そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第二十八話自分で決めろ!

ニンフが連れ出された事によりシナプスでは部長がハーピーの二人に捕まっていた

本来ならニンフが転送のためのゲートを開くのだが一向にゲートが現れない

 

「すいません。どうやら地上で問題が起きたようで・・・」

 

「あらそうなの?心配ね・・・じゃなくて覚悟はできているんでしょうね!」

 

「こっち!」

 

守形を殺すための一撃を叩き込もうとした時ダイブ・ゲームのゲートが開き中からダイタロスが守形をゲートの中に引き込んだ

転送された先は色々な機械が置かれた研究所のような場所だ

 

「お前・・・は?」

 

「ごめんなさい。本当はもっと早くに教えてあげられれば良かったんだけど」

 

「教える?何をだ?」

 

「第二世代が完成する前に」

 

部屋にテレビのようなものが置かれておりvそこにはニンフが映っている

 

「これは!」

 

「私が造った第一世代を遥かに凌ぐ第二世代が」

 

「私が・・・造った?」

 

「大丈夫。・・・それでも彼女にかなうエンジェロイドなんていない」

 

カオスの前にイカロスが降り立ちニンフの異常ではないのを見て空の女王(ウラヌス・クイーン)となり戦闘態勢を取る

 

「ニンフに何をしたの」

 

『可変ウィング安全装置(セーフティ)解除。出力上昇・・・80・・・90・・・敵未確認機をロック。Artemis(アルテミス)発・・・』

 

アルテミスの発射しようとしたした時カオスの姿が再びシュウに変わった

 

「マス、ター・・・?」

 

「イカロス、命令だ。ニンフを壊せ」

 

「命・・・令・・・」

 

イカロスはニンフに向き直るとニンフの胸倉を掴みかかる

 

「ちょ・・・アルファー!?」

 

「逃げて」

 

ニンフを思いっきり投げ飛ばし空高くへと投げ飛ばした

 

「おい・・・どういう事だイカロス。お前、命令に逆らう気か?」

 

「いえマスター・・・でもニンフを壊すのは・・・」

 

「イカロスお前は、何だ(・・)?」

 

「私は・・・」

 

チャラ・・・と首の鎖が揺れて音が鳴るとイカロスはシュウの前にひざまずく

 

「マスターのエンジェロイド。タイプα(アルファー)Ikaros(イカロス)どうぞ。何なりとご命令を・・・」

 

「じゃあおしおき(・・・・)だ。自分を壊せ。まずは右腕から」

 

「はい・・・」

 

イカロスはためらいもなく自分の右腕を破壊した

 

※※※※※

 

ドォォォン!散歩をしていると大きな音と振動がシユウに伝わって来た。シュウは頭を掻きながら音の方へと向かう

 

「騒がしいな。まったく・・・」

 

イカロスに投げ飛ばされたニンフは山の中に墜落した

 

「アルファーを・・・助けに行かないと・・・」

 

よろよろと起き上がりアルファーの下に向かおうと歩き出す

 

「助けに・・・」

 

だが、その時に気付いた。自分には羽がない。戦闘能力だってない。結局イカロスに助けられて逃がされそれで助けに行って何が出来る

事実を現実を突きつけられニンフは自分の力の無さに絶望し涙が流れる

 

「アルファーも助けられない。戦闘も出来ない。羽もない欠陥品を誰が拾ってくれるっていうのよ・・・!」

 

「ニンフ先輩?」

 

そこにいたのはキノコを両手一杯に抱えたアストレアの姿だ

 

「うわぁ!どうしたんですかその傷!?」

 

(そうだ!デルタなら)

 

「お願い!アルファーを助けてデルタ」

 

ニンフはアストレアにしがみつき必死に懇願する

 

「え!?ちょ、いきなりなんですか?」

 

「きっと・・・ひどい目に合ってる・・・だから・・・」

 

いつも強気でいるニンフが泣きながら頼み事をするなんて異常事態だという事は分かる

 

「分かりました!よくわからないけど行ってきます!」

 

翼を羽ばたかせ空に上がるとシナプスから地上に声が届いた

 

『待て、デルタ。命令(・・)だ。β(ベータ)を破壊しろ』

 

「え?」

 

空の王はあえてニンフに聞こえる様に地上に向かって言っているのだろう

 

『どうしたデルタ・・・早く破壊しろ。いやゆっくり(・・・・)いたぶれ』

 

「マス、ター・・・」

 

『ククク、逃げられると思ったか?お前は一生私の奴隷(オモチャ)だ。さぁ、デルタ命令だ。まずは手足をもぎ、顔にグチャグチャにしろ。命令だ』

 

アストレアはニンフの前に降りると剣を取り出す

 

「すみませんニンフ先輩。マスターの御命令です」

 

「いいのよデルタ。わかってる・・・エンジェロイドはマスターの命令に逆らえない。はは・・・何、夢見てたんだろうな・・・私・・・人形(エンジェロイド)が夢なんて、見れるはずない・・・のに・・・」

 

「ふっざけるな!」

 

ニンフとアストレアの前にシュウが割って入って来た。突然のシュウの登場に二人も驚いたが空の王ですらこの状況に驚いた

 

「シュウ・・・?」

 

「エンジェロイドが夢を見ちゃダメか?エンジェロイドはマスターの命令を聞かなきゃダメか?エンジェロイドは羽がないとダメか?甘いものが好きでお菓子が大好きで動物園で動物見て喜んだりしちゃダメなのか?」

 

「そ、それは・・・」

 

「俺は!」

 

アストレアの言葉を遮りシュウはニンフに振り返りそっとニンフの顔から流れ落ちる涙を拭きとる

 

「良いと思う」

 

「あぁ・・・シュウ!うわぁぁぁぁ!」

 

シュウに抱き着きニンフは思いっきり声をあげてシュウの胸の中で泣いた。シュウは子供をあやすようにニンフの頭を撫でてギュッと抱きしめる

 

「アストレア、その命令はお前が決めた事なのか?自分で決めろ!お前が何をしたいのか」

 

人間は弱い存在。でも今、自分の目の前にいる人間は自分なんかよりよっぽど大きな存在に見える

 

「・・・」

 

『デルタ』

 

「は、はい!」

 

「カオスがいつまでも空の女王(ウラヌス・クイーン)に止めを刺さずに遊んでいる。お前が行って代わりに止めを刺してこい。その地蟲(ダウナー)は後回しだ」

 

「・・・後で、必ず殺しに来てやるから」

 

殺しの宣告をしてもシュウは怯まずにアストレアを見つめる

 

その場から離れたアストレアの頭の中にはシュウの言葉が繰り返し流れてくる。付き合いは短い。最初はお腹空いていたのを助けてくれて、家に招待してくれて美味しいご飯を食べさせてくれて空では一度も味わった事のない幸せが確かにあってそれは全てシュウが与えてくれたものだった

 

「何よ!何よ!何よ!イカロス先輩もニンフ先輩もあんな奴にたぶらかされて・・・あいつに惚れたっていうの?」

 

自分の気持ちが分からずイライラする。いや、分かっているけどその気持ちを素直に受け止められずにいるだけだ

 

「あら、アストレアおねぇさま・・・」

 

剣を振り上げイカロスに止めを刺そうとする。だがその問いシュウの言葉が脳内に響き渡る『自分で決めろ!』

 

「私も好きになっちゃったわよ!」

 

剣をカオスに振り下ろしカオスの羽を一枚破壊した

 

『何をしているデルタ!』

 

「あ、いや。好きと言っても友達として・・・」

 

『早く空の女王(ウラヌス・クイーン)に止めを刺せ!聞いているのか!?』

 

「う、うるさーい!」

 

怒ってアストレアは鎖を力づくで引き千切った

 

「おどろいた自分で鎖を切るなんて・・・ねぇ、それは愛なの?」

 

「わかんないよ!私、バカだもん。でも、これは私が・・・私が決めた事だもん!」

 

カオスと戦う事を決めたアストレアはカオスとの戦いに挑む


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