そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第二十六話予兆

アストレアを家に迎えてから食事に使う食材の量が一気に増えたせいでいつの間にか緋村家から食材が消えてイカロスと日和は二人で買い物に出かけておりシュウは自分の部屋で漫画やアニメを見ていた

 

「あぁ~お腹空いた・・・」

 

ニンフは縁側で太陽の日差しを浴びながら暇を持て余していた

 

「アルファーもドジよね。買い物を忘れるなんて。おかげで戸棚にも何にもないじゃない。あーおやつ食べたい!おやつ食べたい!」

 

とうとう駄々をこね始めバタバタと足を振るがやったところでお菓子など出てこない

 

「あ!まだ冷蔵庫を見ていなかったわ。もしかしたら何かあるかも」

 

一抹の期待を込めてニンフは冷蔵庫を開けるとそこにはアストレアが冷蔵庫の中で体育座りしていた

 

「・・・何、やっているのよ」

 

「お腹空いたから、冷蔵庫を開けたら、何にもない!お腹空いた!」

 

「うっさいわね!私だっておやつ食べたいのよ!」

 

「お腹空いた!お腹空いた!!お腹空いた!」

 

「おやつ!おやつ!おやつ!」

 

「はっ!」

 

その時、アストレアの目に鶏が目に入った

 

「コケ?」

 

鶏がこちらを向きアストレアと目が合う

 

「・・・ジュルリ」

 

「コケッ!」

 

アストレアのお腹がグゥゥゥ~と鳴り涎が垂れると命の危機を感じた鶏が逃げ出すがアストレアは剣を取り出した

 

「チキン・・・」

 

「待ちなさいよデルタ!」

 

「チキン・・・」

 

「その鶏はアルファーが大事に育てているのよ。食べたら殺されるわよ」

 

「はっ!」

 

ようやく我に返り剣をしまうがさっき暴れたせいで余計にお腹が空いた

 

「ニンフ先輩・・・何かないんですか?」

 

「ないわよ・・・あ、あるわ」

 

「どこですか!?」

 

ニンフが向かった先は庭だった。庭には丸々と大きく育ったスイカが実っている

 

「アルファーが庭で育てているスイカよ」

 

「マズいんじゃないんですか?イカロス先輩って確か、スイカを大層可愛がってませんでしたっけ」

 

「えぇ、バレたらシャレにならないわ・・・でも、少しならバレないんじゃない?」

 

「そうですよ!バレなきゃいいんですよ」

 

二人はスイカを食べ始めて三十分後・・・

 

「はぁ~お腹いっぱい」

 

「満足ですね~ところでニンフ先輩。これ、どうしましょうか?」

 

目の前には二人によって食い尽くされたスイカ畑が残っているだけだ

 

「マズくないですか先輩」

 

「以前にこの畑に害虫が寄って来たことがあったんだけどアルファーは一匹残らずArtemis(アルテミス)で撃墜していたわ」

 

Artemis(アルテミス)って半永久的に追いかけてくるあれですよね。どうします?」

 

「とりあえずアルファーが帰ってくる前に片付けて・・・」

 

「ただいま」

 

だが、天は二人を見放した。イカロスと日和が帰ってきてイカロスが無残になった自分の畑を見つけてしまった。イカロスの目が紅くなり頭上に輪っかが出現しニンフとアストレアをArtemis(アルテミス)が補足した

 

「こ、これは・・・デルタがやったのよ!」

 

「えぇ!」

 

「アストレア」

 

「ニンフ先輩!一人だけズルいですよ!」

 

「私は何もしていないもん」

 

言い逃れようとだんまりを決め込んだがイカロスが何かに気付いた

 

「ニンフ、口元についているのは何?」

 

「え?」

 

口元に手をやりくっついているものを取るとそれはスイカの種だ

 

「ニンフも同罪」

 

「まっ・・・!」

 

イカロスが容赦なく二人にArtemis(アルテミス)を発射し二人は逃げる事も出来ずに攻撃を喰らい大きな爆発が起こった

 

「はぁ~良く寝た」

 

さきほどの爆発で目をさましたシュウガ下に降りると家の一部が倒壊しておりその隣ではニンフとアストレアが黒焦げになって倒れていた

 

「これは一体・・・」

 

「ニンフさんとアストレアさんがイカロスさんのスイカを全部食べちゃったの」

 

「それで二人は黒焦げか・・・」

 

イカロスは畑の前に立ち尽くし落ち込んでいる

 

「イカロス」

 

「マスター」

 

「修復カード使って元に戻すか?それとも新しくスイカを買って一からまた育てるか?」

 

「また、育てます」

 

「そうか、頑張れよ。次は手を出してきた者を迎撃するシステムで付けてやれ」

 

「はい」

 

「ほら、ニンフとアストレアはさっさと畑を直すのを手伝え。イカロスはスイカを買ってこい。日和、付いて行ってやれ」

 

「はい。行こうイカロスさん」

 

「行ってきますマスター」

 

「行ってらっしゃ~い。さてとお前らもイカロスのスイカに手を出すとか死にたいのか?」

 

「だっておやつがないんだもん!」

 

「お腹空いていた!」

 

「だったら俺に言えばよかっただろう。ほら、俺も手伝ってやるからさっさと直すぞ」

 

「は~い」

 

「了解です!」

 

三人は畑を直し始めるとその様子をダイタロスはシナプスから映像として見ていた

 

「アストレアも緋村君の所で楽しそうね」

 

その時、突如ドォォォン!という大きな音が聞こえ家が大きく揺れた!

 

「何!」

 

慌てて映像を確認すると外にはハーピーを連れた空の王がいた

 

「探したぞダイタロス」

 

「ミーノス!」

 

「先日、地蟲(ダウナー)がこのシナプスに侵入してきてな。さすがにほおっておけんと思いサクライ=トモキの夢をくまなく調べたらお前のアクセス痕が見つかった。空の女王(ウラヌス・クイーン)の封印を解き地上に落としたのはお前の仕業だな」

 

「・・・だから何?いっておくけどこの家の周りに張り巡らしたバリアはアルファーの絶対防御層(イージス)をさらに改良したもの。ハーピーの超々高熱体圧縮発射砲(プロメテウス)じゃビクともしないわ」

 

「分かっているさ。だから今日は伝えに来ただけだ」

 

「え?」

 

第二世代(・・・・)のエンジェロイドを完成させた」

 

「な、何ですって・・・」

 

「お前の造った第一世代を遥かに凌ぐ戦闘力を持った第二世代(・・・・)だ」

 

「何を、するつもり・・・なの?」

 

「何を?決まっている。α(アルファー)β(ベータ)を破壊する」


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