あと短めだと思いますが、どうかよろしくお願いします。
では、本編をどうぞ!!
「…」
“あぁ…ムカつく”
自分から呼び出しておいて、何も言わないとか。
ガリガリと込み上げてくる怒りを口に含んでいる氷へと八つ当たりしながら、あたしはさっきから黙り込む正面の人へと視線を向ける。
「ーー」
あたしを弱々しく見つめてくる瞳は栗色であって、あたしの様に癖っ毛が酷い髪は瞳と同色で、うなじの所で緩く結ばれ前に垂らされている。顔立ちはどのピースも適度な形と場所に配置している。絶世の美女、傾国の美女と呼ばれてもうなづけるくらいの美しさを持っている上に、女性として出るべき所は出ているのに、それを支える身体は線が細いときた。触れれば折れてしまいそうな、風が吹けば飛んでいきそうなほどに細いその肢体を強張らせながら、桜色の唇を数回噛み締めた後にゆっくりと言の葉を吐き出す。
「…元気そうで良かったわ、陽菜荼」
やっと絞り出した第一声が他人めいたソレで、あたしはフンと鼻を鳴らすと皮肉気味に返事する。
「お父さんや幼馴染が良くしてくれるからね。何処かの誰かさんと違ってね」
あたしの皮肉に唇を噛みしめる女性は綺麗な顔を曇らせる。
「…ごめんなさい。そんなつもりは…なかったの…」
「つもりは無かった?真っ暗な…絶対零度の暗闇に置き去りにしておいて? あたし、あれ以降暗いところと寒いところが嫌いになったんだ」
まぁ、今はちょっとずつ克服していってるけど、という言葉を飲み込み、あたしは正面の女性を睨む。
「…ごめんなさい…っ…」
“イライラするっ”
学校でのあの出来事から、目の前にいる女性のことはきっぱり忘れようと決めたのに、ここ最近お父さん越しにあたしの前に今更現れてきて、折角忘れようと…努力してたのに、なんで今更あたしの前に現れるの?
ううん、こんな態度を…こんな事を思いたくなんかないんだ、本当は。
あたしも本当はママに会えて嬉しいって、ママとこうして話したかったんだって目をまっすぐ言いたかった。言いたかったんだけど…あたしに対して、何故か弱々しく接してくるこの女性の態度を許せるほどあたしは大人ではなかった。
「…貴女が私を許せないのは分かるわ。私はそこまでのことをしたんだから…」
そう言って、あたしを見てくる。まるで、腫れ物に触れる様に、何かに怯える様に。
“悪いって思ってるなら…そんな腫れ物に触れる様な態度してないで、もっとあたしへと踏み込んできてよ、ママ”
あたしのこの態度が悪いというのならば今すぐにでも直そう。どうせなおしても最初に会った時の様に、ママのオドオドした態度は直ることはないだろう。それに苛立つあたし自身も。
“あぁ、むしゃくしゃするッ!!”
こんな気持ちでママと話して居てもイライラと自己嫌悪が積もるばっかりだ。
バンッと勢いよく机に一万円札を叩きつけ、あたしは立ち上がる。
「陽菜荼…?」
「…お釣りはいらない。貴女はここでもう少しゆっくりしていけばいい」
呼び止めてくるママの声を無視して、ファミレスを飛び出したあたしがまず思ったのは。
“ママ…痩せてたな。ご飯、食べてるのかな…”
って事だった。
もう、あたしは溢れ出してくる自己嫌悪によって、自宅の前まで走り出すと髪の毛をかきむしりながら大きな声を上げる。
「ダァアアアアアアアアアアアアアアアア」
「部屋の前で奇声をあげないでよ、陽菜荼。ご近所さんの迷惑だし、何よりも変な噂が流れるでしょう」
後ろから響く凛々しい声にあたしはびっくりした様に振り返る。
「なんで、詩乃がいるの?」
「ここが私の家だからだけど?それとも私には出て行けとでもいうのかしら?この薄情者は」
オォ…絶対零度の視線があたしの心を氷の刃で八つ裂きにしていく。
あたしは慌てた様に両手を横に振る。
「違う違う!なんでこんなに早く家にいるのかな?って…みんなとドッグファイト・バウトの打ち上げをした後に、図書館行くって言ってなかったっけ?」
「私はただ本を借りにいっただけだもの。そんなに時間はかからないわ」
あたしの前を素通りし部屋の鍵を開けながら、詩乃は振り返りながらあたしへと話しかけてくる。
「それより貴女こそ、なんでこんな時間に家の前で奇声出してるのよ。今日は…その、お母さんと話してく--」
「--腫れ物に触る様に見てくるんだ、あの人」
「ーー」
詩乃が息を飲む声が聞こえてくる。
「…あの人にとって、あたしはやっぱり忘れない過去なのかな…?もう…あたしはあの人の---」
あたしの声を遮る様に、ギュッとあたしを抱きしめてくる。耳元で囁かれる声は優しさに溢れていて、つい涙が溢れ出そうになる。
「そんな事ない。そんな事ないから」
癖っ毛を撫でられながら、囁かれる声に嬉し涙を流しながらうなづいてみる。そして、突き刺さる複数の視線。
その視線から逃れるようにあたしと詩乃はそそくさと家へと入っていく。
そして、その日の夜、あたしを待っていたのは---
「ねぇ、陽菜荼。一緒にGGOをしない?」
---新しい冒険の始まりだった…
というわけで、ママへと素直に甘えられない陽菜荼の話でした(笑)
反抗期っ子ですね…、困った子です。早くママと仲良くなってくれたらいいのですが…残念ながら、次回からはGGO編なんですよね…(苦笑)
残る課題『ママとの仲直り』。始まる世界『GGO』。
二つの出来事に囲まれながら、陽菜荼は新しい章を駆け抜けていきます。
二つの出来事は無事解決するのでしょうか?
そういう面を含めながら、見守っていただけると嬉しいです。
と、アリゼーションの7話ですが…ロニエちゃんではなかったですね…完全に私の早とちりでしたね…申し訳ない…(大汗)
7話の感想ですが…あっという間に2年が過ぎ、成長したキリトくんとユージオくんの二人を見て嬉しかったですね。
また、ソルティリーナ先輩、思ったよりも凛々しくて可愛い声でしたね…(微笑)
そして、キリトくんとソルティリーナ先輩が戦っている時のシーンは汗水流しながら観ていました!
そしてそして、キリトくんが庭で育てていたあの青い花ってEPで映るあの花ですよね!多分…(自信がない)
また、EPの藍井エイルさんのアイリスの冒頭の歌詞『君が赤く燃える太陽なら 僕は夜に咲く青い花』の一文が大好きなんですよ!
ユージオくんとアリスちゃん…んー、さんかな(笑)
二人の関係性とかユージオくんの気持ちが上手く書かれていて、アイリスを聞き流しながら、この話も書かせてもらいました。
というわけで長くなりましたが、ここで雑談を終えようと思います。最後まで読んでいただきありがとうございます!