロス達が会長の新しい遊びに巻き込まれている頃シュウは自室の机に突っ伏して真っ白に燃え尽きていた
「あぁ・・・どうしよう・・・」
一晩考えたが結局いい案が浮かばずにただ時間だけが無意味に過ぎていった
いや、答えは既に出ている。だがこれは自分のワガママであり到底イカロスが納得してくれるとは思えない
「これってもしかして世界が崩壊するより重大問題じゃね?」
自分に質問しても答えなんて出ない。だが一晩考えているせいで思考が若干おかしくなっているようだ
「あぁ~どうしよう・・・」
その時シュウの携帯が鳴った。表示画面には会長と表示されており嫌な予感がするがシュウはとりあえず電話に出た
「もしもし」
『緋村君~ちょっと窓の外を見てくれないかしら~?』
「窓の外?」
窓を開けて外を見るが特に変わった様子はない
「特に変わった様子はないですよ」
『もっと身体を前に出して~』
「もっと・・・」
窓から身を乗り出すとオレガノが飛んでいた。手には何故かロープを持っている
「・・・オレガノさん。そのローブは何ですか?」
「拘束のための道具です」
「ですよね~」
そこからは速かった。あっという間にオレガノはシュウをロープでぐるぐる巻きにすると家の前に停めてあった会長の車に押し込まれて拉致られた
車に乗せられ向かった先は空見町に唯一ある教会。教会の前で降ろされるとロープに拘束されたまま教会の中に入るとそこには神父の格好をした部長が立っていた
ご丁寧に口に髭をつけて神父っぽくしている
「何やってるんすか部長?」
「まぁ・・・色々とあってな。智樹達も来ているぞ」
「はぁっ!?」
見渡すと長椅子に智樹と見月、ダイダロスが座っておりこっちに向かって手を振っている
「一体何をするつもりなんだ?」
ここに来ても一向に状況が飲み込めずにいると会長が現れるとマイクを手に取る
「では、これより緋村シュウ君の結婚式を執り行いま~す」
「ホワッツ!!?」
突然の言葉にシュウは英語が出てしまった。待て、結構式って・・・まさか!会長はあの時の事を知っているのか!?
「それでは新婦の登場で~す」
登場したのは真っ白なウエディングドレスを着たイカロス、ニンフ、アストレア、カオス、オレガノ、日和が会長のSPに誘導され入場してきた
「ちょっ!会長!これどういう事ですか!?」
「イカロスちゃんから話は聞いたわ~告白されたのにそれに対する答えを出していないなんて男らしくないんじゃな~い緋村君」
「うっ!」
そこを突かれると痛い・・・
「ここではっきりとした方がいいんじゃないの~緋村君。今なら会長が婚約指輪を上げるわよ~。ちなみにお値段は・・・二つ合わせて一千万~」
「一千万!」
という事は一つ五百万。どれだけ高価な指輪を用意してくれているんですかこの人は!
しかし、このままでは色々とマズい。決断しなければ・・・
覚悟を決めたシュウはイカロス達に向かい合う
「イカロス、お前に言われた事は嬉しかった。だから俺もお前に俺の気持ちを伝える」
一度深呼吸をして覚悟を決めてイカロスを見る
「イカロス、俺は・・・みんなが好きなんだ!」
シュウの告白にその場に居た全員が驚き言葉を失った
ここで何か言われると話の流れを持っていかれると思いシュウは言葉を続ける
「イカロスに告白されて俺なりに一晩考えた。でも、答えは出なかったんだ。俺にとってイカロスも日和もニンフもアストレアもカオスもオレガノもみんな俺にとっては全員が大切な人でいつもの日常が大好きだ
だから俺は自分のためだけの事を考えて答えを出した
駄目だというのは分かっている。だけどたとえ誰かを一人なんて決めたれない。だからもしみんなが許してくれるならでいい。俺はみんなを選びたい」
これがシュウが選んだ答え。自分が後悔しないために他人の事を考えず自分の事だけを考えて出した答えだ
「ふ~ん。それが緋村君の答えなんだ。それでイカロスちゃん達はどうなの?
緋村君は多分どうなっても構わないという覚悟で話したんだろうけどイカロスちゃん達はこの答えに対してどう思う?」
「私は・・・私はマスターが私の気持ちに応えてくれた事が嬉しいです。例えマスターがどのような答えを出しても私はマスターの意志を受け入れます」
「私もアルファーと一緒。シュウらしい答えで私も納得」
「はい!私もです!」
「シュウ君が出した答えなら私は構いません」
「これも愛なの?」
「私はシュウ様と出会ったあの時からシュウ様の事を意識しておりました。感情のない私に話しかけてくれて私の美香子お嬢様の元にいるというワガママも聞いてくださった寛大な心をお持ちのシュウ様の考えであるのなら私は構いません」
「う~ん・・・という事はみんな納得という事でいいかしら。これだと指輪の意味もなくなっちゃったわね~」
「その指輪は会長の結婚の時にでも使ってください」
「あら、ありがとう。それじゃあ指輪の交換ならぬ
「何すかそれ!?」
「だって誓いのキスはマズいでしょう。カオスちゃんがいるんだし」
「た、確かに・・・」
流石にロリコンで逮捕されるのはごめんだ
「それにこれはイカロスちゃん達全員の意志なのよ」
「・・・はぁ~・・・分かったよ。お前らがそれでいいというなら俺はお前らの気持ちを尊重する」
最初にシュウはカオスの元に向かいカオスの前で膝をつきカオスと同じ目線の高さに合わせる
「カオス、俺のエンジェロイドになってくれるか?」
「うん!私はずっとおにぃちゃんと一緒だよ」
カオスとの
「お前とは付き合いは短いが本当にいいのか?」
「はい。これからシュウ様の事を知っていければ私はそれで」
「分かった。じゃあこれからよろしくなオレガノ」
オレガノとの
「
「う~ん・・・やっぱり私はバカだから良く分かんないんだけど一つだけ分かった事があるんだ。それはシュウの元にいるのは楽しいんだ
シュウのいる場所、みんなと一緒にいるあの家にいるのが楽しくて居心地が良いんです。だからシュウのいる場所が私にとって自由な場所です。だからお願いします」
「分かった」
「・・・」
「何よ。なんか言いなさいよシュウ」
「いや、お前とこんな日が来るなんて思っていなかったからな」
「まぁ・・・私もこうなるなんて思っていなかったわよ。でもじぶんで 考えて決めた事だからお願いシュウ」
「これじゃ昔やっていた賭けはお前の勝ちだなニンフ」
それはニンフの鎖を断ち切った時にニンフとかわした賭け。自由の意味を理解させるという賭けだ。しかしニンフは首を横に振る
「ううん。シュウの勝ちよ。私がシュウと
次にシュウは日和の元に向かった
本当なら互いに人としてこれから先も生きていくと思っていたがあの日の事故がキッカケで日和の事が良く分かりそれから日和との距離が縮まったのも事実だ
「シュウ君。私は何も後悔はありません。人として生きていけなくなったけどエンジェロイドとしてもう一度シュウ君に会えて今、こうしてシュウ君の前に居られることはわたしにとては最高の幸せです
ですからあの日、言えなかった事を私の気持ちをシュウ君に伝えます
私は、シュウ君の事が好きです」
「俺も日和の事が好きだ。お前が居なくなって初めて分かった。日和はいつも俺の傍にいてくれていつも一緒に居てくれた。俺にはお前が必要だ。これからも俺の傍にいてくれないか日和」
「はい。喜んで」
日和が終わりシュウは最後にイカロスの前に行く
「イカロス、前にお前が言っていた答えは出たか?」
「はい。マスターとの
兵器だった私を受け入れてくれて殺戮兵器である私を誰かを守るため力だと言ってくれてマスターは私の考えや世界を変えてくださいました
ですから私はマスターの事が好きです」
「そうか・・・こうしてお前と
俺のエンジェロイドなってくれ」
「はい。マイマスター」