そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第三十四話愛

イカロスとシュウが空見町に戻ると家の前ではみんながシュウ達の帰りを待っていた

 

「お帰りなさいシュウ君、イカロスさん」

 

「どうやら無事に事が済んだようだなシュウ」

 

「はい。お陰で色々とイカロスと話せたので会長には感謝しています」

 

「ふふ、イカロスちゃんって自分の意見を言えない子だからこれぐらいしないとね~」

 

「あの、マスター。一つだけお願いをしてもよろしいでしょうか?」

 

「うん?何だ?」

 

「私のインプリンティングを解除してくれないでしょうか」

 

イカロスの申し出に全員が驚いた

 

「ちょっとアルファー!何言っているのよ!?」

 

「そうですよイカロス先輩!自分からインプリンティングを解除して欲しいなんてどうしたんですか!?」

 

「私はマスターの傍に居たいと思っている。でもそれはマスターとインプリンティングしているからではないかと思うんです。だから私もインプリンティングを解いて自分の気持ちを知りたいんです」

 

イカロスは本気だと感じたシュウはイカロスと向き合う

 

「それがお前の出した答えか?」

 

「はい」

 

「分かった。お前が納得するまで悩め。その時にどんな答えが出ていたとしても俺はお前の意見を尊重する」

 

「はい。ありがとうございます」

 

鎖が砕け散りイカロスとシュウの関係が解消された

 

「まぁ、これで俺とお前の関係までもが解消されたわけじゃないから安心しろ。それと俺の呼び方はお前が決めてくれ。今まで通りマスターでもいいからな」

 

「では、これまで通りマスターと呼ばせてください」

 

「あぁ、これからもよろしくなイカロス」

 

こうしてシュウとイカロスのちょっとした騒動はイカロスのインプリンティングを解く事で終わった

 

※※※※※

 

騒動から数日後のある日の夕方の事だ

シュウはすることもなく散歩をしていると公園を見つけて中に入りブランコに座っていると背後から人の気配を感じた

 

「ん?」

 

振り返ってみるとそこには誰もいない

 

「気のせいか?」

 

向き直るとそこには修道女の服を着た少女が目の前にいた

 

「・・・うぉぉぉぉ!」

 

突然、目の前に少女が現れた事に驚きブランコから飛び上がってしまった

 

「ねぇ、愛って痛いんだよ」

 

「え・・・?」

 

「愛って・・・痛いんだよ」

 

「・・・いや、違うぞ」

 

「違・・・う?」

 

「愛が痛いって違うぞ。それは」

 

「違うの?」

 

「うん、違う」

 

「じゃあ愛ってなぁに?」

 

「愛っていうのはだな・・・」

 

なんだろう~

私、緋村シュウはたった十五年しか生きていない若輩者に愛を語るなんて出来るはずがありません

でも流石に愛が痛いというのはかわいそうだ。ここは俺の見てきたアニメ漫画の知識を集大成すればこの状況を乗り越えられるはずだ!

 

全ての情報を参照していきシュウは答えを出した

 

「いいかね。愛と言うのは人に与えたり人から与えられるものなのだよ」

 

「?」

 

「君は痛いを貰って嬉しい?」

 

「痛いは・・・いや」

 

「嫌ならそれは愛じゃない。愛ってのは色々ある。例えば・・・誰かのために行動するのも愛だ」

 

「おねぇさまがしていた」

 

「ならそれは愛だよ。誰かのために行動するなんて普通は出来ないんだから」

 

「そっか。これが愛なんだね」

 

「そう、それが愛だよ。君はお利口だね」

 

そう言って頭を撫でてやると女の子は笑った。どうやら嬉しかったようだ

 

「おにいちゃん、私、もっと愛がほしい!」

 

「あ~でも今日はもう遅いから今日はもう家に帰りな」

 

「お家に・・・帰る?」

 

「それで明日、またこの公園で一緒に遊ぼう。その時にまた教えてあげるから」

 

「約束だよ」

 

「あぁ、約束だ。あ、そういえばまだ名前を知らなかったな。俺は緋村シュウ。君の名前は?」

 

「私はカオス」

 

「じゃあなカオス、また明日な

 

「うん!バイバ~イ!」

 

公園からシュウが居なくなりカオスは空を見上げる

 

「私の帰る場所・・・それは、ますたーのところ」

 

刃の羽を広げてカオスはシナプス目指して空を飛ぶ

 

帰るんだ。ますたーのところに・・・ますたーのところに、帰るんだ

 

雲の亀裂からシナプスが見えようやく家に帰れたと安心したカオスだったがシナプスから高エネルギーの収束砲が放たれカオスの右半分の羽を撃ち抜いた

 

「ます、たー・・・?」

 

『カオス、お前は廃棄処分だ』

 


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