「ただいま」
「ケーキ♪ケーキ♪」
家に帰りルンルン気分でアストレアが居間に入る
「お帰り~今すぐケーキを用意するわね」
「わ~い!」
会長がケーキの入った袋を探っているとその手が止まった
「あら?」
「どうした美香子?」
「おかしいわね~確かここに緋村君達の分を入れて置いたはずだけどどこ行ったのかしら。英君、緋村君達の分も食べた?」
「いや食べてないぞ」
「私も食べてません。トモちゃんは?」
「俺は食べかけがここに」
「私のはここにありますので」
「見月は一つ、智樹は食べかけで日和は自分の分はまだある。イカロスは・・・」
チラッと見るとイカロスは会長が買って来た新しいこけしを眺めたり首を取ったり付けたりして遊んでいる
「イカロスちゃんならずっとあんな感じよ~」
「という事は俺とイカロス、アストレアの三人分と自分の分の四つを食べたという事だが・・・」
これだけの数を食べられる奴なんて一人しかいない
「ニンフ、お前だろう」
「私じゃないわよ」
頬を大きく膨らましもごもごと口を動かしている
「じゃあその下に落ちているケーキのフィルムはなんだ?」
ニンフの足元にはケーキのフィルムが三つも落ちている
「ニンフ先輩・・・」
アストレアから怨みのオーラが沸き上がる
「食べましたね。私のケーキを」
「うっさいわね!あんた末っ子なんだから我慢しなさいよ!」
「私よりカオスの方が末っ子じゃないんですか!?」
「カオスは別よ!」
「もう・・・許しませんからね!」
遂に怒ったストレアが立ち上がりニンフもそれに応戦する
「あぁ~これはまた家が壊れるな・・・カオス、イージスを張ってくれ」
「うん。いーじすてんかい」
カオスがシュウ達をイージスで包み安全地帯を作る
「助かったぜカオス」
「えへへ~おにぃちゃん、ケーキ食べる?」
フォークでケーキを刺してシュウに差し出す
「いいのか?」
「うん!はい、あ~ん」
「じゃあいただきま~す」
一口食べると高級なだけあって甘さが絶妙でとても美味しい
「うん。美味しい」
「良かった♪」
ほのぼのとした二人だがイージスの外ではアストレアとニンフが戦闘を繰り広げていた
「極地戦闘型の私に勝てると思っているんですか!」
アストレアがクリュサオルを取り出すと出現したクリュサオルは刀身が折れていた
そこにニンフが蹴りを叩き込みアストレアは壁に激突した
「喰らいなさい!
「そんなのイージス=Lで!」
盾を出すが盾は前回の戦闘で壊されており勿論イージス=Lは展開できずにニンフのパラダイス=ソングを喰らう
「フフン。どうよ思い知ったかしら。これに懲りたら末っ子は末っ子らしく・・・」
その時、オレガノが突然現れるとニンフの顔を蹴飛ばした。倒れたニンフに追い打ちをかけるようにマシンガンを連射し往復ビンタして完全にニンフは撃沈する
「コンブ駆除の御用命は私まで。お電話お待ちしています」
「誰に向かって言っているんだオレガノ?」
「ノリですのでお気になさらないでくださいシュウ様」
「なぁ、オレガノはニンフに何か恨みでもあるのか?」
「そうですね。丁度いい機会ですしお話いたしましょう。あれはまだ私がシナプスにいた頃の事です
いつものように居住区を掃除しているとコンブ様が居住区にやってきました
マスターのお怒りにふれたのか傷だらけでとても寂しそうでした。私達は本来生体しか治療できませんがせめて傷を洗ってキレイにしてあげようとそう思って近づいた時でした」
「よし!気晴らしに歌でも歌おうか」
「その先からは地獄でした。姉妹達は一体、また一体と倒れていきました。その方は度々訪れては歌を歌いました。私達は逃げようとしたのですが撃ハッキングを受けて石畳の上に正座させられ何時間も聞かされたのです
ですから私はこの音波兵器を破壊しなければならないのです。オレガノ代表として」
「こ、この・・・」
「まだ生きていましたかこのちんちくりんが」
再びオレガノとニンフが戦闘を始めた
「ニンフが音痴ってどういうことなんですかね部長」
「いや、おそらく音痴という次元の話ではないのだろう。音は空気を振動させて耳に伝わり鼓膜が音を拾いそれを脳に送る。これが耳の原理だ
しかしニンフのパラダイス=ソングは空気の振動を大きくしてなおかつそれ超音波として放出される。勿論、そんなものを聞いたら鼓膜が破け最悪の場合脳に大きなダメージがある。そのせいでオレガノの姉妹はやられたのだろう」
「なるほど」
「いや、納得していないでそろそろ止めないとお前の家が崩壊するぞ」
智樹の言う通り既に屋根は壊れておりオレガノはロケットランチャーなどを取り出しアストレアは床に横たわりさっきから踏まれたり流れ弾を受けたりと散々な目に遭っている
「そうだな。お~いイカロス。二人を止めてくれ」
「あ、はいマスター。二人共、喧嘩は・・・」
その時イカロスの持っているこけしにオレガノが撃った銃弾がかすりこけしが壊れてしまった
「・・・」
イカロスの目が紅くなり出力が上昇していく
「ニンフさんがいじめる~」
と即座にオレガノはイカロスの後方に退避して全責任をニンフに押し付ける
「え!?」
「ニンフ・・・反省、しなさい」
イカロスは
「ちょっ・・待・・・それ、反省どころじゃ・・・」
しかし今のイカロスはこけしの事で頭が一杯でニンフの声は届かない
「なにか!なにかないの!」
必死に周りを見渡すとあるものが目に入った
「これだ!必殺!末っ子バリアー!」
説明しよう!末っ子バリアーとはアストレアを身代わりにして自分は逃げるというようは身代わりである!
「発射」
イカロスが砲撃をするとアストレアに見事に命中し空の彼方へと消えていった
「アストレア・・・強く、自由に生きろ!」
アストレアに向かって敬礼するのであった