そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第五十五話居場所

部長の話とは自分の昔話だった

自分の兄は優秀で空を飛ぶのが好きだった。ある日、些細な事で喧嘩してしまいその日兄がのるハンググライダーの点検を疎かにした

 

いつも完璧に組まれているため兵器であろうと思ったその日に限ってボルトが一本緩んでいた

 

これにより兄は墜落し亡くなった

 

将来は守形の家を継ぐはずだったが兄が死に両親は部長を恨み弟が生まれると自分は完全にいないものとして扱われるようになったと・・・

 

「それから俺は新大陸を目指した・・・だが目指していたのは新大陸なんかじゃない!ただ、新しい世界が欲しかったんだ!俺が存在していい新しい世界を!」

 

「~~~!ふざけるな!自分が居て良い場所だって、ふざけんなよ!

そんなの自分で決めろばいいだろう。俺は、部長と一緒に新大陸発見部で色々なことをしているのが楽しかった

 

そして俺の目には新大陸発見部にいる部長は楽しそうだった!自分の居場所を探しているなんとより一緒に楽しんでいた!

 

それから智樹が来てイカロス達が来て賑やかになった・・・イカロス達の事で部長は相談に乗ってくれて俺は部長をずっと頼りにしていたんだ

だから・・・そんな風に。自分には友達も何もいないような事を言わないでくださいよ部長・・・」

 

「シュウ・・・お前は俺を認めてくれるのか?」

 

「当たり前です!俺の周りには日和、イカロス、ニンフ、アストレア、カオス、オレガノ智樹に見月、会長がいてその中には部長だって当然いるんです!」

 

「そうか・・・俺には、既に居場所があったんだな・・・」

 

「だから部長、いつものように俺達を助けてください。部長なら何かできるはずです」

 

「あぁ・・・任せておけ。やれるだけのことはやってやる」

 

通話を切り部長はパソコンを取り出しルールにコードを繋げる

 

「いくら石板といえどプログラムだという事は変わらない。今の俺はシナプスの言語が理解できる。落ち着いてやれば出来るはずだ」

 

解析プログラムを使うが石板自体のデータが膨大過ぎて思うように解析が進まない

 

「時間が足りない。何か手はないのか・・・!」

 

気が付くとイカロスのメランが数体やってきた。どうやら部長を侵入者として排除するつもりだ

カオスは既に姿を消しており今は部長一人しかいない

 

(今パソコンを壊されるわけには・・・)

 

部長はパソコンをその場に残しその場から離れようとしたがメランはアルテミスを発射し逃げるのを阻止しメランは部長を取り囲む

 

「くそ・・・ここまでか」

 

だがメランの視線がこちらに向いている事でパソコンの存在をうまく隠せた

 

「まぁ、俺にしてはよくやったんではないか。後は任せたぞシュウ」

 

メランの腕が部長の胸を貫き部長はその場に倒れ後の事をシュウに任せてゆっくりと意識を手放した

 

※※※※※

 

部長との通話を終えたシュウは次の方針をみんなに告げた

 

「シナプスに行くぞ。あそこに行ってこの崩壊を止める。ニンフ、お前の力でZEUS(ゼウス)を無効化できるか?」

 

「無理よ。でも、一回ぐらいなら出来るわ」

 

「なら、俺を連れて一気にシナプスに」

 

「それは無理よ。ゼウスはそこまで甘くないわ。だから私が直接ゼウスを叩いて無力化する

アルファーはその後にシュウを連れてきて分かっている(・・・・・・)でしょう」

 

「うん・・・」

 

「ニンフ先輩!私も行きます」

 

「お願いね。じゃあ行くわよ」

 

「はい!」

 

「待て!二人共」

 

空に上がるとシュウは二人を呼び留める

 

「絶対に・・帰って来いよ」

 

二人はキョトンとした顔をして顔を見合わせると笑った

 

「「命令?」」

 

「そんなわけないだろう!でも・・・もし、それでお前達が帰って来るなら命令でもいい。だから絶対に帰ってこい!」

 

「わかったわよ」

 

「じゃ、行ってきます!」

 

二人は空に上がりシュウは返ってくるように強く願った

 

※※※※※

 

部長が亡くなった石板の前に会長とオレガノが現れ部長の亡骸を抱き起す

 

「英くん。みんなが来るわ。きっと変わる。今度こそ・・・だから英くん・・・今度こそ」

 

そっと抱きしめるとカリカリっと小さな音がした

会長が音のする方を見るとそこには部長のパソコンが置かれており何かのプログラムが実行されていた。それを見て会長は感心しキーボードに何かを打ち込む

 

「やっぱり英くんは天才ね」

 

※※※※※

 

空を飛ぶニンフとアストレアはシナプスがもう目の前にまで迫っている

 

「もうすぐZEUS(ゼウス)の射程に入るわ!覚悟はいい?」

 

「はい!」

 

防空システムが作動し二人に収束砲が向けられ発射された

 

「先輩!」

 

『素粒子ジャミングシステムAphrodite(アフロディーテ)展開』

 

アフロディーテが展開され一撃目の攻撃を防いだ

 

「よし!効いた。今の内に!」

 

「先輩、先に行ってください」

 

「え・・・?」

 

アストレアの視線の先にはカオスの姿があった

 

「カオス!」

 

「クスクスクス・・・行かせない・・・行かせない。やり直すの!やり・・・直す!」

 

「先輩!時間がありません。カオスは私に任せて先に行ってください!」

 

「~~~!分かったわ!」

 

アストレアを残しニンフはZEUS《ゼウス》の中枢に飛び込んだ

 

「クスクスクス・・・アストレアお姉様が私の相手をするの?

私知っているんだよ。くりゅさおるもいーじす=Lも壊れている。そでれどうやって・・・」

 

「カオス。私・・・戦うのが嫌いなんだ」

 

「え・・・?」

 

「喧嘩するの嫌い。傷つけあうの嫌い。美味しいご飯を食べてコタツでぬくぬくしてトランプするのが好き。だから、私だけパンドラが発動しなかったんだ。でも・・・」

 

突然アストレアの出力が上昇する。アストレアのPandora(パンドラ)が発動したのだ

 

「でも、今は約束がある。私は戦う。戦ってあなたを・・・連れ戻す!」

 

現れたのは新しい剣と盾を持ったアストレアが現れた

 

「行くよカオス!」

 

二人の戦いが今、始まった


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