駄作だと思いますが、宜しければご覧ください(礼)
1章001 私の幼馴染
私、
付き合いにして、7年。
しかし、7年の付き合いでも、私は彼女を深くは理解してない……いや、理解させてくれない。彼女は多くを私には語らないが、その割りには私の問題に首を突っ込んでくるのだ。自分の事は教えないクセに、他人の関わって欲しくない所には土足でズカズカと踏み込んできては救い出してくれる。本当に腹立だしいことこの上ないが仕方がない…彼女のマイペースっぷりは筋金入りで、自分のペースを崩すことは何があってもないし、乱そうとしようにも乱すことはできないのだから…
γ
ちゅるちゅると小鳥が囀る声を聞きながら、私は幼馴染が玄関から出てくるのを待つ。
「いやぁ〜詩乃。悪いねぇ、いつも」
そう言って、玄関の前にある壁に背中を預けている私へと軽い感じで右手を上げる少女に、私は鋭い視線を向ける。
癖っ毛が酷い栗色の髪に、透き通った空のように蒼く大きい瞳。適度に整った顔立ちは年相応の幼さが残るものの、成長すれば美人と言われること間違い無しである、いや既に彼女は美少女と属されるものではあるが……。ほっそりした体躯は脂肪というものが存在してないのでは?と思える程に華奢で、よく小説で表現されるーー触れれば折れてしまうーーという表現が適切なような気さえもする。そのくせ、私よりも身長が高いのだから、本当に憎らしい。
なので、つい私は彼女に意地悪を言ってしまう。
「悪いと思ってるなら、もう少し早く起きることが出来ないの?あなた」
「あはは、それは無理っぽいわ」
しかし、私がいくら意地悪をしても彼女のペースを崩すことは叶わず、その結果として私はいつも通りに彼女に鋭い視線を放つことで、彼女を
「………」
「あはは……ごめんって〜詩乃〜。だからさ、その目は怖いからやめよ、マジで」
本当に弱り切った声でそう言う彼女に、私は溜め息をつき、肩をすぼめる。
「…………はぁ〜、まぁ、いいわ。あなたって出会った頃から、そうだったし」
「慣れてくれたようで嬉しい限りだよ、詩乃」
「慣れたんじゃなくて、慣れさせられたんだけどね…」
「ちょっと…それって、まるっきりあたしが悪いみたいじゃん」
私に突っかかってきそうな勢いで、迫ってくる彼女をうっとおしそうに押し返しながらも、私は彼女に向き直って柔らかく微笑むと
「みたいじゃなくて、そうなのよーーまぁ、それよりもおはよう、
「うん、おはよう、詩乃」
「朝ご飯は持った?忘れ物はないわね…早くしないと、鍵を閉めるわよ」
「あぁ、無いよ。朝ご飯のパンはしっかりと持った、ほらね」
ヒラヒラと彼女用に買い置きしてある袋に入ったサンドイッチを振るのを横目で見ると、安心して鍵を閉める。
そして、振り返るとサンドイッチの袋をめりめりとあけて、もう既に口いっぱいに頬張っている彼女に小さく
「ほら、行くわよ、陽菜荼」
「ふぁい、ひの」
「食べるか返事するか、どっちかにしなさいよ、たく…」
たまに世話のかかる妹のようにも思える彼女の手を引っ張りながら、私は高校へと向かった。
γ
私には幼馴染がいる。
しっかりしてるかと思えば、夜一人で寝れないなど甘え坊な一面がギャップだと思う人。
いつも頭がゆるそうな発言を平然と言ってのけるくせに、こことぞという時は頭が切れる不思議な人。
料理は出来るが掃除などは壊滅的な所や、出すと数え切れないほど、彼女は矛盾の塊で出来てるような人だ。何故、それが出来て、これは出来ないのか?と思うことは多々ある。
そんな矛盾の塊で出来てる彼女の名前はーー
そんな変わり者の彼女が私の隣へと越してきたのは、私が小学校三年になった頃で、ピンポーンという呼び出し音に、あのいつもの訪問販売者かと警戒心を抱きつつも恐る恐る扉を開けた記憶がある。
開けてみてもびっくりはしたのだがーー
「え〜と、家の人は居ないのかな?君だけ?」
「……」
ーー開けた先に立っていたのは、ほっそりと痩せ細った男性とその後ろに隠れる癖っ毛の多い栗色の同い年くらいの少女で……、私は思いもよらない訪問者に困惑した。
なので、男性に話しかけられた時は思わず睨んでしまった。そんな男性は私の態度に少女のそれによく似ている癖っ毛の多い髪をかくと、私が睨んでいる理由が分かったようで隣に
「今日からあの家に引っ越してきた香水っていうものです。これはつまらないものだけど、家の人と一緒に食べてね」
「……ありがとうございます」
男性から丁寧に包まれた物を受け取ると、一応頭を下げる。そんな私に男性は嬉しそうに笑うと、自分の後ろへと隠れている男性の娘と思しき少女を前へと突き出した。
「ほら、陽菜荼。あいさつして」
「……かすい ひなた…よろしく……」
「えぇ…と、あさだ しの……こちらこそ、よろしく……」
互いにぎこちなく挨拶した私たちは、その時はまだ、互いに目の前にいる少女が自分の心から信頼できる親友になるとは思いよらなかっただろう…
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