外から日和とイカロスが戻ってくるとシュウはみんなを連れて空見町にあるファッションセンターやまむらを訪れた
店の中に入ると色々な服が並んでおりその光景にニンフはしばし言葉も出ずに目を見開いている
「さてと、早速、ニンフに似合う服を選ぶとしよう。日和、手伝ってくれ」
「はい」
二人が服を探しに行きニンフはイカロスと二人きりになる
「ねぇ、アルファー。アルファーのその服は日和が選んだの?」
「うん」
イカロスは手に持っているスイカを撫でながら頷く
「人間ってどうして毎日違う服を着るのかな。シナプスではあの服装が普通だったし私達のこの服は自分の機能に合わせて作られて自動的に汚れも取れるから変える必要もないのにどうして人間はこんなにもたくさんの服を作るんだろう?」
「私にはわからない。でも前にマスターが言っていた。服の数だけコーディネートがある。その服をどう着こなすかを自由に探すのが楽しいって」
「自由・・・」
「お~いニンフ。ちょっと来てくれ」
「はいは~い。ねぇ、アルファー、アルファーはマスターがいるけど幸せ?」
「わからない。でも空の上にいた頃よりいいなって思う」
「そう。私もこっちにいる方が楽しいって思う事はあるけどやっぱりマスターは欲しいし命令されたいとも思うのはエンジェロイドだからなのかな」
そう言い残してニンフはシュウと日和の元に行くと二人はフリルの付いたワンピースを持っている
「なに、これ?」
「これはワンピースと言う服だ」
「装甲ゼロ、ステルス性なんて皆無じゃない。こんな服着れるわけないでしょう!」
「ニンフさん、地上ではそういった昨日は必要ないんですよ」
「そうだぜ。イカロスだっておんなじの着ているから大丈夫だろう」
「アルファーは強いからでしょう。私はアルファ―程強くないわよ」
どうしよう・・・ニンフにとって服というものは自分を守るための装備としか見ていない。イカロスの場合は俺が着てと言ったから着ているな
「いつも同じ服だし地上にいる間ぐらいはこういう服を着たっていいんじゃないか。それともお前が選ぶか?」
「・・・まぁ、シュウが言うなら良いわよ」
「そっか。じゃあとりあえずこれ買ってくるな」
会計を済ませニンフにワンピースを着替えさせている間にシュウと日和は次に行く場所を相談していた
「さて次はどうするかな」
「遊園地なんて楽しいんじゃないですか?」
「遊園地は駄目だな」
「どうして?」
「だってあいつらは人の常識を超えたスピードで飛べるんだぜ。ジェットコースターとか楽しめないだろう」
「そ、そうだね・・・」
ニンフはわからないがイカロスはマッハの速さで飛べる。そんな人達がジェットコースターに乗っても楽しめるとは到底思えない
「じゃあどうするんですか?」
「とりあえず動物園にでも行くか」
シュウ達一行が動物園に到着すると予想以上にニンフが食いついた
「まさか動物が好きだったとは・・・シナプスには動物がいないのか?」
「シナプスには動物はいません」
「そうなんだ」
てっきりペガサスとかそういった空想上の動物がいるのだと勝手に思っていた
「ねぇ、シュウ早く行こうよ!」
「はいはい」
ニンフがシュウの手を取り引っ張るとイカロスはそのシーンを見て一瞬だけ動力炉に痛みを感じた
『システムスキャン開始・・・各部異常なし。動力炉異常なし。オールグリーン』
「どうしたのイカロスさん?」
「いえ、なんでもありません」
「そう、なら行きましょう」
日和に手を引かれイカロスもシュウ達の後を追うがさっきの動力炉の痛みはなんだったのかと考えていた
「地上って色々な動物がいるのね。えも、どうしてみんな檻の中にいるの?」
「理由は色々ある。こうやって人間の見世物になる動物、人間が狩りすぎて数が少なくなり保護するためにいる動物と色々だ
だけど動物達はどうなんだろうな
ここにいれば天敵にやられる心配はないし餌だって毎日もらえて野生にいるより長い間生きている事が出来る
だけど檻の中にいる以上は自由に走り回る事も出来ない
お前達エンジェロイドもマスターと言う檻の中にいるんだ。鎖につながれている以上は何処にも行く事は出来ない。お前なら分かるんじゃないか。マスターの居なくなったお前なら」
「確かに鎖が切れてマスターがいなくなったら空が広く感じたのは事実よ。でもやっぱりマスターは欲しいし命令されたいとも思うわ。自分がいて良い場所が欲しい。誰かに必要とされたいという気持ちもあるのよ」
「そっか。なら俺の家にずっといればいいさ」
「え?」
「俺の家にずっといればいいしやりたい事を自分で見つければいい。それはインプリンティングしなくても出来る事なんだぞ」
「ふふ、そうね。何だかシュウの言う事が少しは分かった気がする。鎖はあくまで主従関係を現すためのもの。別になくたって居場所もあるし誰かを手伝えるそういう事でしょうシュウ」
「それだけ理解出来ればいいさ。どうだ俺の勝ちか?」
「まだ始まったばかりでしょう。後一年はゆっくり考えさせてもらうわ」