そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第三十八話オレガノ

私はシナプスの居住区の掃除を担当するエンジェロイドのオレガノ

 

ここでは毎日決まった時間に掃除を始めるのが私達の仕事

 

いつものように掃除をしていると私は時々掃除の手を止めて空を見上げる

 

その時に思い出すのはもうずっと前になるがこの場所を訪ねてきた一人の人間の事だ

人間など初めて見たがその人間はとてもおかしい人だった

 

言葉も話せない私に話しかけミニロスと名前を付けてくれて頭を撫でてくれた

 

頭を撫でられるなんて今までなかったので少し動揺もしたが嫌な感じはなくむしろ心地よかった

 

あの人にもう一度会ってみたいという気持ちが生まれ始めたある日、この居住区にあの人以外の人間を見つけた

 

※※※※※

 

ここはシナプスの誰もいない居住区

ここには居住区を掃除するエンジェロイドがいるだけだがその居住区に守形がパソコンを持って立っている

 

「フム・・・あらかたこの辺りは調べ尽くしたな」

 

パソコンに調査した内容を記録し終えもう一度居住区を見渡すが誰もいない

 

「人のいない居住区か・・・奇怪だな」

 

シナプス人のほとんどはあのドームの中で眠っている。何故、シナプス人は眠っておりこのエンジェロイド達は主のいないこの場所を掃除しているのだろうか

 

謎は深まるばかりだ。この辺りをこれ以上調査しても意味がない。もっと調査範囲を広げねば

 

そう考えていると守形の裾を誰かが引っ張った

顔を横に向けるとそこには箒を持ったエンジェロイドが裾を引っ張っていた

 

「お前が喋る事できれば謎は解けるのかもしれないな」

 

そう言って守形はエンジェロイドの頭を撫でる

 

あの人が撫でたようにこの人も私の頭を撫でるがあの人と同じ気持ちにならないと感じた

あの人だからなのか、それとも二度目だからそうなのか分からない

 

「見つけたぞ!眼鏡野郎」

 

見るとハーピーが息を切らしてこっちに走って来た

 

「学習しない奴らだな」

 

守形の予想通りに二人が現れるとダイブ・ゲームのゲートが開かれ地上へと帰還した

 

「さて、次は・・・ん?」

 

背後に気配を感じ振り返るとそこにはさきほどのエンジェロイドが守形の裾を握って立っていた

 

「・・・」

 

「・・・」

 

※※※※※

 

「・・・というわけでついてきてしまった」

 

あの後守形はそのままエンジェロイドを連れてシュウの家に連れてきていた

 

「なぁ、ニンフ。エンジェロイドはダイブ・ゲーム出来ないじゃなかったのか?」

 

「う~ん・・・シュウの言う通りだけどあの子は私達とはかなり違うのよ」

 

「違うというと?」

 

「医療用エンジェロイドoregano(オレガノ)感情制御は希薄で言語能力も積んでいないからこっちでいうところのロボットに近い存在なの。だから禁忌(タブー)に触れなかったんだと思う」

 

「じゃあもう一度ダイブゲームを使えば戻せるんじゃないか?」

 

「あくまで推測だから次やって元の場所に無事に戻れる保証はないわ」

 

「というわけでシュウ、面倒を見てくれ」

 

「良いっすよ」

 

「随分とあっさりと返事するな。既に五人もエンジェロイドがいるのに」

 

「まぁ、みんな好きでここに居るわけだしこのままオレガノを放置するわけにもいきませんし。それに以前イカロスから数千億の大金がまだまだ余裕で残っているので一人増えたぐらい問題ありません。いいよな日和」

 

「はい。私もこのままというのも可哀想ですし大丈夫です」

 

「ねぇねぇおにぃちゃん。あの子もここに住むの?」

 

「そうだぞ。お前のおねぇさまがもう一人増えるって事だ」

 

「わ~い!」

 

「出来れば言語能力があった方がいいんだがイカロスの持っているカードで言語能力とか追加できないのか?」

 

「それは無理ですマスター。カードの力ではどうする事も出来ません。エンジェロイドを造った科学者でなければおそらく新しく能力を付け加えるのは難しいと思います」

 

「でもこのまま喋れないというのも可哀想だしな。家族になる以上は話せた方がいいだろうし」

 

八方塞がりかと思っていたら会長が手を上げた

 

「はいは~い!じゃあ会長が何とかしてあげるわ~」

 

「え?出来るんですか会長」

 

「明日、家に来てもらえばればこの子に言語能力を付け加えておいてあげるわ」

 

「じゃあ、お願いしてもいいですか?」

 

「任せて~じゃあ明日また連絡するわね~」

 

そう言って会長はオレガノを連れて帰っていき今日が終わった


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