そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第三十二話おかえり

竜巻の中から現れたエンジェロイドは風音日和にそっくりだ

 

「ヒ、ヒヨリ・・・」

 

「・・・」

 

ニンフが声をかけるが何も答えずに杖を振り上げる

 

demeter(デメテル)起動

 

杖から風の刃が放たれイカロス達の羽をたやすく切り裂いた

 

「羽が風で切り裂かれる!」

 

「ニンフ!ここにいてはみんなやられる!」

 

「ヒヨリ!私達が分からないの!?ヒヨリ!」

 

この光景をダイタロスはシナプスから映像として見ていた

日和の首にはエンジェロイドと同じように枷が付けられておりそれは両手両足にもつけられており五人から刷り込み(インプリンティング)されている

 

「なんて・・・事を・・・正気なの!同胞をエンジェロイドに改造するなんて!」

 

「はははは!別に構わんだろう。どうせ夢ばかり見ている連中だ。シナプス人としての誇りを忘れ薄汚い地上に夢ばかり見ている連中だ

だから与えてやった臨んだ現実を・・・望むままにならぬ現実を!さぁやれ!Ζ(ゼータ)地蟲(ダウナー)共を皆殺しにしろ!」

 

 

杖を振り上げると更に気圧が低下していく

 

「気圧が更に低下!このままではマスター達が・・・」

 

「なんとかならないんですか先輩!?」

 

「ヒヨリを・・・壊すしかないわ」

 

「でも、それじゃ日和さんが」

 

「そうですよ!他にだって方法があるはずですよニンフ先輩!」

 

「無理よ。このままじゃヒヨリは全ての人間達を殺すまで止まらないわ。だから私がやるわ

大丈夫。大した装甲は積んでいない・・・超々超音波振動子(パラダイス・ソング)で十分やれるわ」

 

「で、でもニンフ先輩!」

 

「大丈夫。シュウはヒヨリの事を憶えていない。今なら、誰も傷つかない」

 

これが最善の選択。誰かがやらなければならない事。だから私がやるしかない

 

「駄目だニンフ。お前が傷つくだろう」

 

シュウと部長が三人の所に到着しシュウガニンフの攻撃を止めさせた

 

「シュウ・・・でも、ヒヨリが・・・」

 

「安心しろ。俺達は風音日和を憶えている」

 

「そんな!システムに削除されたはずじゃ!?」

 

「あぁ、確かにシュウと同じように俺も記憶を削除された。だが、一人だけ思い出した(・・・・・)奴がいてな」

 

シュウは前に出て日和の前に出る

 

「あの時は忘れていて悪かったな日和。だけどもう忘れない。絶対に助けるから!」

 

 

日和は更に気圧を下げてシュウの耳からは更に出血する。だがこんな所で負けるわけにはいかない

 

「イカロス!日和を足止めをしてくれ!」

 

「了解!」

 

「アストレアはニンフを日和の場所まで運んでくれ!」

 

「え、・・・は、はい!」

 

「シュウ、何をする気!?」

 

「ニンフ、お前の力が必要だ!」

 

「え?」

 

「部長が言っていたんだ。インプリンティングは一種のプログラム。だったらお前のハッキング能力でインプリンティングを破壊するんだ!」

 

「ハッキングでインプリンティングを破壊なんて・・・」

 

「やるしかありませんよニンフ先輩!」

 

アストレアがニンフを抱きかかえアストレアの超加速型の翼で一気に日和の下にニンフを運びニンフが日和の頭を掴んだ

 

「分かったわ!やってやろうじゃないの!ハッキング開・・・」

 

しかし日和もニンフの頭を掴み日和が逆にニンフをハッキングし始めた

 

「きゃぁぁぁ!」

 

「ニンフ!イカロス、ニンフを助けろ!」

 

「駄目です!今近付けば私達までハッキングされます」

 

この状況にミーノスは空の上から意気揚々と見物して地上へとメッセージを送った

 

「お前達がそう来るのは織り込み済みだ。だからとびっきりの電子戦装備を積んでおいた。ハッキングされて私のエンジェロイドに戻るがいい」

 

「くそ!このままじゃアイツの思い通りかよ。何か・・・何か手はないのか・・・」

 

「命令して・・・シュウ」

 

「何言っているんだよニンフ!今はそんな場合じゃな・・・」

 

「お願い・・・命令してくれたらもっと力を出せる気がするの。だから、お願い・・・どうか御命令を・・・」

 

俺はニンフに自由に生きろと言った。だから命令しないと誓っていた。だけど、日和を助けるために俺は一度だけこの誓いを破る!

 

「分かった。お前に最初で最後の命令をしてやる・・・命令だニンフ!」

 

シュウの命令という言葉にニンフが反応する

 

「負けるな!お前の力で日和を・・・家族を助けてくれ!だから、絶対に負けるな!」

 

「はい・・・マスター」

 

あぁ・・・どうしてだろう。シナプスにいた頃の命令なんかよりよっぽど嬉しい

シュウの命令・・・絶対に遂行する

 

その瞬間ニンフの羽が大きくなった。これにはダイタロスもミーノスさえも驚いた

 

「素粒子ジャミングシステムaphrodite(アフロディーテ)展開」

 

ハッキングの空間を展開し日和にハッキングを開始するとあっという間にニンフの注入したウイルスが日和を侵食していき日和のインプリンティングを破壊していく

 

「止めろ・・・β(ベータ)私のエンジェロイドに戻れ。もう一度空に・・・」

 

「黙れ・・・お前は、もう私のマスターじゃ、ない!」

 

システムを制圧し日和を縛っていた五つのインプリンティングhが完全に破壊された

 

これにより気象兵器は機能を停止し竜巻は収まりイカロスとアストレアがニンフと日和を抱きかかえて空から降りてきた

 

「イカロス、日和とニンフは?」

 

「大丈夫です。ニンフはオーバーヒートして冷却モードに入っているだけです」

 

「日和さんも眠っているだけです!」

 

「良かった。お疲れ様ニンフ。そしておかえり日和」

 

こうして事件は終わった

しかし日和はエンジェロイドに改造されてしまいイカロスの話では元の姿に戻る事は出来ないそうだ。だけど俺はそれでも良かったと思える。だって大切な幼馴染で家族が戻ってきてくれたのだから

 

日和が戻って来た次の日シュウと日和は桜の木の下に座っていた

 

「体は大丈夫なのか日和」

 

「はい。こんな体になってしまいましたがもう一度シュウ君に会えたので後悔はしていません」

 

「そっか。なぁ、あの日、俺に話って何だったんだ?」

 

その話題を振られて日和は立ち上がった

 

「それは、また今度にします」

 

「そう言ってまたいなくならないだろうな日和」

 

「大丈夫ですよ。もう何処にも行きません約束します。エンジェロイドになってようやくイカロスさん達と同じになれてようやくスタートラインに立ったと思うです。ですからその時が来たらあの時に話したかった事を言いますので待っていてください」

 

「そっか。じゃあ俺はこれをお前に返さないとな」

 

そう言って日和に鈴の髪飾りを差し出す

 

「シュウ君が持っていてくれたんですね。ありがとうございます」

 

「いいんだよ。昔のようにまた見つけられたんだから」

 

「ふふ、そうですね」

 

日和は髪飾りをシュウから受け取り髪に結ぶ

 

「これからもお願いしますねシュウ君」

 

「あぁ」

 

二人は並んで自分達の家に帰っていった


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