「シナプスに近付くとお前が、燃え尽きる・・・?」
「はい・・・」
「どうして・・・どうしてそれを今言うんだよイカロス!」
気付いていなかった訳ではなかった。ニンフがイカロスに『分かっているでしょう』と言った時にニンフの言葉に疑問を思ったがまさか自爆装置の事だったとは
「申し訳・・・ございません」
「そうか・・・この状況になって話したのはもう後戻り出来ないようにするためか」
人間は脆弱な生き物だ。生きるためには酸素が必須だ。大気がなくなれば生きていけない
地上は既になくなっておりもう引き返すことが出来ない
「アストレアがカオスを止めてニンフがゼウスを破壊し今、マスターをシナプスに連れて行かなければもう誰も近づくことが出来ない。そしたらマスターの世界もみなさんも救えない」
「みんなを救うためにお前を見捨てろって言うのか!もうこの世界には俺とお前しかいない・・・それなのに、お前まで消えたら俺は一人だ・・・俺を、一人にしないでくれよイカロス・・・」
自然と涙が出てくる。自分の無力さ、イカロスの真意を見抜けずに死なせてしまうという事に
「マスター・・・私がマスターに拾われてから随分な時が流れました
兵器が嫌いと言われたり兵器で良かったと言われた事。日和さん、ニンフやアストレア、カオスがいるあの家が私は大好きで毎日が、一分一秒が幸せでした」
「やめろ!イカロス!」
イカロスが言葉を紡ぐためにイカロスの体に亀裂が走りイカロスの体は崩れていった
分かる
アニメや漫画で仲間が主人公に最後の思いを託すための場面だ。アニメとして見れば感動的なシーンだがシュウが居るこの場所は現実。そんな現実は受け入れたくない
「違う・・・」
「え・・・?」
「幸せなんて言葉じゃ足りない。なんて言葉を使えば・・・・」
その時、イカロスは前にもらった手紙に書かれていた言葉が思い浮かぶ
「愛しています・・・マスター」
そう言ってイカロスは初めて笑った顔を見せた
「ふざけるなよ・・・なんで最後の最後で笑うんだよイカロス・・・」
「愛してます。愛してますマスター」
イカロスの体は既にほとんどが壊れているがそれでもイカロスはシュウに同じ言葉をずっと繰り返していた
「いくなイカロス!なんだっていい。お願いでも命令でもいいから・・・いかないでくれ!イカロス!」
イカロスの体は全てが壊れるとシュウの手の中には可変ウィングの
「イカロス!」
シュウの叫びが空に響き渡り日和、カオス、アストレア、ニンフにイカロス。みんなの思いを全て背負いシュウはシナプスへとたどり着いた