そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第二十四話シュウと智樹の抹殺任務

石板(ルール)文化祭が終わりいつもの日常に戻りシュウ達は家でのんびりとくつろいでいた

シュウは茶をすすりながら新聞を読みニンフは煎餅を食べながら昼ドラを鑑賞し日和は庭でイカロスの育てているスイカ畑でスイカの様子を見ている

 

「あ、お煎餅が無くなっちゃった」

 

新聞から目を離し煎餅の入っていた袋を見ると中は空っぽになっていた

 

「俺まだ二枚しか食べていないんだが」

 

「いいでしょう。美味しいんだから」

 

「はぁ・・・仕方ない。買いに行くか」

 

「私も行こうか?」

 

「近いから平気。昼ドラでもみながら待ってろ」

 

「は~い。いってらっしゃい」

 

「行ってきます」

 

家を出て近くのスーパーでいくつかお菓子を購入し家への帰り道を歩いていると近くの茂みがガサガサと揺れている

 

「犬か?」

 

立ち止まり茂みから出てくるのを待っていると出てきたのは羽の生えた金色の髪をした女だった

 

「お腹、空き、ました・・・」

 

そう言ってバタンと道の真ん中に倒れてしまった

 

(これ、絶対に厄介な奴だ!)

 

経験から分かる。イカロスの時もニンフの時も突然、目の前に現れて厄介事が起こる、これはもうパターン化してしている

そして今回もおそらく何らかの使命を持って地上に降りて来たエンジェロイドだろう

しかし、今はイカロスもニンフもいないため自分の身は自分で守らないといけないが目の前で倒れられてスルーする事は出来ない

 

「はぁ~、お人好しだよな本当に」

 

頭を掻きながらシュウはエンジェロイドに近付きさっき買ったお菓子をエンジェロイドに差し出す

 

「食べ物の匂い!」

 

シュウの手からお菓子を目にも止まらない速さで奪った

 

「いただきま~す!」

 

モグモグとお菓子を食べ進める

 

「それで、お前は何しにここに来たんだ?」

 

「それは秘密です!」

 

「そうかい」

 

エンジェロイドの前にお菓子を出して左右に揺らし取ろうと手を伸ばしてくるとサッとそれをかわしていく

 

「・・・」

 

「・・・」

 

サッサッサッサッサ!

 

サッサッサッサッサ!

 

「話したらくれる?」

 

「おう、全部くれてやる」

 

「サクライ・トモキ、及びヒムラ・シュウの抹殺です!」

 

袋にぎっしり入ったお菓子を見るなりすんなりと喋った。これはもう少し話を聞けそうだ

 

「なんで抹殺を?」

 

「数日前にサクライ・トモキがシナプスの中枢に侵入したから!」

 

中枢と言うのはおそらくあの石板があった場所だろう

 

「中枢にはなにかあるのか?」

 

石板(ルール)ってのがあってそれに干渉されたらマズいと判断したから」

 

「じゃあもう一人の方を抹殺する理由は?」

 

「イカロス先輩とニンフ先輩を奪ったから!」

 

「なるほど」

 

つまり自分の所有物を盗られたから仕返しに来たと言う訳か。器が小さいな空の王様は

 

「ねぇ、お菓子ちょうだいよ!」

 

「あぁ、じゃあ最後の質問。俺がその緋村シュウだがどうする?」

 

エンジェロイドはすぐさま間合いを取ると剣を取り出した

 

「貴方がヒムラ・シュウですか。いい人だと思ったのに残念です。貴方にうらみはありませんがマスターの命令によって殺します」

 

「マスターの命令ね。エンジェロイドはどうして命令に従う事しかできないのかね」

 

「うるさい!弱い人間が何を言う!」

 

「確かに俺は弱い。お前のその剣を一太刀でも喰らえば死ぬ。だが俺はお前達と違って自分で考えてやりたい事とやりたくない事を自分で決める意思を持っている。お前達なんかよりよっぽど強い」

 

「弱いのに強いなんておかしいです。貴方はバカですか?」

 

「意味を理解できないお前も馬鹿だろう。悔しかったら自分で決めろ。お前のやるべき事はお前が決めろ」

 

「・・・うるさい」

 

「ハイ?」

 

「エンジェロイドは命令を遂行する事が存在意義なのよ!だから黙って殺されろ!」

 

ほとんど逆切れ状態で剣を振りその一振りはシュウののど元を的確に捉えた

 

カキィン!

 

「!」

 

何か硬い物に剣が当たり弾かれた。見るといつの間にかシュウの前にイカロスがイージスを展開してシュウを守っていた

 

「久しぶりアストレア」

 

「イ、イカロス先輩。お、お、お久しぶりです」

 

「やっぱりイカロスの知り合い?」

 

「はい。私やニンフより後に作られたエンジェロイドです」

 

「あぁ~だからお前達の事を先輩と呼ぶのか」

 

「元気そうねアストレア」

 

「は、はい!イカロス先輩もお元気そうで・・・」

 

アストレアと言う名前のエンジェロイドはイカロスが登場するなりガチガチに緊張し冷や汗をかいている

 

「アストレア、マスターに何かあったら許さないから」

 

普段と同じ顔だが目が紅くなっているのでかなり強力な脅しになっている

 

「は、はい!」

 

「そう、ならいい」

 

「終わったか?」

 

「はいマスター」

 

「んじゃ帰るか。あ、そうだアストレア、お前も来いよ」

 

「へ?」

 

「どうせ家とかないんだろう。俺の家に来い。イカロスとニンフがいるからお前を安心できるだろう」

 

「じゃあ、お邪魔します」

 

家に帰り日和達にアストレアを紹介し地上に来た理由を話した

 

「抹殺って大丈夫なのシュウ君」

 

「うん。イカロスが脅したから平気。ニンフはどうだ?」

 

「まぁ、アルファーが言うならいいんじゃない。アストレアは馬鹿だから多分大丈夫よ」

 

「馬鹿ってエンジェロイドだろう。馬鹿なわけ・・・」

 

だが空腹で道端に倒れたりお菓子で簡単に機密情報を答えたりと結構馬鹿なところがあった

 

「馬鹿だな」

 

「でしょう。この機に説明しておくわ

私達第一世代エンジェロイドはこの三つの機能しか積めないの。例えばアルファーの場合は戦闘力と電算能力に特化している分感情が低いし逆に私は電算能力と感情制御に特化した分戦闘能力は低いの」

 

「へぇ~じゃあアストレアは?」

 

「デルタは戦闘能力と感情制御に特化した分電算能力が低い。つまり馬鹿って事」

 

「納得」

 

「じゃあ大丈夫って事でいいんですか?」

 

「そうね。デルタは近接に特化した接近型のエンジェロイドで接近戦ならアルファーよりも上。でも私とアルファーがいれば大丈夫でしょう」

 

「良かったです」

 

こうして新しいエンジェロイドのアストレアが加わったのであった


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