シュウが教室から出ると日和は自分の席に戻りお弁当を広げて食べ始めた
(はぁ・・・せっかく一緒に食べようと思ったのに)
残念そうにお弁当を食べ始めるとなにやら外が騒がしくなってきた
「屋上で誰かが飛び降りるって」
「え、それマジで!」
「行ってみよう」
同じクラスの女子の話を聞いてシュウが誰に呼ばれたのか予想がついた
「あれ、日和はいかないの?」
日和が一人で昼食を食べているのを見た同級生の女子生徒が話しかけてきた
「うん」
「そういえばいつも一緒にいる緋村はどうしたの?」
「さっき守形先輩に呼ばれて教室を出ていたよ」
「へぇ~じゃあ彼氏取られて日和はご機嫌斜めなわけね」
「か、彼氏じゃないよ!」
日和は顔を赤くして否定するが同級生はニヤニヤと笑いながら言葉を続けた
「でもいつも一緒に登下校してお昼も一緒で、しかも同棲していて付き合っていないって方がおかしいでしょう」
「同棲じゃなくて居候」
「同じようなものじゃない。そ・れ・よ・り家で二人きりなら何か起きない訳ないよね日和」
「何もないよ。シュウ君、アニメとか漫画が好きだし」
「でもカッコイイじゃない。それに頭もいいし。アニメ好きを差し引いてもプラマイゼロよ。日和が何もしないなら私、緋村君に告白しちゃおうかな」
「だ、駄目!」
自分でも思っていた以上の大きな声が出て驚いたがそれ以上に同級生の言葉に反応してしまった事に恥ずかしくなり顔を伏せる
「いや~日和って可愛いね。まったく、こんなにいい子がいるのに興味を示さないなんてどうなのよ」
「で、でも・・・シュウ君はアニメが好きだけど畑仕事を手伝ってくれるし一緒にお料理してくれたり後片付けとか率先してやってくれるし何かと気遣ってくれるいい人だよシュウ君は」
「あぁ~もう惚気話はいいわよ。ご馳走様」
「惚気話じゃないから」
「はいはい。じゃあ私はちょっと飛び降りを見て来るね」
そう言って教室から出て良きまた一人になった日和は昼食を再開するが先程のセリフを思い出し悶々とした気持ちが胸の中に渦巻き続けた
※※※※※
一方、守形先輩の飛行実験が失敗に終わりシュウはハンググライダーと守形先輩を回収して新大陸発見部の部室に戻ると守形先輩の治療を始める
「どうやら重量計算を間違えたようだな。次は成功するぞシュウ」
「はいはい。って動かないでくださいよ部長。包帯がズレる」
「うむ。すまないな」
治療をしていると部室をノックする音が聞こえてきた
「お客さんですよ部長」
「どうぞ」
「失礼します」
入って来たのはシュウの隣のクラスの桜井智樹とその幼馴染の見月はらだ
「よぉ、智樹。平和が一番のお前がここにくるとは明日は嵐になるな」
「俺だって本当はこんな所に来たくなかったよ!」
「智ちゃん!」
そはらはチョップを智樹の頭に叩き込み大きなタンコブが出来た
「はは、それで何の用だ?」
「実は智ちゃんが子供の頃から同じ夢を見るからそれを相談したくて」
「夢だと?」
守形先輩が反応しクイッと眼鏡の位置を直す。これは話に興味を示したという証だ
「学説では夢とは脳が記憶の整理をする際に発生する電気信号だと言われている。だが所詮それは
部長の言葉に二人共驚いたような表情を浮かべる
「現実の理論で非現実は説明できん」
そう言って部長はパソコンを操作してある画面を開き二人に見せた
画面には地球が映っており地球の上を黒い穴が不規則に移動している
「これが何だかわかるか?」
「いや、全然」
分からないと智樹が首を横に振る
「そうだ。
しかし私にはこの正体が何なのか分かっている。無論お前の夢の正体にもな」
「え?」
「全ては新大陸だ!」
堂々と宣言するが智樹は完全に状況を飲み込めていない
「学会とは愚かなものだ。これだけの質量、移動量。空に浮かび浮遊するこれを新大陸以外になんだというのだ。お前の見ている夢もまた新大陸!新大陸が我々を誘っているんだ
そして運がいいな丁度今日の夜12時に新大陸が空見町上空を通過するんだ。
俺を信じろ。お前の『夢』は俺が見つけてやる」
「ステキです!」
「待て!そはら、こんな嘘くさい話を信じるのか!」
「私も付いて行っていいですか?」
「勿論だとも。では今日の夜12時に神社そばの大桜に集合だ」
「人の話を聞けや!」
「諦めろ智樹。そして運命を受け入れろ。俺も付いて行ってやるからさ」
「シュウ、俺の平和が崩れていく・・・」
この時、俺は思った。今回も何もなく終わって明日になれば笑い話になるのだと。でも現実は予想も出来ない事が起こる。例えば今まで何も起きなかった事が今日に限って起こり智樹の言う平和が崩れ去り非日常が訪れる事を