今日 4月20日は"レンちゃん"のお誕生日でしたぁ!!!
二人ともお誕生日おめでとうございます!!!!!
リーファちゃんもレンちゃんも大好きなキャラクターですから…是非とも誕生日限定エピソードを考え中なのですが……何を書きましょうかね(悩)
んー…一人一人書くべきか、それともGGOで二人同時に書くべきか……悩んでしまいますが、誕生日からあまり離れてない日にちに更新出来ればと思っています(敬礼)
さて、今回はいよいよ"あのシーン"を書こうと思います!
何回見直しても幼い子供をあんな風に吊るして連行するのは間違っていると思う作者でありました。
ということで、本編をどうぞ!!
【ルーリッド村・布屋】
“…なんだろ…なんか胸騒ぎする…”
カタンコトンと羽織り機を小さな脚で懸命に動かしながら、あたしはボゥーーと窓の外を眺める。
格別変わったところなどない。
窓から差し込む陽の光はいつものように暖かいし、ドタバタとタイルを蹴飛ばして走り回る子供たちの騒ぎ声は羨ましくもあるが微笑ましく思うし、僅かに開いた窓から流れてくるそよ風はいつものように実に心地よい。
なのに、どうして……こんなにも胸がざわつくのだろうか?
時々聞こえてくる小鳥の
その理由を考えようと羽織り機へとのせている手と足を止めた時だった、コツンと手刀を後頭部を何者かに叩かれたのはーー。
ま、ルーリッド村の広場に面したこの小さな布屋に勤めているのはあたしともう一人……前任者であるテヤンゲさんしかいないのだから。
なので、間違いなくあたしの頭を叩いたのはテヤンゲさんで間違い無いだろう。
そこまで考えたあたしは涙が滲む空のように透き通った蒼い瞳を背後に立っている焦げ茶色の髪へと白髪を混ぜ、首の後ろで結んでいるテヤンゲさんを睨む。
「…ッ」
「…カナタ、手が止まっておりますよ。それに網目もまだらではないですかっ」
あたしの読み通り、背後におられた前任者殿は腰へと両手を添えて、"私怒っているのですよ"というオーラを出しており、逆あたしを睨んでくる髪と同色の瞳を前にして反抗を続けるわけにもいかず、いつもお尻ペンペンという躾を受けているあたしは眉間によっていたシワと細まっていた目を元に戻す。
そんなあたしがぬった布地を見下ろしたテヤンゲさんが小さく溜息を一つつく。
「……普段は悪ガキのように手がかかりますが、私が見てきた中で貴女が仕事をお粗末にしたことは一度たりともありませんでした…そんな貴女が今日はこの有様。
何かアリス達とあったのですか?」
険しかった瞳へと穏やか陽の光のような包み込む暖かさを含ませながら尋ねてくるテヤンゲさんに"あの出来事"を言ってしまってもいいのだろうか?
昨日起きた事、昨日の夜アリスと話した事、あたしが感じているこの訳のわからない胸のざわつきをーー。
しかし、もし言ってしまって……アリスやキリト、ユージオがちくったあたしの巻き添いをくらってしまったならば?
“そんなのダメだっ!やっぱりあたしで…あたし達でなんとかしないと…!"
そう結論づけ、心の中で小さく意気込むあたしを見て「ふ」と小さく笑ったテヤンゲさんはクスクスと笑う。
「カナタもそんな深刻な顔が出来るのですね。いつもお気楽な顔をしているのでそういうのは出来ないと勝手に思っていましたよ」
「て、テヤンゲさん!!」
「ふふふ。怒れるのですから…元気なのは元気なのですね」
そう言って、自分の指定席へと戻っていくところを見るとどうやらテヤンゲさんはあたしをからかうことによって元気付けようとしてくれたらしい。
“たっく…人がこんなにも悩んでいるっていうのに…”
しかし、テヤングさんにからかわれてた事が余りにも悔しかったあたしは頬をまん丸に膨らませて、クスクスと笑い続けるテヤングさんを睨む。
「あと少しでお昼になりますよ。きっとアリスがお弁当を持ってきてくれます。それまでにあと一枚布を完成させましょう」
「はーい」
そう返事した瞬間だった。
バタバタと大きな鳥のようなものが舞い降りてくるような羽音が聞こえたのはーーーー。
“…へ?羽音…?”
羽音で最初に連想できたのは昨日見た白銀の飛龍と真っ黒な飛龍だった。
しかし、こんな辺境のど田舎に飛龍を飛ばしてくる人などいるのだろうか?
そもそも飛龍を乗りこなせる人など公理協会の整合騎士くらいしか居ないのではないだろうか?
ーーちょ、ちょっと待って……飛龍……?……整合騎士……?
そんなワードが連想的に浮かんできて、最終的に浮かんだのはダークテリトリーの土に指先を触れさせてしまい顔を青ざめせているアリスの姿に、昨日小刻みに震えながらあたしにすがってきたアリスの姿だった。
“アリスゥッ!!!”
"アリスを助けなちゃ"という気持ちで頭がいっぱいになったあたしはテヤングさんが止まるのも押し切ってから外へと飛び出していた。
「…ぐっ…なんでこんな人が……前が見えない…っ」
何か珍しいものが来ているのか、ルーリッド村の広場は老若男女、年齢問わずの村人たちで埋め尽くされており、あたしは大人の肘に頬や背中、お腹を殴られながらも人混みを掻き分けて……やっとこさ、辿り着いた前列で見たのは、広場の北半分以上を占める巨体で太陽《ソルス》の光を跳ね返しては氷の彫刻みたいに冷たい印象を受ける。
その巨体を支える翼は両側に畳み込まれており、そこだけ血が流れているように真っ赤な無感情の瞳は広場を見下ろしている。
そして、見下ろされている広場の……いいや、竜の前に立っている騎士がいる。
村の誰よりも逞しく大きな体躯を磨き抜かれた重鎧を一部の隙間なく全身に着込み、関節部から覗くのは細かく編まれた銀鎖である。竜の頭部を用いた兜からはおでこのところに一本、両脇から二本大きな飾り角が伸びており、彫りの深い顔立ちを隠してしまっている。
“…何か見てる?”
その騎士は顔を横へと向け、何かを見守っているようにも思える。
その視線を辿ったあたしは目を丸くする。
“…村長…?それにアリス……なんで…?”
竜の首に巻かれた太い鉄鎖から続く先にあるのは革帯が三本平行に取り付けられ、鎖の上端は大きな輪になっている奇妙な拘束具をアリスの華奢な身体へと巻き付けている。
「……っ」
“…アリスっ”
父親に奇妙な拘束具を巻き付けられているアリスは強張った顔でグルリと辺りを見渡した後に前列にいるあたしを視界に捉えた後に強がったような表情を浮かべた後に"大丈夫だよ"と微笑んだ後、静かに前を向く。
「……っ!」
駆け出そうとするあたしの耳に聞こえるのは聞き覚えのある少年の叫び声だった。
大男三人に組み伏せられている小さな身体を包み込むのは藍色の半袖に長ズボン、そして男たちの隙間から見える黒いショートヘアはきっとキリトだろう。
「……ユージオ頼む!行ってくれ!」
大男を自分から引き剥がそうとしているようで大暴れしながら、横に棒立ちになっている水色の半袖に長ズボンを身につけている亜麻色のショートヘアを持つ少年・ユージオへとアリスを助けてくれと頼んでいる。
「ユージオ!せめて、こいつらをどかしてくれ!そしたら、俺がーー」
ユージオも助けようと震える脚を動かしながら、また一歩一歩とタイルを踏みつけているが右手をおさえたまま動かなくなってしまう。
そうしている間にも竜は飛び上がり、アリスの小さな身体が宙に浮く。
「ーーユージオ!」
「ユージオがダメならあたしが行く!」
「…カナタ…?」
キリトの悲鳴が混じった叫び声を遮り、あたしは大暴れするキリトを抑えるのに夢中な大人達の横を駆け抜け、勢いよくその場にしゃがみこむと今度は勢いよく立ち上がり、その動きによって作られたエネルギーを携えて飛び上がる。
「うりゃあアアア!!!」
“くっ…とどけっ!届いてくれ!!頼むから!!”
昨日の晩、アリスと約束したんだッ!!
"あたしがアリスを一人にさせないよ"と、"あたしがみんなに送った紐には死ぬときは四人一緒という約束を果たすまで切れないようにという
キリトとユージオ。あたしとアリス。
二人組に暫くの間分かれてしまうけど、必ずいつか再会出来るとあたしは信じている。
ううん信じているじゃない……あたしがさせるんだ!アリスとキリト、ユージオという大好きな大切な
「くっそぉおおお!!!」
だから、助走をつけて飛び上がったこの左手がアリスを吊るしている鎖に届いてくれさえすればーー
「ーーとどけ…とどけ…届ケェヨォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
喉が潰れるくらいに大きな声を上げたあたしの左手はみるみるうちに鎖との距離を縮めていき…そしてーー
「…くっ」
ーーガシッと鎖を掴んでいた。
驚く整合騎士や飛竜、村の大人たち…そして、とってもお世話になったテヤンゲさんの顔と驚きに満ち満ちているキリトとユージオの顔を見下ろしながら、全身に吹きつけてくる暴風に抗うようにあたしはアリスと共に人界の真ん中に大きく聳え立つ塔の中へと連行されていくのだった。
もう一話で現実世界へと戻ります!(敬礼)
久しぶりにシノンちゃんとの絡みを書くのかが楽しみで楽しみで仕方ないですし…!
何よりもゲームオリジナルキャラを何処まで出そうかと思うとワクワクしちゃってます(笑)