イカロスと名乗る羽の生えた女性と鎖に繋がれシュウは日和と共に家に帰り今はちゃぶ台を囲んでいる
「えっと、まずは自己紹介だよな。俺は緋村シュウ。こっちは幼馴染の日和」
日和も軽く会釈をするがイカロスはあまり表情を変えない。無表情というよりは感情がないようにも見える
「イカロス、お前が知っている事を教えて欲しい」
「はい。私は『シナプス』で作られた製品でマスターを楽しませるのが私達エンジェロイドの仕事です」
「じゃあシナプスについて教えて欲しい」
「申し訳ございません。シナプスについての情報は私の中にはありません。私もマスターに目覚めさせて頂いたばかりですし分かるのは私は愛玩用としてシナプスで作られた製品である事とカードの使い方だけです」
「カード?」
イカロスが一枚のカードを取り出す。裏は真ん中に水晶がはめられておりそこから上と下に翼のようなマークが書かれており表は絵が動いておりまるでブラックホールみたいだ
「このカードはこちらで言うところの転送装置でマスターのご要望に沿った機材をシナプスから取り寄せる事が出来ます」
「じゃあお金が欲しい場合は?」
イカロスがカードを起動させるとカードから光が発生しカードが電卓になりそこに数字を入力するとシュウの頭上にワームホールのようなものが出現しその穴から一万円札の束がいくつも落ちてきた
「すげぇ・・・本物だぞ日和」
「これだけあれば何でも買えますね」
「他に御命令はありますかマスター?」
ここでシュウは少し考えた
確かに空を飛ぶイカロスといいシナプスの製品と言い人類の技術力を遥かに凌駕しているのは一目瞭然だ。だがもし、イカロスの存在が知られればそれを利用とする奴が出るのはアニメでは定石だ
つまり今、やる事と言えばイカロスをあまり人目につけないのが一番の安全策だ
「そうだな・・・この鎖っていわゆるイカロスのマスターが俺であるというのを証明するみたいなものなんだよな」
「はい」
「この鎖を周囲から見えなくする事は出来るか?」
「できます」
イカロスが鎖に触れると鎖が消えた。目に見えなくなるどころか触る事すら出来なくなった。まるで鎖の部分だけ別空間に飛ばされたようだ
「これで日常生活には支障は無くなるな。後は・・・この世界でのルールやマナーを教えないとな」
「シュウ君、それって必要なの?」
「あぁ、シナプスはこことは違う場所にあるというしイカロス自体がこの世界の常識などが欠如していると後で問題になるかもしれない。と、言う訳でイカロス俺達が学校に行っている間にこの本を読んでおきなさい」
そう言って20冊ぐらいの本の山を取り出した。そこには広辞苑、法律のかかれた書物といった難しい本から幼稚園生が読むような絵本など幅広い本が積まれている
「どうしたのこの本は・・・」
「両親の書斎にあった本を持ってきた。とりあえずこれだけの本の内容を憶えれば日常生活には支障はないだろう・・・多分」
と言ってもイカロスについて分からない事がありすぎる。シュウと自分の重さを合わせても軽々と空に羽ばたき空から落ちてきても傷一つついていない。もし、ロボならどれだけの力を秘めているか分からないのも問題だ
「マスター、学校って何ですか?」
「学校とは俺達子供が強制的に授業という苦行を受けさせる場所だ」
「シュウ君、それは違うでしょう」
「まぁ、解釈は人それぞれだが学校にイカロスを連れていくことは出来ない。だからイカロスは俺達が帰ってくれるまで留守番を頼みたい」
「私はマスターが帰ってくる家を守ればいいんでしょうか?」
「まぁ、そういう事だ。その間にこの本を読んで少しでも知識を身につけなさい」
「はいマスター」
とりあえず今日はこれぐらいにして後は全部明日に丸投げしよう。明日になったら部長に事情を説明して今後の対応策を考えないとな・・・
そう考えながらシュウは眠りについた