長い道のりでしたが…ここまで書けたことを嬉しく思います(微笑)
そして、ここまで…ハチャメチャな内容ながらも飽きずに読んでくださった多くの読者の皆様ーー
本当に、ありがとうございます(礼)
これからもこの本編は今まで通りに、ハチャメチャな感じで進むと思いますが…完結まで、応援の程をよろしくお願いします(微笑)
では、本編をどうぞ!
6/6〜誤字報告、ありがとうございます!
深緑色の通路を駆け抜けながら、あたしは周りを見渡す。しかし、目当ての人影は見当たらず…あたしは、次の階へと進む階段をかけていく。
“どこ?どこにいるの!?詩乃!!”
最愛の恋人の顔を思い浮かべながら、ただ無事でいてくれるだけを祈る。三階へたどり着いた瞬間に僅かだが…声がした気がした。
左側にある大きな部屋から聞こえたその声には身に覚えがあったーー
「…なたぁ…っ!」
ーー凛とした大人びた声ながらも、幼さを帯びている…聞いていると胸が締め付けられるそんな声。
“間違いない!この部屋に詩乃がいる!”
そう確信したあたしは部屋へと走りこみ…部屋の隅で何かを取り囲んでいるモンスターの群れに、二天一流のソードスキルを叩き込む。
“詩乃ォオオオ!!!”
「うぉおおおおっっ!!!」
二天一流スキル【忍冬】。二つの刀を横にスイングさせるだけの技だが、一刻も早く、あの群れを囲まれている誰かから離さないといけない…そんな使命じみた事を思いながら、両手に持った二刀を振るう。
水色の光を放つ二刀を横へとスイングし…当たらなかったモンスターへと硬直が溶け次第、追撃した。それだけで、モンスターの群れを葬れたあたしは…荒く息をしながら、歩みを進める。
“……君なんだよね?そこにいるのは。あたしは間に合ったんだよね…?”
舞い上がる青白いポリゴンの欠片の中、床にへたり込んでいる赤と黄緑、黒を基調とした複雑な服を着ている少女の近くまで歩いてきたあたしは込み上げてくるものを押さえつけながら、震える声で呟く。
「やっと見つけた…シノン」
「ーー。…ぅっ…なんで…?」
呆然とした様子でこちらを見上げてくる焦げ茶をショートヘアーにしてる少女・シノン…詩乃の黒い布に覆われた胸へとピンクの結晶をやや乱暴に押し付けるとそれを口にする。
「…ヒール…っ」
そんなあたしの様子を暫し、ぼぅ〜と見つめていた詩乃ことシノンは驚きを隠せない声で呟く。
「…なんで…ここに居るの?…ヒナタ…」
「…っ!」
「きゃあっ!?」
シノンのHPが緑へといったところを見ると、あたしは顔をぐしゃっと歪めるとシノンの背中へと両手を回す。
啜り泣きながら、あたしはシノンの身体を強く抱きしめ続ける。心の中で、ずっと繰り返すのは“生きててくれてよかった…間に合ってよかった…”の二つのフレーズだけだ。
「…シノこそ、なんで…こんなところにいるのさ?あんだけ、言ったじゃんか…っ。無理だけはしないでって…何で、約束…破るのさ…ぅぅ…っ…」
シノンの左肩に顔を埋めて、安堵の涙を流すあたしにシノンは小さく囁いてくる。焦げ茶の大きな瞳は、まだ驚きから立ち直ってないらしい…あたしはそんな焦げ茶の瞳を至近距離で睨みつけながら、声を荒げる。
「…ヒ…ナタ…?泣いてる…の…?」
「泣くに決まってるじゃんかッ!凄く心配したっ!!凄く慌てた!!転移門から今まで出したことないくらいのスピードを出して、ここまで来た!!それは、シノが死んじゃうかと思ったからっ!!!
シノ…なんで、こんな事をしたの…。キリから聞いたんでしょう?ここはHPが無くなったら…本当に死んじゃう、デスゲームの中なんだよ…?ちょっとした油断や慢心が命取りになる…。あたしもその事は心得てる…。シノは違うの?」
「…知ってる、それくらい。でも…私、あなたの力になるって…言ったのに、何一つ力になれなくて…。だから、強くなろうって思ってーー」
シノンの弱々しい言い訳を遮り、あたしは今まで出したことがない大きな声を出す。
「ーー居てくれるだけで力になってるんだよ!!!!!近くに居なくても…隣にいなくても…シノが待っていてくれるっ!!!そう思うことで…あたしがどれだけ救われたか、知ってる…?
…なんで、そんなことすらも分からないの…っ。無理して…シノが居なくなっちゃったんじゃあ…意味ないじゃんか…っ。…あたしを一人にしないって…約束したじゃんか…っ!もう…忘れたの…?詩乃…」
シノンはあたしの心の声を受け止めると、そのほっそりした掌であたしの癖っ毛の多い栗色の髪を撫でてくれる、その心地よさにシノンへと身を委ねるあたしを逆に抱きしめてくれる。
「…ごめんね、陽菜荼。私が馬鹿だった…。一人にしないって…約束したのよね。それを破る所だった…ごめんなさい…」
「…シノ…」
謝るシノンの声につられるように、上を向くあたしへと微笑むシノン…詩乃は今まで一緒に過ごしてきたどんな彼女よりも美しく魅力的であった…なので、あたしがそんなシノンに吸い寄せられてしまうのは仕方ないことであって…
「…だから、これはお詫び。ん…」
「!?」
シノンの唇があたしのそれへとぴったり重なり合い、今まで会えなかった分を埋めるように…抱き合いながら、目の前にいる人物だけに意識を集中させ…愛情をぶつけていく。
“大好き、愛してる。これからもずっとずっと”
そんな気持ちを込めて、数分間唇を合わせ続けたあたしたちは数秒間、空気を求めるように息を吸い込むと…どちらかとなく微笑みあう。そんな中、あたしはある事実を思い出し、頬を赤く染める。
「…シノからとか、初めてだね。なんか…嬉しいなっ!これで一週間…いや、一ヶ月頑張れる!!」
「そう?キスくらい…いつでもしてあげるわよ」
「本当!?」
「えぇ」
そう言って微笑むシノンへと抱きつこうとした時にはもうシノンに変化が起こっていた。
何か一点を見てしまったシノンが頬を真っ赤に瞬時に染めるとあたしから離れる。
そんなシノンの様子にあたしは軽く傷つきながら、後ろから響く声に何と無く状況は把握できていたのだった。
“弓と矢を構えたとこから…キリ辺りが心配してきてくれたのかな?”
『ぉ…』
「ぁ…、あんた…いつから…っ」
「えーと、シノンがカナタにキスした所からかな?」
「…ッ!」
「待て待て、シノン!ここでそれはヤバイ!!」
「シノのん。これはね…わざとじゃないだよ。シノのんと…そこにいるカナタさんを心配して、来た結果であって…」
「そう…。なら…」
“?キリ以外にもなんか知らない声がする…?”
そう思い、後ろを振り返ったあたしを見つめるのは大勢の老若男女で…その大勢の顔をじっくり見つめ、あたしは近くに立つシノンへと問いかける。
「えっ…と、シノン。この人たちは誰かな?」
その問いにシノンはあたしを立たせると答える。
「それは帰りながらにしましょう、ね?」
凄く久しぶりのイケメンヒナタ回とイケメンシノ回!そして、感情のままに…シノを怒るヒナタは此方も久しぶりに見た気がします(微笑)
ヒナタは怒るっていうより…シノに甘えるってイメージですからね〜(笑)やっと、再会出来たので…ヒナタのシノへと甘えがエスカレートしていくことでしょう!あと、無自覚たらしも…!
自己紹介の様子は、息抜き編〜一竿風月〜にて、書こうと思ってます。
それでは、次回をお楽しみに、です!
そして、雑談コーナーですm(._.)m
今回の雑談は…日曜日に更新した【三人の絆と不穏なメッセージ】に関する雑談なんですがーー
話の内容が内容だった為か…(^_^;)
その日、寝てる時に何故か…シノンの救出が間に合わなかったIFストーリーが浮かんできてしまいまして…(汗)
簡単なあらすじをご紹介するとーー
シノンを助けるために、あの部屋へと足を踏み入れた瞬間に…カナタの目の前でシノンが亡くなってしまいます。それによって、頭に血が上ったカナタは…シノンの仇となるモンスターを狩り、シノンを救えなかった自分を責め続けます。責め続けた末に、カナタは自分の身を省みない自暴自棄な特攻を攻略やボス戦の時に繰り返すようになります…、そして 宿屋でも何故か 食事を口にしようとしないようになります。口に含んでくれるのは…ポーションやハイポーションとかの薬品のみ。
段々と、やつれていくカナタの変わりように…かつて、冒険を共にしたフィリアやルクスは無理矢理にもカナタに食事を食べさせようとするが、失敗に終わり…他の仲間たちの作戦も失敗に終わるが…
ある日、カナタが一人でふらっと出掛けた街で…とある歌い手と出会いーー
ご覧の通り…明らかに、こっちのIFストーリーのカナタは病んでます。そして、シノンさんが好きな方にはオススメ出来ない代物となってます…(汗)
ですが、もし…あらすじに興味を持ってくれた方がいらっしゃるなら…外伝みたいな感じで書いてみたいなぁ〜という気持ちがあります(^ω^)
ヤンカナタ、少しですが…見てたい気をしますし!そんなカナタを癒せる人が現れるのかも…気になりますね〜(微笑)
ということで、以上!雑談コーナーでした〜m(_ _)m