そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第三十九話言語能力

会長にオレガノを預けた次の日に会長から電話がかかってきた

 

『緋村君~いまから家にきてもらえるかしら~?』

 

「いいですよ」

 

『じゃあ、待ってるわね~』

 

電話を切りシュウは着替えるとニンフが部屋に入って来た

 

「どっか行くの?」

 

「あぁ、会長から家に来てくれって言われたな。多分、オレガノの言語能力を取り付けられた連絡だろう」

 

「じゃあ私も行くわ」

 

「お前も?」

 

「うん。暇だし」

 

「まぁ、いいか。大人しくしてろよ」

 

「デルタじゃないんだから平気よ」

 

台所に行くと日和とイカロスが料理を作っておりそれを後ろからカオスが見ている

 

「日和、ちょっと会長さんの家に行ってくるから昼は先に食べていてくれ」

 

「わかりました。そういえばオレガノさんが来るとなれば夕飯は一人分多く作らないとだねイカロスさん」

 

「そうですね」

 

「おにぃちゃん、私も行っていい?」

 

「別にいいけどちゃんとしているんだよカオス」

 

「うん!」

 

「よし、じゃあ行くか」

 

カオスと手を繋ぎシュウは出掛けニンフもシュウに続いて出掛けて行った

 

外に出てニンフはシュウ達より少し後ろで歩いている。前ではシュウとカオスが手を繋いで仲良さそうに歩いている

 

(何よ。私もいるんだから私と手を繋ごうと思ったっていいじゃないの。あ~あ、本当はシュウと出掛けたくて一緒に来たのにカオスがシユウを独占していちゃ私がいる意味ないじゃない)

 

不機嫌になりながらも行くと言った以上シュウに付いていくとシュウがこちらを向いた

 

「ニンフ、一緒に行こうぜ」

 

そう言ってシュウはニンフに空いている手を差し出す

 

(何よ、気付いているなら最初からそうしなさいよね)

 

「分かったわよ」

 

嬉しさを隠しきれずにニンフはシュウと手を繋ぎ会長の家に向かって歩き始めた

 

十分ほど歩いてようやく会長の家の前に到着しシュウはチャイムを鳴らすためにニンフから手を放した

 

(帰りはもっと長く繋いでやるんだから)

 

ニンフはそう心に決めた

 

「会長さん!緋村ですけど」

 

『あら早かったわね。今開けるわね~』

 

扉が開くとそこには着物に身を包んだオレガノの姿があった

 

「お待ちしておりましたシュウ様、カオス様、それと・・・コンブ様」

 

「ニンフよ!」

 

「ちょ、落ち着けニンフ」

 

怒りだしたニンフをシュウが必死に制止するがいくら電子戦用のエンジェロイドでも力は人間より遥かに上だ

 

「カオス!ちょっとニンフを止めてくれ!」

 

「いいよ~」

 

そう言って刃の羽を出現させてニンフに突き立てた

 

「動くと首が飛んじゃうよニンフおねぇさま」

 

「は、はい・・・」

 

カオスは善悪の判断が出来ないので人だって簡単に殺せる残忍な一面を持っているのでこの行動もおそらくカオスがニンフを止めるのに一番早いやり方だと判断したからだろう

 

「申し訳ございません。まだ言語能力になれていないのでこれから先、言い間違いがあるかと思いますがどうぞよろしくお願いします」

 

カオスが羽をしまうとオレガノはシュウ達に謝罪した

 

「いや、こっちも悪かったな。ほらニンフ」

 

「分かっているわよ。こっちこそ悪かったわよ」

 

素直には謝れないのでニンフは視線を逸らしながら謝った

 

「素直じゃないなニンフは。それにしても言語能力があるとやっぱいいな。前は話すら出来なかったからな」

 

「シュウ、あんたこいつを知っているの?」

 

「う~んと・・・前にシナプスにいった時に会ったエンジェロイドじゃないかなって思うんだけど・・・違う?」

 

「いえ、私はあの時シュウ様に会ったエンジェロイドです。ですがどうして私だと?」

 

「昨日、家に来た時にずっと俺のことを見ていたからもしかしたらあの時に会ったエンジェロイドじゃないかなって思って

まぁ、あの時は名前が分からなかったからミニロスって呼んでたけどな」

 

「ミニロス?なんでまた」

 

「感情が無くて無表情なのがイカロスに似ていてそれでイカロスより小っちゃいからミニロスって呼んでいたが悪かったな変な名前付けて」

 

「いえ、私も少々楽しかったので構いません。オレガノでもミニロスでもどちらので呼んでいただいても構いませんので。では美香子お嬢様がお待ちしておりますのでこちらへどうぞ」

 

踵を返しシュウ達を案内し始める

 

(これが感情というものなのでしょうか。気持ちが昂り高揚状態でとても清々しい気持ちです)

 

シュウが自分の事を憶えていてくれたことが嬉しくて口元が少し緩んだ


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