そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第五十話作戦

ハーピーの事件から一夜が明けシュウは布団の上に大の字で寝っ転がり天井を見上げながら考え事をずっとしている

 

シュウが部屋の中で考え事をしている頃、居間ではいつものの新大陸発見部のメンバーが集まっていた

 

「それで、シュウはずっとあの調子か?」

 

「はい。朝食後からずっと部屋に居ます。シュウ君が部屋に閉じこもるのはいつもの事なんですが昨日の一件がありましたから・・・」

 

「緋村君なりに責任みたいのを感じているのね。爆弾に気付かなかった事や助けられなかった事とか」

 

「でも、それは緋村君のせいじゃ・・・」

 

「止めろそはら。例え誰のせいでなくてもアイツは自分に責任があるって思っちまうんだよ。それよりシナプスに乗り込んでこの騒ぎを終わらせるのが先じゃないのか?」

 

何時も平和と連呼している智樹が珍しくエロ以外で行動力を発揮している

 

「それはシュウ次第だな。風音、その辺は何か言っていなかったのか?」

 

「はい。なにも言っていません」

 

「そうか。なら、シュウは何もするつもりはないのかもしれないな」

 

「先輩はこのままでいいって言うんですか!?短い間だったけどそれでもマスターのやった事は許せないです!」

 

「いや、シュウの判断は正しい。現状では我々はシナプスには辿り着けない

ダイブ・ゲームなら乗り込めるがあれは人間だけしか使えない。エンジェロイドであるイカロス達は通れない

本拠地となればそれなりの数のの警備するエンジェロイドがいる。その中を俺達だけで進むのは不可能だ

それを知っているからシュウは何もしない。いや、何も出来ないというのが正しい。そうだろうシュウ」

 

いつの間にかシュウは居間の入り口の前に立っていた

 

「正解です。打つ手なし。それが今の現状です」

 

「シュウ・・・お前だって見ただろう。あいつらは俺達みたいに笑うし泣く。それなのにマスターの命令なんてつまらないものために自分の命を犠牲にしたんだぞ

お前はそれでいいのかよシュウ!」

 

バンッ!とテーブルを叩いて智樹は声を荒げながら立ち上がりシュウの胸倉を掴む

 

「いいわけないだろう!」

 

今度はシュウは声を荒げて智樹は驚きシュウの胸倉から手を放し一歩後ろに下がった

 

「いいわけ・・・ないだろうが。本当なら今すぐにでもシナプスに乗り込みたい。だが、それは出来ない。そうだろうニンフ」

 

「えぇ、シナプスにはZEUS(ゼウス)がある」

 

「それは第二世代のカオスですら太刀打ちできない強力な兵器って事か」

 

カオスを拾ったあの日カオスは体中傷だらけだった。イカロス達の攻撃ですら傷一つつかなかったカオスの装甲を破壊したとなれば相当の威力を持った兵器という事だ

 

「シュウの言う通りね。シナプスには天才と呼ばれる二人の科学者がいるの

一人は私達エンジェロイドを造ったダイダロス博士。そしてもう一人が前まで私達のマスターだった空の王ミーノス

 

ダイダロス博士はシナプス史上最高の科学者と呼ばれているけど昔から大型兵器の開発においてはあの男の方が遥かに上だったらしいわ。その天才が作り出したのが防空システムZEUS(ゼウス)

あれは進化したアルファーでさえも突破できないわ」

 

「分かったか智樹。俺達がどう足掻いてシナプスにはいけないんだ。それに、俺はイカロス達を兵器として使うつもりも戦わせるつもりもない」

 

「くそっ!打つ手なしかよ」

 

バンッ!とテーブルを叩くとポチッ!と音がした

 

「へ?」

 

見るとさっき智樹が立ち上がった事でテーブルの上の機械が倒れ再びテーブルを叩いた時にボタンに触れてしまった

 

光が機械から放たれるとその光はシュウ、智樹、そはらを包み込み機械の中へと吸い込んでしまった

 

「おい二人が消えたがどこに行ったんだイカロス?」

 

「それは・・・」

 

機械の装置には-8と表記されていた

 

光に包まれたシュウが出た先は自分の家の前だった

 

「いてて・・・何だったんだ今のは・・・」

 

「大丈夫・・・ですか」

 

「え?」

 

視線を上げるとそこには子供の姿をしたシュウと日和の姿があった

この時、シュウの頭には一つの可能性が浮かんだ

 

「まさか・・・過去の世界?」


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