sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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更新、遅れてすいません……(大汗)

詰め込みたいところまで詰め込んでいたら、ここまで時間が掛かってしまいました……ほんとごめんなさい。

さて、大変待たせてしまった今回は前回紹介されてもらった通りにBoB予選戦の決勝での話です。
戦闘シーン、盛り上がってもらえると嬉しいのですが……私自身まだまだですので…(笑)
余り手に汗流れないかも…

と、余り長くなるといけないので……それでは本編をどうぞ!!


031 過去へと終止符を

【Kanata VS Kureha

準備時間 : 43秒

フィールド : 朽ち果てた高速道路】

 

真っ暗な空間の中、あたしは目の前にある大きなウィンドウに書かれている対戦相手の少女を思い浮かべる。

 

ピンクのサイドテール、可愛らしく整った顔立ちにはめられている水色の瞳にピンクと白を基調としたジャケット、黒いミニスカート、ピンクと白のニーソックス。どれをとっても彼女の可憐さを引き立てているとあたしは思っている。

そして何よりも彼女は今まで戦ってきたプレイヤーよりも闘志というか、実力的にも侮れない気がする……そういえば、この前も全身ピンク色の闘志丸出しのプレイヤーに砂漠フィールドで対峙したことがあった。

それが間違った形で我が恋人殿に噂と言う名の風によって伝わり、今のそのことで白い目を向けられているというわけだ。

 

とほほ…つくづくあたしは女難の相に悩まされるらしい。

 

とそんなくだらないことはよくて、今は対策を打たないと。

 

「…クレハは遠くからの攻撃も近くからの攻撃も得意っぽいよね」

 

ぽいではなく、そうなんだろう。

今まで相手によって、ランチャーかライフルかを選ぶ程度で彼女の基本的な戦闘方法にあまり変わりはない。

どっちの距離もそつなくこなしているように思えるし、あたしのような超至近距離タイプにとって、この手のタイプは一番扱いづらい。

 

(さてさて……どうしたものか)

 

どうしたものかも何かも侮れない相手だからこそ全力を出し尽くすべきだろう。

つまり今回の予選決戦はあいつを使用するというわけだ。

 

「まさかこんな早くコイツを使用することになるとは、ね」

 

あたしはゼロに近づく準備時間をただジッと見つめながら、カキカキと銀髪を掻く。

 

 

ττ

 

 

【Sinon VS Skia

準備時間 : 32秒

フィールド : 失われた古代寺院】

 

真っ暗闇な空間の中、私は目の前にある大きなウィンドウを見つめながら、対戦相手となる少女の事を思い浮かべていた。

 

真っ黒な肩を少し越すくらいの髪、凛々しく整った顔立ちにはめ込まれた髪と同色の切れ長な瞳、真っ黒なゴスロリ衣装、足元も真っ黒なタイツで決めており、唯一色が違うのは頭の上に乗っているフリルのついたカチューシャくらいだろう。

 

(これは困ったわね……スキアはその名の通り、影のように相手に音なく忍び込み、超至近距離からの攻撃スタイルを貫いている)

 

もし、近づかれたならば……私に勝機はないだろう。

私が得意とするのは超長距離からの狙撃。

 

ならばどうするか、それはーー

 

「ーーすぐに身を隠すしかないわね」

 

ゼロになった準備時間を見て、気を引き締めるべく大きく深呼吸をした。

 

 

ττ

 

 

【Kureha VS Kanata

準備時間 : 43秒

フィールド : 朽ち果てた高速道路】

 

真っ暗闇な空間の中、あたしは目の前にある大きなウィンドウを見つめながら、対戦相手の少女となる事を思い浮かべる。

 

銀色の短めの髪をちょこんとうなじのところで結び、雄々しく整った顔立ちにはまるのは空のように澄んだ蒼い瞳、赤いロングコートに赤い長ズボン、黒いワイシャツは砕けたように二つボタンを外している。

 

(うーん、カナタさんってスキアと同じスタイルなのかな?)

 

今までの戦闘は相手が撃ってくる銃弾をその巨体に似合わずにしなやかに避けると一気に距離を詰め、『お疲れさん』と言い放ったうちに手に持ったアサルトライフルで相手を撃ち抜くというのが主流のように思えた。

しかし、勝った後に浮かべる含みある笑みの裏に何かあるように思えて、まだ彼女をどのように攻略すればいいか決めかねている。

 

「うー、もう当たって砕けるしかないよね!!って……これだとマフーに砕けちゃダメでしょうって言われちゃうかも」

 

準備時間がゼロになったウィンドウを見つめながら、あたしはギュッと両手を握りしめた。

 

 

ττ

 

 

【Skia VS Sinon

準備時間 : 32秒

フィールド : 失われた古代寺院】

 

真っ暗闇な空間の中でワタクシは大きなウィンドウを見つめながら、対戦相手となる少女の事を思い浮かべる。

 

水色のショートヘアー、人形めいた可愛らしさを持つ顔立ちに猫を思わせる藍色の瞳、深緑色のジャケットに白い体に張り付くようなタイプのシャツ、真っ黒な短パン。

 

(やはり、先手必勝ですわよね)

 

あの巨大なスナイパーライフルで超長距離から狙撃されたならば、まずはワタクシに勝ち目はないだろう。

狙撃手(スナイパー)が放つ最初の一発だけは《弾道予測線(バレットライン)が分からないようになっているようでーー

 

(ーースピードの自身のあるワタクシでも見えない弾を避けるなんて事は出来ませんからね)

 

ならば、する事は一つしかない。

相手が狙撃出来る距離まで逃げるまでに、音を立てずに近づき、一気にHPを削る(息の根を止める)しかないだろう。

 

「マフー、見ていてくださいね」

 

準備時間がゼロになったウィンドウを見つめながら、ワタクシはその名のように真っ白な少女を思い浮かべ、微笑んだ。

 

 

ττ

 

 

「シュピーゲルは負けちゃったの?」

「ズバッと訪ねてくるんだね、マフユちゃんは」

 

真っ黒なベンチに淡い紫色の線が走る待機室に設置してある個室に二人年若い少年少女の姿がある。

真っ白なダボダボパーカーに身を包む少女・マフユにそう問われ、物腰の弱い優男のように思える少年・シュピーゲルは苦笑いを浮かべつつ、さっき始まった決勝が映る画面を見つめる。

つられて見るマフユが画面に映る自分の主人の姿を見て、無表情だった顔を淡いが笑みで綻ばせる。

 

「マスターもクレハも凄い。これならカナタやシノンにも勝てーー」

「ーーそれはどうかな?」

 

マフユのセリフを遮り、意味深に笑うシュピーゲルを真横で見るマフユが遮られたセリフの意味が分からないようで小首を傾げていた。

 

 

ττ

 

 

【朽ち果てた高速道路

決勝対戦 Kanata VS Kureha】

 

「さぁーて、クレハは何処かな〜ぁ」

 

トコトコとなるべく目立つ(・・・・・・・)ように道路の所々掠れている黄色い線の上をゆったりと歩く。

 

すると間も無くするとーー

 

「ととっと、と……おお、あそこに隠れているわけね」

 

ーー自分目掛けて、まっすぐ伸びてくる真っ赤な弾道…バレットラインが無数にあたしの身体を突き刺す。

あたしは飛んでくる弾丸を避けつつも少し頬を掠めたりしながら、その赤い線の先を見る。そして、その線の先にいるピンクサイドテールの少女を見て、ニンヤリと笑う。

 

「君にあたしと相棒(こいつ)を止められるのかな?クレハ」

 

そして、奥の手として出しておいた相棒を構えると、疾風を起こしながら、そのピンクサイドテールに向かって走っていく。

 

 

τ

 

「何よあれ!?」

 

今まで丸腰で自分に歩み寄ってきたカナタさんが出現させたのはーー鉄独特の無機質な光を放つ緩やかに反りがある刀身、カナタさんが掴んでいる所は黒いゴムが巻かれているようで……まさにそれは刀。

そう刀。

この銃と鯖、鉄臭い世界……"洋"で統一された世界に無縁の"和"を表すもの。

 

(あんなので斬られたひとたまりもないわ!!)

 

取り敢えず、新しく隠れられる場所をと思い、あたしが腰を浮かした時にはもう既に勝敗は付いていた。

 

「みーっけ、クレハ」

 

嬉しそうな声でそういい、あたしを自分の方へと引き寄せて、無抵抗なさせたカナタさんはあたしの首筋を無機質な冷たさを浴びる刀先を少し押し付ける。

それだけであたしは恐怖から両手に持っていたアサルトライフルをコンクリートへと落としたのだった。

 

「素敵な作戦だったけど、あたしと相棒を止めることは君には難しかったらしいね」

 

そういい、あたしが落としたアサルトライフルを手の届かないところへと蹴飛ばしたカナタさんはまだきっと気づいてない筈…アレをこの決勝前に装備した事を。

 

(お願い。気づいてないで)

 

そう祈り、腰へと両手を回したあたしはそこにある筈の拳銃(アレ)がない事に酷く動揺する。

 

「ッ、まだ……ってあれ?」

「腰にこっそり潜めていたのはこの拳銃かな?」

 

そう言い、ニヤニヤとあたしが装備していた拳銃を余裕な笑みを浮かべながらクルクルと回していたカナタさんに打つ手が無くなったあたしはゆっくりと身体の力を抜く。

 

「……う、そ」

「相手を取り押さえた時はまずは無抵抗化に勤しむべし、我が家の家訓」

「……もうなんなんですか、その家訓。さぁ、撃ってください。あたしの負けですから」

 

こんな場所なのに、この人は何処までも飄々としている。

きっとこの人にとって、あたしなどは雑魚の中の雑魚なのであろう。

そんな人と戦えた事にあたしは誇るべきかもしれない。

 

(これに決勝まで来たんだから…明日の決勝には出場出来るし)

 

そう思い、カナタさんに撃ってもらおうとしたあたしにカナタさんは困ったように頬をかくとギザな事を言う。

 

「あぁ、その事だけど……降参(リザイン)してくれないかな? ほら、クレハみたいな可愛い子切るのあまり好きじゃないし」

 

そう言い、照れたようにはにかむカナタの笑顔がクレハには眩しく思う。

 

(……これが更衣室に向かう前に、女性プレイヤー達が言ってたカナタ様スマイル)

 

確かに、これは惚れてしまうかもしれない。

 

「……リザイン」

 

あたしはカナタさんから視線を逸らすとボソッと呟く。

 

 

【Oグロック決勝戦 勝者 Kanata】

 

 

ττ

 

 

【失われた古代寺院

決勝対戦 Sinon VS Skia】

 

「取り敢えず、スキアから離れないと」

 

フィールドに転送された瞬間、私はすぐに近くの柱に身を隠すと素早く狙撃できそうな場所を探す。

 

(あそこ!)

 

よし、行こうと一歩前に踏み出し時だったーー後ろに違和感(・・・)を感じた。

このまま身体を起こしていると危ないと何かが叫ぶ。

 

(ーーッ!!)

 

「あらら、流石シノンさんですわね。さっきので確実に仕留めたと思いましたのに」

 

いつの間にこんな近くにスキアが居たのだろう。

 

「その真っ白なマフラー、シノンさんの雰囲気と良く合ってますわよね。ほら、逃げまどう子猫みたいで」

 

ということは、柱から私の白いマフラーが覗いていたということか。

ガリッと奥歯を噛みしめる、早く身を隠すことに気を取られて、風にヒラヒラするマフラーまでは気に留めてなかった。

 

「さて、そろそろ終わりにしましょう。そのヘカートではこの距離からの狙撃は無理でございましょう?」

「それはどうかしら。私だってただで負けるつもりはないわ」

 

腰からグロッケンを構える私にスキアは意外そうな顔をした後に面白そうに微笑む。

 

「そういう人、ワタクシ好きですわ」

「それはどうも」

 

こうして、超至近距離での戦闘が始まったのだった。

 

τ

 

「……ふぅ、なんとか勝てましたわ」

 

黄昏に染まる寺院に佇むのはただ真っ黒な少女・スキアで近くには鮮やかな水色をショートにしている少女・シノンが地面にふっしていた。

 

【Cグロック決勝戦 勝者 Skia】

 

忽ち浮かぶ文字を見ながら思うのは、シノンさんの闘いっぷりだった。

まるで超至近距離タイプとの戦闘に慣れているかのように身軽に攻撃を避け、時々放ってくる銃弾に大盤参ったものだ。

 

(もしかして、シノンさんが超至近距離タイプとの戦いに慣れてましたのって……)

 

その時、常にシノンさんの隣に佇む真っ赤なロングコートが思い浮かんだ。

 

(明日の決勝、やはりあの人が壁になりそうですわね)

 

そう思ったところで待機室に転送されたワタクシを出迎えたのは幼馴染のクルハだった。

両手を広げて、飛びついてくるクレハを受け止めながら、その後ろからついてくるマフーに笑いかける。

 

「おめでとう!!スキアッ。あんた凄いわよ!!」

「くっ、苦しいですわ。クレハ……っ」

「クレハ、締めすぎ。マスターの顔が青くなってきてる」

「え!? ごめんっ!スキア」

 

やっとクレハの抱擁から解放され、近寄ってきたマフーの黒い髪を撫でながら、見るのはさっきまで戦っていたシノンさんだ。

「ほら、おいでシノン」

「……カナタ…っ」

「ん、シノンはよく頑張った。頑張ったよ、ほんの少しだけスキアの方が強かっただけだから」

 

「ーー」

 

悔しそうに唇を噛むシノンさんに優しく微笑むカナタさん、そして黙って抱きついてくるシノンさんを優しく抱き締め、水色のショートへと手櫛を入れるカナタさん。

そして、そんな二人を離れたところで見ているシュピーゲルの瞳に走る黒い影にワタクシは眉ひそめるのだった……




あーはい、ヒナタは何処までいってもヒナタでした(笑)

洋の世界なのに……日本刀を振り回すヒナタって(苦笑)
どんだけ和が好きなんだよっ、とツッコミたくなると思いますが…私の中でヒナタはどの世界での日本刀を振り回していてほしいって気持ちがありまして…なので、今回のような形で相棒(にほんとう)を出現させた次第です。

さて、アリゼーションが始まってから、よく川原礫先生のツイッターやSAO公式ツイッターなどを拝見させてもらうんですが……その中で、礫先生が『SAOでは何故ああいう(強姦未遂などの)シーンが多いのか?』について理由を語られていた記事を見かけました。
その時、礫先生は『それは昔見たライトノベルの内容から』とおっしゃっていました。

その記事を見たときに『なるほど』と思ったのです。
確かに、私の小説ももろにそういう影響を受けてますしね(笑)
幼い頃…といっても学生時代ですね。その時に流行っていた、熱心に見ていたアニメというと『るろうに剣心』や『BLEACH』、『犬夜叉』や『結界師』などなどーーほら、どの作品も着物姿で刀…中には術の人もいますが、着用…使用して戦闘してます。
そして、うちのヒナタはどのVRでも日本刀や和をこよなく愛する少女…………もろ影響受けてますやん(大笑)

しかし、ヒナタ自身の天然女たらしっぷりはどの作品から抜き取ったのかは分からないんですよね……性格は私から受け継いだのに…何故ここまで超が付くほどのイケメンに進化してしまったのか…些か謎です(笑)


さてさて、アニメの感想ですが……遂にきてしまったあのシーンは思っていた以上にリアリティがあり、ティーゼちゃんとロニエちゃんは助かりましたが、心には消えない傷が生まれたのではないかと思います。

そして、遂に現れた『アリス・シンセシス・サーティ』。
幼い頃のアリスとはガラッと雰囲気が違いましたよね……。氷のように冷たい声音の中にも、幼い頃のアリスが見え隠れしていて………この後、ユージオくんとキリトくんがこのアリスとどのように関わっていくのかが楽しみですね(微笑)

さて、寒い日が続き…私は少々喉の方がやられつつありますが、読者のみなさまも喉や鼻水などにお気をつけてくださいね、ではでは〜(*'▽'*)

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