2.5時間しか猶予がないデートの開催です!
最初のお相手はリズベットさんこと篠崎里香さんで…果たして、どんなデートになるのでしょうか?
また、かっこいい陽菜荼は見れるのでしょうか?
それらにご注目しながら…本編をお楽しみください!
「ふぅ〜、もうすっかり春ね」
そう言って、腰掛けているベンチの近くに咲いている黄色い小さな花を満開に咲かせている菜の花を見ている少女の外見はいかにも活発そうな雰囲気が漂っていた。
焦げ茶色の髪は肩の近くで切りそろえており、前髪は長いのか、左右にヘヤピンを着けている。髪と同色の瞳は勝気で、適度に整った顔立ちにはそばかすが愛らしく頬へと付いている。
そんな少女が身につけている服装は藍色のジーンズに上は黒いシャツの上に淡い桃色のワイシャツで…ガジュアルな仕上がりになっている。
“ちょっと素っ気なかったかしら?まぁ、相手はあの陽菜荼だもんね…あっちの方があたしよりも酷いか”
自分の出で立ちを再度確認し、待ち合わせをしているとある人物の服装を勝手に想像する。
“陽菜荼のことだから…普通にダサいパーカーか橙のシャツとか着てきそうね…。流石に甚平は着てこないでしょうね…多分”
度々、お邪魔させてもらっている部屋着から彼女は恐らく、女の子らしい服を一着も持ってないと少女・
“さてさて、あたしの予想は当たっているかしら…?”
γ
あれから早いもので5分が過ぎて…より一層暖かくなる春の朝。
そよぐ菜の花や蕾が膨らんできた桜へと視線を向ければ、穏やかな気持ちになるのだが…そんなうららやかな春の中、里香はイラっとしていた。
右手にはめている腕時計へ視線を落とすとそこには朝の9時を三分過ぎたところに針が表示されており…里香は公園をキョロキョロと見渡し、いまだに姿を現さない約束の相手へと怒りを募らせていく。
チクタクと針が音を奏でる度に募っていく怒りの砂が三分一ほど容器を満たした頃、やっと里香へと近づいてくる足音とアルト寄りの声が聞こえてきた。
「お、いたいた。里香、おはよう」
声音から反省の色は見られない
“冗談じゃないわよ!あたしがこの日をどれだけ楽しーー”
「あの里香さん、突然固まってどうなさいました?」
里香が溜まりに溜まった怒りをぶつけようと振り返った先には、一人の少女が立っていた。
肩の近くで切りそろえられている癖っ毛の酷い栗色の髪、こっちを見つめてくるのは空のように透き通った蒼い瞳。
そんな少女が身につけているのは真っ白いワンピースで服の上からでもその華奢な身体つきが手に取るように分かり、そのラインを隠すためになのか、淡い橙のカーディガンを身につけている。
そんな約束の相手の姿に里香は掴みかかりそうになるくらいに前のめりなり、相手を問い詰める。
「ちょっと、陽菜荼!折角の快晴を曇り…いえ、槍を降らせてどうするのよ!」
「それは流石に言い過ぎでしょうよ、里香さん。まぁ、そう言いたくなるのも分かるけど…」
突っかかってくる里香をどうどうと落ち着かせるような仕草をする約束の相手・
「で、本当にどうしたのよ」
「あぁ、これ」
自分の服装をチラッと見た陽菜荼は照れ臭そうに癖っ毛へと指を絡める。
「折角のデートだしね。多少のおめかしは必要でしょう?」
そう言ってはにかむ陽菜荼の姿が一枚の有名な画家が仕上げた極上の人物画のようで…里香はそんな陽菜荼から視線を逸らすと憎まれ口を叩く。
「えぇ…本当に
「だから、言い過ぎだって!」
「もぉ…」と腰へと手を当てると、気を取り直すように顔を横に振る。
そして、気持ちを切り替えたのか…里香へと左掌を差し出す。
「折角なので…手でも繋ぎます?お嬢さん」
そうおちゃらける陽菜荼へと里香はおずおずと自分の右手を差し出す。
「あんたがどうしてもっていうなら繋いであげなくもないわよ」
「うちのお嬢さまがおやさしい方で何よりですよ。では、お手を
なんの躊躇いもなく、指を絡める陽菜荼に里香は顔を羞恥心で染めながら、陽菜荼を怒鳴る。
「ちょっ!?指が絡まってるからっ」
「あらあら、里香お嬢様どうなさいました?お顔が真っ赤ですよ?熱があるやもしれませんね…どれどれ、おでことおでこを重ねて、熱を図りまーー」
ニヤニヤ顔でおでこをくっつけてこようとする陽菜荼を里香は目力をMAXにして睨みつける。
「それ以上、悪ふざけをするなら…シノンに言いつけるからね」
「はいすいません。里香がガチで照れるなんてレアで可愛くてつい調子に乗りました、すいません」
「ふん、分かればいいのよ」
そう言いつつ、今だに里香の頬が赤いのは陽菜荼と恋人繋ぎをしている以上にさっきの会話で不意に放たれたある言葉によるものであった。
“可愛いなんて…お世辞でも言うもんじゃないわよ”
どうせ、他の人にも同じ調子で言っているに違いないとドキドキと脈立つ心臓を無理矢理鎮め、前を向いた時だった。
隣を歩く陽菜荼が無言で里香を見つめてくるのだ。
「……」
“な、何かしら?”
戸惑う里香へとゆっくり伸びていくのは陽菜荼の左手でーー
「ーー」
ーー自分の髪に触れた瞬間、ギュッと目を瞑る。
そして、その手が滑るように自分の頬へ来るのを想像して、待っていた里香だが…代わりに聞こえたのはパチンという何かを外す音で…
「想像通り。やっぱりこのヘヤピン、里香に似合うや」
ニカッと笑う陽菜荼の手元にはさっきまで里香が付けていた愛用しているヘヤピンで…
「それ、里香へのプレゼントだから…大切にしてやってね」
ヘヤピンをポケットへとしまいながら、里香は強くなっていく鼓動をなんとか抑えていた……
大変、まことながら…このsunny placeの更新日を4月から毎週金曜日のみとさせていただきます。
因みにR-18版は毎週日曜日、更新となってます。
その金曜日に調子が良ければ、連続で更新をしているかもしれませんし…してないかもしれません…。
また、四月か五月から原作当時の陽菜荼を書こうと思います。
こちらは百合要素皆無のものとなっているので…シノンさんファンの方、大変申し訳ございませんm(_ _)m
代わりにですが…本編と同じくらいに読者の皆さんに愛されるキャラにしていこうと思っているので…よろしくお願いしますm(_ _)m