シュウの家から飛び出したカオスは今、桜の木の下で自己修復に専念していた
これからどうしていいか分からないのでとりあえず修復を優先すべきだと判断しカオスはこの桜の木で一休みしていた
休憩していると空が曇りそして雨が降り始めた。最初は桜の木が雨よけになっていたが雨が強くなり雨のしずくがカオスの体に当たり始めた
「冷たい・・・寒い。あのまっくらな海の底みたい・・・いや、もう・・・暗いのは、イヤ・・・」
涙がとめどなく流れ落ちていく。寂しい。一人がイヤ。でも自分はこの世に居場所がない。どうする事も出来ない
「会いたいよ・・・おにぃちゃん・・・」
「呼んだかカオス」
「!」
顔をあげるとそこにはずぶ濡れになったシュウの姿があった
「おにぃ・・・ちゃん?」
「あぁ、俺だぜカオス」
「私、頭が悪いの。だから帰れないの・・・」
「なら、俺の所に来るか?」
「え?」
「頭が悪くたっていいじゃないか。俺の家にはお前より馬鹿な奴がいるんだぜ
それに、頭が悪いなら頑張って勉強して努力すればいい。そうすれば頭だって良くなる
俺がずっとお前の傍にいてやる。だから俺の元に来ないかカオス」
「いい・・・の?」
「もちろんだ」
「あぁ・・・」
自分の居場所。シュウの居る場所が自分の居場所でいいんだ。そう分かった時、カオスは泣きながらシュウに抱き着いた
シュウはカオスを抱きとめるとカオスが泣き止むまで桜の木の下でカオスの頭を撫で続けた
しばらくしてカオスが泣き止むと空も雨がやみ満天の星空が顔を出していた
「じゃあ行こうかカオス」
「うん!おにいちゃん」
二人は手を繋ぎ家へと向かった。家の前では日和達がシュウの帰りを待っていた
「おかえりシュウ君」
「良く分かったな。俺達が帰ってくるって」
「私のレーダーならすぐに探し出せたのにシュウがさっさと飛び出しちゃったから待っていたのよ」
「そっか。ニンフに頼めば空見町中を走り回らなくてよかったのか。忘れていたよ」
「別にいいわよ。それで、カオスをどうするのよ?」
「どうやらもうイカロス達と同じマスターの居ないエンジェロイドらしい。だからこのまま引き取ろうと思うんだがいいかな?」
「私は大丈夫ですよ」
「マスターがそうしたいなら」
「はいは~い!私も賛成です!」
日和、イカロス、アストレアは了承してくれた。残るは・・・
「それで、ニンフは?」
「私は・・・」
ニンフはカオスに一度ひどい目に遭わされている。本当なら許せないがカオスもニンフと同じようにマスターからひどい目に遭わされたのは恰好からして分かる
でも、それでも許せない気持ちがあるのも確かだ
するとカオスがニンフの前にトコトコと歩いてきた
「な、なによ・・・」
「ニンフおねぇさまごめんなさい」
「え・・・?」
突然カオスが謝りペコリと頭を下げたのでニンフはあっけを取られた
「おにぃちゃんに教わったの。愛は与えるもの。ニンフおねぇちゃんに痛いことしちゃった。だからごめんなさい」
「シュウ、あんたカオスになにしたのよ?」
「何ってただ愛とは何なのかを教えただけだよ。それで、ニンフはどうする?」
「・・・わかったわよ。今までの事は全部許すわよ」
「ほんと!」
「えぇ、でも次やったら許さないからね」
「うん!それとイカロスおねぇさまとアストレアおねぇさまも痛いことしちゃってごめんなさい」
「もういいよカオス」
「そうですよ。気にしてませんから」
みんなの和解の光景をシュウと日和は見守っていた
「シュウ君の周りにはいつの間にか賑やかになりましたね」
「昔みたいな静かなのもいいがこいつらをほってはおけないからな。日和は良かったのか?」
「私は昔からシュウ君のそういう優しい所が好きですから。そのおかげで私もいま、こうしてこの場所に居られるんです。シュウ君やイカロスさん達が私を助けるために頑張ってくれた
だから私はシュウ君がやる事は間違っていないってわかっていますから」
「そうか。ありがとな日和」
「いえ、明日からまた賑やかになりますね」
「騒がしくなるの間違いじゃないか。でも、それもいいんじゃないか。人間とエンジェロイドの日常なんてアニメみたいでさ」
そう笑いながらシュウは笑い合っているカオス達を微笑ましく見守っていた
遂に!自分がしたかった事を実現できた
元々はカオスのマスターとして物語を始めようとしたがどうせならイカロス達全員のマスターになっちまえと思ってこのスタイルで書き始めてようやく主要メンバーが全員揃った!めっちゃうれしい
さて、次回はオリジナルの話を一本やります。これは前々から考えてやってみたいと思っていたので早速やらせてもらいます
そしてオリジナルの次はついにそらのおとしもの最後のエンジェロイドであるオレガノの再登場回です
お楽しみに!