祭りの次の日
ニンフは洗面所についている鏡に映る自分の首輪を見る。そこには何かのゲージが表記されておりそれが少しづつ消えていっている
「もう、時間がないようね」
「どうしたのニンフさん?」
日和が洗面所にやって来た。手にはカゴを抱えており中には洗濯物が入っている
「何でもないわ。それよりそのカゴはここに置けばいいの?」
「え、そうだけど」
ニンフは日和からカゴを取り上げてその場所に置いた
「ありがとうニンフさん」
「いいのよこれぐらい」
そっけない返事をしてニンフは洗面所から出ていく
「ありがとう・・・か」
不思議な事にありがとうと言う言葉を言われるとすごく嬉しい。でも、どうしてかわからないけど日和に言われるありがとうとシュウに言われるありがとうは同じだけど何かが違う。シュウのありがとうは胸の辺りが熱くなって日和に言われる以上に嬉しく思える
「ほんと人間って変な生き物ね。でも楽しかったわ。ありがとうシュウ。そしてさようなら」
別れの言葉をつぶやきシュウの家を出てニンフは空へと飛び立っていった
ニンフと別れた日和は居間に戻るとイカロスがシュウにお茶を淹れていた
「どうぞマスター」
「ありがとうイカロス」
「ふぅ~イカロスはお茶を淹れるのが上手くなったな」
「日和さんが教えてくれたので」
「幸せそうだねシュウ君」
「そりゃあ、こうやってのんびりしていればね。何も起こらないから幸せだよ」
「ねぇ、シュウ君はニンフさんの事をどう思っているの?」
「イカロスとは違うタイプのエンジェロイドだと思っているよ」
「そうじゃなくて・・・」
「あいつさ、笑わないんだよな。こっちに来て一度も笑った顔を見ていないんだ。あいつはイカロスと違って感情が表に出るけどそれでも笑った顔を見た事がないんだよな。イカロス、お前はニンフが笑っている顔って見た事あるか」
「いいえ、見た事ありません」
思い出すのはシナプスでのニンフの境遇。毎日マスターに酷い目にあわされ泣くのを我慢している。エンジェロイドは笑えない。それは感情がないからではなくマスターの命令を聞くだけのエンジェロイドには笑うなんて必要ないからだ
「そうか・・・さて、ちょっと出かけるか」
「どこかに行くの?」
「あぁ、ニンフを迎えに行く」
「じゃあ私も一緒に行くよシュウ君」
「ありがとな日和」
三人が家を出ると家の前には智樹達が待っていた
「ニンフの所に行くんだろうシュウ」
「ニンフさんのために私もトモちゃんも手伝うわ」
「友達が困っているなら助けないとなシュウ」
「会長も頑張っちゃうわよ」
「作戦は任せろシュウ」
「じゃあみんな、一つ俺のわがままに付き合ってくれ。ニンフを迎えに行く」
※※※※※
シュウの家を飛び出したニンフは祭りが行われていた大桜の所にやって来た
「お祭りが終わったら寂しいわね・・・あぁ、来年も行きたかったな。その時は、今度は一緒にシュウとリンゴ飴、食べたかったな」
「こんな所で何しているのニンフ」
「!」
思い出に浸っているとニンフの前に二人のエンジェロイドが現れた
「どうして・・・どうしてここにあんた達がいるのよ
「そう、