sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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お久しぶりです。

この章の更新もお久しぶりですね。久しぶりすぎて、読者の皆さんも今どんな状況なのか分からないと思うので…簡単にあらすじの方を書かせてもらいます!

あらすじはカナタがフレイヤに一目惚れし、デレデレするカナタにシノンが怒り心頭という感じですね…。

さて、早速ボス部屋攻略となりますが、恐らくシノンvsカナタとなると思います…どっちが果たして勝つのでしょうか?

長めですので、ゆったりとお楽しみください(礼)

※読みにくいと思いますが、よろしくお願いします。


019 A man of high caliber

突然だが、みんなは夫婦喧嘩は犬も食わない、という(ことわざ)を知っているだろうか?

意味はなんでも喰らう犬も夫婦喧嘩には見向きもしないという意から転じて、夫婦喧嘩の原因となるのは大抵しょーもないものや一方的なものが多く、間に他者が入り取り合わないなくても時間が経てばそのうち元に戻ったり、仲直りしているからほっておけばいいというものらしいが、果たして俺の目の前で繰り広げられているこの状況はその夫婦喧嘩に適用されるのだろうか?

 

“まぁ、その答えは神のみぞ知る…って感じだろうな”

 

俺は《霜の巨人の王スリュム》が待機しているボス部屋の入り口付近に待機しつつ、このダンジョンのボス部屋で荒れ狂う二つの小さな人影へと呆れ半分感謝半分という何とも言えぬ感情を抱きながら眺める。

その何とも言えぬ感情を抱いているのは俺だけでなく、隣で同じく待機している水族妖精(ウンディーネ)特有の水色のさらさらとした絹の様な髪を揺らしながら、俺へと視線を向けてくるアスナも抱いているらしかった。

 

「ねぇ、キリト君。どうしようか?この状況」

「…アスナ。夫婦喧嘩は犬も食わないっていう諺があるだろ?」

 

俺はSAO(あの世界)でも愛用していた黒いジャケットに包んだ腕を組みながら、アスナへと話しかける。話しかけられたアスナは俺の言葉にうなづきつつ、視線を元に戻すとその美しい表情を曇らせる。

 

「そ、そうだね…。でも、これはその諺の夫婦喧嘩とは違うような」

「確かにな、この夫婦喧嘩に巻き込まれれば犬も俺らも命を落としかねない」

 

俺もアスナと同じ様に視線を元に戻すと今だに続いているうちのバカップルによる夫婦喧嘩の成り行きを見守る。

 

改めて、この逆ピラミッド型のダンジョン奥地にあったこのボス部屋がどんな内装なのかをざっと説明しよう。

俺らプレイヤーを取り囲む壁や今踏みしめている床はこのダンジョンで慣れひさしんだ青い氷が敷き詰められており、そこから視線を前に向ければ氷の燭台(しょくだい)があり、そこにはゆらゆらと不気味に思える青紫色の炎が揺らめいている。横にも縦にもただ広い空間にも天井はあるらしくそこには床や壁と同じ色をしたシャンデリアが並んでいる。そして、このボス部屋に入った時に俺らが目を暴れたのが左右の壁にどっさりと積まれた黄金の輝きーー即ち、金貨や装飾品、剣、鎧、盾、彫像から家具などなどありとあらゆる種類の黄金製オブジェクトであった。しかもそのオブジェクトがただ広い空間の奥の奥まで積み上げれているのだ。これに目がくらまない者が居ようか?否、居まい!俺もストレージを軽くさせていれば、嬉々としてその黄金を俺のストレージへと入れていた。

 

さて、ボス部屋の内装の説明はここまでにして、あの夫婦喧嘩はどうなっただろうか?

頼むからなるべく早く終わってくれないとこれからの事に差し支えるのだが……って、俺ら何もしてないのにスリュムのHPが4つうちの二つが無くなっているところなんだが!?って、どんだけ早いんだよ!?

 

「おいマジかよ、この部屋に入ってまだ10分くらいしか経ってないぞ…」

 

俺と同じくそのスピードに驚くクラインと違い、カナタ…キーボウに乗ってこのダンジョンに来たチームは驚くどころか、感心している感じがする。

 

「そういえば、カナタの鏡様倍返(カウンター)って」

「その名前の通り"鏡"の"様"ように技や魔法を反射して"倍返"しにする技って言ってましたもんね。あの時の得意げに笑うカナタ様カッコ良かったです」

「流石、カナタだね。僕教えてもらおうかな」

「私も教えてもらいたいな」

 

和やかムードのキーボウチームと違い、驚きに満ちるトンキーチームは今だにこの無駄に広いボス部屋で浮気という名の鉄槌を受けている音楽族妖精(プーカ)特有の小柄な身長を生かして、確実に急所を狙ってくる水色のショートヘアを揺らす猫族妖精(ケットシー)弓使い(スナイパー)から逃げ続けているカナタを茫然と見つめる。

計14の大小様々、色様々な瞳が自分を見ているのにカナタが気づくことはないだろう…何故ながら、カナタもスナイパーが放つ怒りの一撃を避けて、カウンターを決めるのに必死だからだ。

 

常に動いてないと狙撃させると思っているのか、カナタは基本動かないシノンと違い、凄まじいスピードで時折この部屋の主人なのに空気と化しているスリュムの巨体を壁にしたりして、なんとか生きながられているようだ。

 

“って…毎度のことながら、この二人はなぜここまで極端なことをしでかすか”

 

俺もアスナに怒られることがあるが、正座をさせられて、目の前で鬼神のように仁王立ちし、腕を組みながら、ニコニコと笑顔なのに笑顔じゃない摩訶不思議な笑みを向けられつつ、延々と小言を混ぜた説教をいただくのだ。時折、物理攻撃もあるがここまで酷いことはーー

 

「ーーキリトくぅ〜ん?今、何か私のことで良からぬことを思った?」

「いえ、滅相もありません!アスナさん」

 

カナタ&シノンの命を賭けたお仕置きという名の鬼ごっこを見ていたはずのアスナがいつの間にか俺の方を見ていて、俺は要らぬことを思っていた事を頭を振って忘れるとカナタ&シノンの逃走劇を見る。

 

 

 

τ

 

 

 

後ろから迫ってくるケットシー殿から放たれる音速を超えそうなくらい早い矢を視界に納めたあたしはギョッとしつつ、その矢に軌道から身体を反らせると左手に持った刀を構える。

 

「待ちなさいって言ってるでしょう、ヒナタ!」

「だから、そんな物騒なもん構えてるのに待てるわけないでしょうーー鏡様倍返(カウンター)っ!!」

 

ふん!っと刀を振り上げるあたしの刀身と矢が当たり、カチンと鮮やかな音とともに綺麗な軌道を描いて、突然始まったあたしとシノンの逃走劇に迫力…いいや、この部屋の主人となるスリュムもあたしとシノンを止めようとしていたが、シノンがスリュムを絶対零度の如く鋭き氷の刃のような視線で一瞥した上に放った、「私はヒナタと話がしたいの。邪魔をするっていうなら、あなたから始末するわよ」的なセリフは場違いだが、シノンさんマジクールって思ってしまった。あたしはそういう扉は持ってない…いいや、開いたことは沢山あるか。まぁ、その扉を持っている者が見て、聞いたものは嬉々としてシノンの矢の軌道に駆けていきたい程の魅力に満ちていた。満ちてはいたが、今のあたしにはその魅力にしたる猶予も残されてない。なぜならば、ひしひしとシノンから殺気をぶつけられているからである。ここまでの殺気をぶつけられたのは、現実世界でまだ付き合う前に大喧嘩した時以来である。あたしはその殺気から逃せる為に無駄に広い空間を駆け回る。足を止めることは許されない、止まればそこにあるのは死である。そう、今のあたしはマグロであると思い、駆け回り続けるあたしが技と共に放った矢はシノンからそのセリフを浴びせられてから棒立ちとなっているスリュムの巨体へと矢が練りこみ、HPが目に見えて減る。

 

“って、もう三段目になってるし!?そんなにあたしはあのスピードの矢を放たれていたのか…”

 

びっくりするあたしの右頬すれすれを掠めていく特殊矢…先がテカテカと光っていたから、あれは毒矢ってとこだろう。

 

“シ、シノさん…それはシャレにならん。ならんですよ…”

 

ヒリヒリと皮膚を刺激する殺気と先ほど後方に飛んでいった毒矢にもう冷や汗が止まらない。

あの毒矢…あたしの見間違いでなければ、あの先端に塗られてたのって麻痺するものだった気がする。

ということは、その矢に当たり、麻痺して氷で出来た床に倒れこむあたしにシノンが近づいてきて、ゆっくりと焦らす様に矢を放ち、死に怯えるあたしの表情を見て、にこにこ痛ぶり笑うシノンがーー

 

“ーーう、うわ…想像出来る…。出来てしまう…”

 

あの殺気と矢の放ち方からして、シノンがそうする可能性はありということだ。

 

“こ、こわい…あたしの恋人が怖いんだけど!?いつも以上にSっ気増し増しで怖いんだけどっ!!?”

 

もう、悪寒と震えが止まらないよ…殊更、シノンの矢を受ける事は出来ないんだけど。

二つ同時に迫ってくる矢を一つは鏡様倍返(カウンター)し、もう一つは必死に身を逸らして回避する…のを先読みされていたのか、回避するタイミングジャストに飛んでくる矢。

 

「んどりゃあ!!」

 

しかし、その矢はあたしの乙女らしからぬ掛け声と共に持ち上げられた愛刀に弾かれ、又してもスリュムの方に飛んでいく矢。

しかし、そのとばっちりにも似た矢を放ったあたしには汗に濡れたひたいを拭うと小さく息をつく。

 

「はぁ…はぁ…。っ…さっきのはマジでビビった」

「そうね、私もさっきので射止めたと思ったから。私もヒナタがあれを避けるとは思わなくなったから、びっくりしちゃったわ」

 

着物越しに押し付けられる鋭い刃の様な感触にあたしはさっき拭ったはずの冷や汗が止めどなく溢れてくる。

 

「…その声はシノンさんであらせられますか?」

「私以外誰に聞こえてるのかしらね?参考までに聞かせてもらいましょうか?」

 

ギギギッと壊れたカラクリ人形の様に後ろを見るあたしに女神の如き美しい笑顔で微笑む愛する恋人殿の姿が居た。

 

「チェックメイトよ、ヒナタ」

「…あはは……あははは………。はぁ……………」

 

苦笑いを浮かべるあたしは大きなため息と共に左手に掴んでいる愛刀を鞘におさめると美しい女神(シノン)に向かって、両手をあげると降参するのだった…




この章は予定ではあと3話〜5話で終わる予定で、この章の後はアリゼーション編となる予定なのでなるべく早くアニメに追いつきたいと思います!
次回は降参したヒナタの話とボス戦の最後を書きたいと思います。

さて、ここからは雑談となるのですが…ひとまず、9/30にアスナさん、10/4にシリカちゃん、10/7にキリトくんが誕生でした!改めまして、おめでとうございます!!
といいますか…10月誕生日多いなぁ…うちのヒナタも10/10が誕生日ですからねっ!
これはこれは10月誕生日チームで何かクエストを書いてみようかなぁ(笑)
これまたかなり遅くなりそうですが……(汗)

また、遂に10/6に『SAO アリゼーション』が始まりましたね!
簡単な感想を述べると、原作とは違う展開が多く盛り込まれており、フェイタルバレットのみんなとは違う衣装が見れたのが嬉しかったのと、フェイタルバレットのゲームオリジナルキャラの二人も現れましたし…、幼い頃のアリスやキリト、ユージオが可愛かった…(デレデレ)
また、何よりも嬉しかったのは、ヒナタが…形を変えておりますが、ヒナタがシノンの近くにいたことです!!
まぁ、シノンに踏みしめられておりましたが…それでも、私にはヒナタに見えました!

また、原作の時から思っておりましたが、いくらなんでも齢11才の子を紐で縛り付け、ドラゴンの首に吊り下げて、連れていくってあんまりだと思うんですよ…それがあの世界のルールだとしても、あれはあんまりだと思うんですよね…(汗)

とこんな感じですが、雑談を終わろうと思いますm(_ _)m

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