その日の夜
「日和、これから大桜の所に行くけどお前も来るか?」
「行っていいの?」
「別に構わないぞ。新大陸発見部の部活動の一環だけど智樹とその幼馴染の月見も来るし。多分、何も起こんないと思うけど夜桜なんて綺麗かもな」
(シュウ君と夜桜・・・二人きり)
※ほかにも人は来ます
「私も行きます!」
「お、おう」
二人は12時10分前に桜の木に到着すると元々田舎町の空見町の電機は全部消えており空には満天の星が光り輝き桜の木を照らしとても綺麗だ
「部長がいない。こういう時は一番早く来ているはずなのにな」
するとシュウの携帯が鳴った。着信は部長からだ
「もしもし」
『シュウか。すまない今日の飛び降りで美香子に捕まったからいけそうにない』
それだけ言って電話が切れた
「発起人が休むとかどういう事だよ。とりあえず智樹に電話せねば」
電話を掛けるとツーコールで出た
『もしもし』
「あぁ、智樹。実は部長が来れなくなったんだけどお前は来るか?」
『あぁ~じつはそはらも親に外出を止められたんだってよ』
「そうか。智樹、今回はお前の夢の事もあるがほとんどが新大陸発見部の部活だから来なくても大丈夫だぞ」
『まじか!』
「嬉しそうだな」
『トラブルは御免だって言っているだろう。それより本当に行かなくていいのか?』
「あぁ、自由参加だ。勿論来ても構わないぞ」
「絶対行くか!」
智樹が電話を切りどうしようかと考えていると日和は桜の木を目を輝かせながら見ていた
「日和」
「あ、電話終わったんですか」
「あぁ、どうやら全員来れなくなったみたいだから夜桜見物して帰るか」
「はい」
桜の木の下に二人で座り込んで桜の木を見上げて鑑賞していると日和はシュウから少しだけ距離を開けている
(どうしよう・・・今日、色々と言われちゃってシュウ君を意識しちゃう)
チラッとシュウの方を見るとシュウは桜を見上げている
トクン!と日和の心臓が脈を打つ。この時、日和は確信した
あぁ・・・私はシュウ君の事がずっと前から好きだったんだ。子供の頃から一緒で私が困っていると助けてくれて一緒にいるのがとっても楽しくてずっとこの関係が続いていたいけどでも自分の気持ちを知ったら胸にしまっておくのはちょっと辛い
今、この場所には二人しかいない。誰も来ない。それなら今、ここでシュウ君に告白したい!
「あ、あのシュウ君!」
「どうした?」
「わ、私ね」
いざ告白となるとやっぱり怖い。拒絶されたらもう今みたいな関係に戻れないかもしれない。でも、何もしないで後悔はしたくない!
「私、シュウ君の事が・・・す『ピピピピィィィ!』
日和の告白を遮るようにシュウん携帯が鳴った
「あ、悪い。ちょっといいか」
「う、うん・・・」
「もしもし」
『シュウ!その場から離れろ!』
「は?」
「最新の情報を見ていたら何かおかしい」
「おかしい?」
『穴・・・常に・・・急に・・・』
雑音が入りよく聞こえない
「部長!簡潔に言ってください」
『お前のすぐ真上だ!』
上を見上げると何かが降って来た
ドォォォン!
大きな音を立てて地面に衝突し地面にクレーターが出来る
「なんだ!」
恐る恐る穴を覗いててみるとそこには女の人が居た
「人!・・・いや、違う」
よく見るとその女性には羽が生えていた
「シュウ君!上」
上を見ると石柱が次々と雨のように降ってきた
「日和、急いでここから離れろ!」
「でもシュウ君は!」
「俺はこいつを助ける。早く行け!」
シュウは急いで女の人の所まで行き抱き上げて穴から脱出すると周囲の地面には穴がいくつも開いておりここもかなりヤバい!
「シュウ君!こっち!急いで」
「うぉぉぉ!」
走りだすがシュウの頭上に石柱が降って来た
(待てよ。ここで、死ぬ)
目を閉じるが何時になっても痛みが襲ってこない。恐る恐る目を開けるとそこは空見町の空の上だ
シュウが助けた女性は翼を羽ばたかせシュウを担いで飛んでいた
「『インプリンティング』開始」
そう呟くと首についている首輪のようなものから鎖が伸びてシュウの左手に巻き付くとゆっくりと地上に降りると女性はシュウを下ろす
「初めまして。私は愛玩用エンジェロイドタイプ
これがこれから先おそらく一生忘れないだろう非日常の始まりだった