そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第五十四話石板

真っ暗な中に自分が一人いる

力が入らない。目が開けられない。身体が重くて動かない。次第に頭の中が真っ白になっていき何も考えられなくなってきた。眠い・・・このまま眠ってしまっていいんだろうか・・・

 

カオスの攻撃を受けた倒れたシュウをイカロスが体がスキャンする

 

「胸部の損傷40%動脈・・・いや・・・このままじゃ・・・」

 

確実にシュウは死ぬ。応急処置だがイカロスは傷口を手で押さえてこれ以上血がでないようにするがシュウの体からは血がとめどなく流れてくる

 

「アルファー!ビョーインに連れて行けば助かるわよね・・・」

 

「駄目!今動かしたら・・・」

 

「だって血が・・・血がでいているのよ。だったらビョーインに・・・」

 

「今無理に動かしたらそれこそ・・・」

 

「じゃあこのまま何もしないっていうの!だったら私が連れて行くわ」

 

「駄目!やめてニンフ!」

 

しかし今のニンフは完全に思考が混濁しており正常な判断が出来ないでいた

 

「何やっているのですかポンコツ」

 

突然オレガノが現れるとニンフをどかす

 

「何するのよ!はやくビョーインにいかないと」

 

「まったく電子戦用のエンジェロイドのくせに忘れたのですかポンコツ」

 

「あ・・・」

 

その時、ニンフはオレガノが何のエンジェロイドなのかを思い出した

 

「医療用・・・」

 

「そう、私はシナプスが作り出した医療用エンジェロイド」

 

オレガノはあらゆる医療器具を生成し初めにシュウの体をスキャンする

 

『患部スキャン。肺損傷、動脈損傷、出血多量』

 

「なるほど。病院に運んでいたら間に合わない」

 

シュウの今の状況を確認するとオレガノは右手を振り上げ右手をシュウの損傷している胸部に突き刺す

 

『血液生成タイプO注入開始。胸部再生。細胞構築移植開始。死滅細胞除去。自己再生加速・・・終了』

 

施術が終わるとシュウは息を吹き返し目を覚ますとそこには安堵の表情を浮かべるイカロス達の顔が目に入った

 

「あれ・・・俺はあの時」

 

「マスター!」

 

「ちょ!イカロス、ま・・・」

 

待て!と言おうとしたがイカロスはシュウを力一杯に抱きしめた

 

「ぎゃぁぁぁ!イカロス待って。変な音が出ているからメキメキ言っているから!」

 

「あ、あの・・・今度こそ死んでしまいますので・・・」

 

「あ、すいませんマスター・・・」

 

ようやくイカロスはシュウを放す。危うくもう一度死ぬところだった

 

「そうだ!カオスは何処に!?」

 

「シュウ様。美香子お嬢様から伝言です『終わりが始まり、始まりが始まる。また・・・繰り返される』と」

 

「まるでアニメみたいな言葉だな。どういう意味だオレガノ」

 

「申し訳ありません。これ以上は何も言えません」

 

「そうか。色々と助かったありがとうオレガノ」

 

「いいえ、では私はこれで失礼します」

 

オレガノの活躍によりシュウは一命を取り留めた頃カオスはシナプスの石板の前に来ていた。理由はそこには部長が居るからだ

 

「お前はカオスか?」

 

突然のカオスの登場に部長は驚く。しかもいつのまにか大人の姿に成長していれば

 

「あなたのねがい、かなえてあげる」

 

「願いだと?」

 

「このせきばんはるーるっていって、ねがいをかなえてくれるの。しなぷすのひとびとは、なんどもこのせきばんにねがいをかきこんだ」

 

「願いを、書き込む?」

 

「あぁ・・・そっか。よめないよね。なら、よめるようにしたあげる」

 

カオスは部長の頭をハッキングすると部長の頭にシナプスの言語が流れ込んできてもう一度石板を見るとそこには願いが殴り掛かれていた

 

こんな世界イヤだ!

 

新しい世界をくれ!

 

他らしい世界をよこせ!

 

それは怒りや憎しみ希望を込めた殴り書きが書かれている

 

「これは・・・」

 

「るーるはねがいをかなえるそうち。でも、えんじぇろいどはこのそうちをうごかせない」

 

「そうか、だからここに俺を・・・この石板を動かすために・・・だが俺に願いなど・・・」

 

ないと思った時、石板の後ろに子供の頃の自分が見えた。その時、カオスが何をしようとしているのか察した

 

「まさか・・・!」

 

部長の体が自分の意志と関係なく動き石板に一歩、また一歩と近づく

 

「さぁ、あなたのねがいをかなえて」

 

「やめろ・・・」

 

「あなたがのねがいはわたしとおなじ」

 

「やめろ!・・・やめろ!やめろ!やめろ!やめろぉぉぉ!」

 

石板に手が付くと石板は起動し文字が刻まれていく

 

『こんな世界などいらない・・・新しい世界を・・・新世界を!』

 

「違う!おれは・・・!」

 

しかし石板は起動してしまった。起動し石板から光の柱が空に向かって噴き出し光は世界を包み込んだ

 

石板が発動した影響はすぐに地上にも及んだ

 

「何が・・・起ころうとしているんだ・・・」

 

「まさか・・・石板(ルール)が起動した・・・」

 

「イカロス、石板(ルール)って何だ!?」

 

「私達エンジェロイドが造られる遥か昔にシナプスの日知人が造った願いを叶える装置。それを使いシナプスの人々は何度も世界を作り替えたと・・・」

 

「世界を・・・作り替えるだと・・・?」

 

「その初期段階としてまず、シナプスを覗く全てのものが消去されます。人も・・・動物も・・・植物も・・・大地も空も海もなにもかも消えてしまうんです」

 

「じゃあまさか智樹達も」

 

「もう・・・」

 

「どうして・・・こんな事に・・・」

 

その時シュウの携帯が鳴り部長の名前が表示されていた

 

「もしもし部長!」

 

『シュウ、少し、俺の話を聞いてくれないか?』


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