sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

27 / 205
久しぶりのシノ編、すごく淡々と進みます…。そして、シノはある決意をしーー

本編をどうぞ!


そして、今日…評価者の数を見たら…何と、20名となってました!!目が丸くなりました…。まさか、こんなに評価者させるとは思ってなかったので…(汗)

本編の方も他の所も…ゆっくりですが、更新していくので…どうか、よろしくお願いします(礼)



5/30〜誤字報告、ありがとうございます!


2章012 幸運の蒼(シノンside)

今日は、アスナとリーファと共に82層にある〈深き地へ至る崖廊〉へ攻略しに来た。80層から、攻略組として前線のチームとして加わったその時は意気込んでいた。

 

“この弓で、少しでも皆の負担を減らし…いつかは、ヒナタの元へと…”

 

しかし、直ぐに 私は攻略組の皆にとって足手まといなのではないか?と思い始めた…。私の戦法は、遠くから狙い撃ちが最善であり…それ以外は、弱点としか言いようがない。一応、腰には短剣を備えているものの…引き抜くまでに、懐に入られて…強烈な一発を食らえば、体勢を整えることも叶わない。

それを嫌という程、思い知らされたのが…今日のこのゴブリンキングと他の子分ゴブリン達との戦闘だった。アスナとリーファがゴブリン達を引きつけてくれる間に、遠くへと向かい…そこからゴブリンキングだけを狙撃する。

 

「はっ!ふっ」

 

あと、ちょっとで倒せる所までいったゴブリンキングへ矢を向けている途中で…優しくも凛とした声が響いた。その声の主は、親友となったアスナのものだった…。何事かと思い、そちらへと視線を向けると、はしばみ色の瞳とバッチリ視線があってしまった。

 

“ん?何で…アスナ、私の方向いてるの?”

 

「シノのん!!危ない!」

 

そんな切羽詰まったような声が耳へと入って来た時には、もう遅かった近づいてきていたゴブリンシャーマンのソードスキルをその身に受けていた。

 

「へ?がっ!?」

「シノンさん、このっ!」

 

ソードスキル特有の衝撃に、私は床へと転がり…そんな私に追い打ちをかけるようにゴブリンシャーマンが近づいてくる。そんな私とゴブリンシャーマンの間に、黄緑色の何かが割り込み…そのゴブリンシャーマンを一撃で仕留めてしまう。

 

「っ…」

「大丈夫ですか!シノンさん…これ、ポーションです」

 

立ち上がろうとする私へと手を差し伸べてくれるのは、どうやらリーファらしい。リーファの手を借りて、立ち上がると…丁度、ゴブリンキングがポリゴンの欠片へとなっていた…。

 

「ごめんなさい…リーファ、アスナ」

 

頭を下げる私に、アスナとリーファが首を横に振り…優しく微笑む。

 

「いいですよ、気にしないでください。シノンさんの弓のおかげで、さっきのゴブリンもあたしの一撃で倒せたんですし…」

「そうだよ。それに、シノのんも疲れたんだよね?今日はここまでにして、帰ろうか?リーファちゃん」

「そうですね。あたし、お腹が空いちゃいました〜」

「じゃあ、帰ったら…何か、作ってあげるね」

「わーい!あたし、すごく楽しみです!」

 

私を励ますように、明るく振舞ってくれるのが逆に辛い。

 

“私のせいだ…”

 

私があそこで、あのゴブリンの攻撃を避けてさえいれば…もう少し、攻略を進められて…その結果 このアインクラッドの皆が早く現実へと帰れるかもしれないのにーー。

気付くと、ギュッと弓を握っていた…。この弓を手に入れた時は…私も、力になれると思ったのに…

 

“私って…無力だな…”

 

その夜、私はジィ〜とステータスを見ていた。レベルは今日の攻略のおかげで、2レベル上がって…Level90。しかし、こんなのではダメだ…まだ、足りないっ。こんなんじゃあ…いつまで経ってもーー

 

“ーーヒナタのところへと行けない”

 

「…ヒナタ…。私、あなたが居ないと…弱いままだよ…」

 

ギュッと、膝を抱えて座る自分の肩を抱き、小さく呟いたその声は、この世界に来てから一番弱く…儚いものだった…

 

 

γ

 

 

次の日は、シリカに誘われて…商店街をショッピングする。前を歩くシリカのツインテールがピコピコと揺れるのを可愛く思いながら…進んで行くと、ある店に置かれているある品に目を奪われる。

まるで引き寄せられるように、その品へと歩いていく私にシリカが眉を顰める。

 

「ーー」

「シノンさん、どうしました?」

 

尋ねてくるシリカの声も何処か遠くから聞こえてくるような気がする…。

シリカはそんな私の視線を辿り、その品を赤く大きな瞳で捉えた瞬間 歓声を漏らした。その赤い瞳に映るのは…一枚のマフラーだ。蒼く染められただけで…ちょっとした刺繍しかないそのマフラーが、何故か気になる。

 

「わぁ〜、綺麗な蒼ですね〜」

「…この蒼」

 

“ヒナタの瞳の色に似てるなぁ…。

 

あぁ…そうか、彼女の瞳に似てるから…こんなに気になるんだ。私が辛い時に、いつも味方でいてくれた…優しい蒼い瞳ーー

 

「…あの、これ…ください」

 

ーーそう思っていると、自然とそのマフラーを購入していた。

そのマフラーを装着してみると…勇気付けられている気がした…。(シノなら…出来るよ)とヒナタの声が聞こえてくる気がする…

 

“うん、ヒナタ。私、もっと強くなる。だから…、私に力を貸して”

 

昨日買った蒼いマフラーを右手でギュッと掴み、心の支えとしている恋人を瞼に思い浮かべて…

 

「よし!」

 

私は、83層のダンジョンへと足を踏み入れて行った……

 




といった感じで…シノンさん、独断で最前のダンジョンへと潜ってしまいました…(汗)
ヒナタさんが心配していたことが…現実に…。シノンさんはどうなってしまうのか…!?

次回をお楽しみに、です!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。