そらのおとしもの 人と天使達の非日常   作:龍姫の琴音

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第二十三話音楽対決と後夜祭

文化祭が始まる前に智樹達の元に私立の連中がやって来た

 

「やぁ、庶民共。わざわざ負けるために僕らに演奏勝負を仕掛けて来るなんてお礼を言わないとだね月乃」

 

「そうですわね義経お兄様。庶民がどんな演奏するのか楽しみですわね」

 

「なんだと!そっちこそ負けた後に吠え面かくなよな!」

 

「ははは!弱い犬程よく吠えるな」

 

「行きましょうお兄様。ここにては馬鹿が移りますわ」

 

「あいつら・・・言いたい事だけ言って・・・」

 

「あ、智樹!」

 

「なんだ、ニンフか。それよりシュウはどうしたんだ?」

 

「実はそれでちょっとお願いがあってね」

 

「お願い?」

 

※※※※※

 

文化祭が始まり体育館では私立の人達がフルオーケストラの演奏が行われていた

一糸乱れない完ぺきな演奏が行われていた

 

「私立の演奏凄かったね」

 

「あぁ~これじゃあ今年も私立の連中に馬鹿にされるかしら」

 

「やっぱり勝つなんて無理なのよ」

 

既に智樹達の負けというムードが広まっていた

 

「そんなことないよ!」

 

「日和・・・」

 

「新大陸発見部のみんなは私達のために頑張ってくれているんだから私達が応援しないと!」

 

「そうね。今年は桜井君や緋村君がいるもんね」

 

「そうよ。空見中の変人であるあの三人がいれば何でも出来るはずよ」

 

「頑張れ!桜井!」

 

「頑張れ!緋村!」

 

「俺達のために頑張ってくれ!」

 

『これより新大陸発見部の演奏を行います。曲名は『チクチク・B・チック』です』

 

幕が上がると作詞、作曲桜井智樹による演奏が始まった。ニンフが伴奏しイカロスがタンバリン、守形先輩がほら貝で演奏し智樹が歌うが歌詞が乳首に関する歌のためドン引きする

 

曲がサビに入ろうとした時にそはらがチョップを智樹に食らわす

 

「トモちゃん、この歌は何?」

 

「すいません。即興だったんでこれしか出来ませんでした」

 

「はーはっはっは!これはまた面白い物を見せてもらったよ」

 

「本当、貧乏人にふさわしいコミックバンドでしたわ」

 

「悪いけど!今までのは全部余興だよ」

 

「なに?」

 

「なんですのその余裕は?」

 

「ヴォーカル交代だ!俺に変わりイカロス」

 

マイクをイカロスに渡しイカロスが前に出る

部隊袖に目をやるとそこにはシュウがおり親指を立ててイカロスにサインを送るとイカロスは頷きまっすぐ前を向く

 

「曲は『Fallen down』」

 

曲が始まりイカロスが羽を広げそしてシュウが仕込んだ動画を後ろの画面に映した

イカロスの声に映像が合わさり観客達は息をするのも忘れるかのようにイカロスの歌声に耳を傾ける

 

「よし、掴みはOKだ。次は照明だ」

 

すぐさま部隊袖から体育館の二階に上がりそこに設置していた照明をスタンバイし曲がサビに突入すると照明を点灯させて光をイカロスに当てイカロスは羽を羽ばたかせ羽が舞い散る

 

そして曲が終了すると私立の連中は逃げる様に体育館から逃走し体育館ではイカロスの名前を呼ぶ声が何時までも続いた

 

演奏終了後シュウ達は中庭で打ち上げを行っていた

 

「いや~私立のやつらを負かせて良かったっすね」

 

「会長も大満足よ」

 

「それよりトモちゃんの最初の演奏は何だったの?」

 

「あぁ、実は俺が一晩徹夜したんだが完成できずに仕方なく時間を稼ぐように智樹にお願いしたんだ。まぁ、余興程度で済むと思ったらまさかあそこまで良くしてしまうとはさすがはイカロス。今回は助かったぜ」

 

「あの映像を一晩で作ったのか。流石オタクのシュウだな」

 

「まぁ、ニンフの手伝いもあったからできた事だ。おかげで最高のPVが出来ましたよ。ありがとなニンフ」

 

「後でリンゴ飴」

 

「分かってるって」

 

「そういえばトモちゃんは後夜祭はどうするの?」

 

「あぁ、行けるわけないだろう。後夜祭は男女が手を繋いでいかないと入れないんだぜ」

 

「俺は興味ないので帰るがシュウはどうするんだ?」

 

「俺も予定なし」

 

「じゃあ、私と・・・」

 

そう言いかけた時ニンフはイカロスが何か言いたそうにしているのが目に入った

 

(あぁ、そうか。アルファーもシュウの事が・・・)

 

「ねぇ、シュウ。アルファーを後夜祭に連れて行ってあげたら?」

 

「イカロスをか?」

 

「だって今回一番頑張ったのってアルファーでしょう。それぐらいしてあげないさいよ」

 

「まぁ、いいか。じゃあイカロス」

 

そう言ってシュウは手を差し伸べる

 

「はい」

 

イカロスはシュウの手を握りシュウと一緒に後夜祭に向かった

後夜祭では一緒に踊る生徒やその様子を見ている生徒がおりシュウとイカロスは手を繋いだまま近くの木陰で話していた

 

ニンフは学校の屋上からその様子を見ていた

 

「やっぱりシュウにはアルファーがいなきゃ駄目よね。大丈夫。私はエンジェロイド。人間なんかよりよっぽど高級に作られているんだかヘーキよ。ヘーキなんだから・・・」

 

そう自分で思っても動力炉が痛くて目からは涙がこぼれ落ちていく


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