そして、恐らく…ニコラスさんは瞬殺になることでしょう…(苦笑)
誰の手によってかは…敢えて言いません(笑)
また、相変わらずの読みにくさなので…お気をつけください(笑)
指定された場所へと、少し…いいや、随分とご機嫌斜めな山猫系
その中の一人、頭の先からつま先まで真っ黒な
「やぁ!キリ、みんなも攻略よろしく!」
「あぁ、カナタもよろしくな」
その場にいる全メンバーに挨拶を済ませたあたしは、キリトの案内によって…【背教者ニコラス】が出現するモミの木へと向かい、捻じくれった巨木の前でイベントボスが出現するまで、準備運動などを行なっていた。
さて、このクリスマスイベントのボス・背教者ニコラスが現れるまでに…今日、集まってくれたメンバーを紹介することにしよう。
まず、
そして、
本当は、他にも誘ったのだが…急用があるとやらで来れなくなってしまった。
まぁ、本来はその急用チームの方がいいのだが…、意外な人までもがその急用チームだったので…あたしはびっくりしている。その人の事をこんな風に思ってしまったら、また職場でちょっかいをかけられてしまうが…〈あの〉クラさんに急用があるとは、明日は大雪にならないものかと、心配になるあたしであった…
「ガァルルル」
そんなくだらない事を考えている間に、どうやらイベントボス・背教者ニコラスが現れたらしい。
真っ白な雪の結晶が舞う中、漆黒の夜空から奇妙な形をしたモンスターに引かれた巨大なソリが姿を現した。それが変な形のモミの木のてっぺんへとたどり着くと、そのソリから真っ黒な影がドッスンと大きな音を立てて、沢山の雪煙を上げて着地する。
雪煙が晴れた後、改めてそれを見ると…キリトが言っていた事が分かった気がした。
腕が異常に長く、前屈みの姿勢の為…もう既に先は地面へと付いていた。せり出たおでこの下は暗闇で、小さな赤い瞳がギロギロとその暗闇の中で光り輝く。頭の下半分からは捻れた灰色のひげが長く伸びていて、下腹部まで届いている。
そして、この日をイメージしたような服装ーー赤と白の上着に同色の三角帽子をかぶっていて、右手に武器となる斧。左手には財宝が眠ると呼ばれている大きな
「おぉ…現れたらしいね」
キリト曰くサンタクロースを醜悪したようなデザインのニコラスへと「ヒュー」と口笛を吹いたあたしは腰から刀を取り出すとゆっくり構える。
そんなあたしをまず、ターゲットにすることに決めたのか…ニコラスがこっちを見てくる。その真っ赤な瞳を見つめて、ニンヤリと笑うあたしをなんのリアクションもなく…見つめてくるニコラスの威圧にあたしは冷や汗を流す。
「ーー」
「…?」
“なんだろ…そこはかかとなく、嫌な予感がするのだが…”
ジィーーーーーーーと穴があきそうなほどに見つめてくるニコラスから距離を通ろうと後ずさったあたしへと、やっとモーションを取るニコラス。
「ガァルルルっ!」
「うお!?なんか、あたしだけに突進してくるっ!?」
ポイポーイと両手に持っていた斧と頭陀袋を地面へと放り投げたニコラスは目の色を文字通り変えて、あたしへと突っ込んでくる。
その突っ込み具合とニコラス自体から漂ってくる怪しげな雰囲気に生理的な悪寒を感じたあたしは巨大な両腕からあの手この手を使って逃げまくる。
ニコラスから逃げるのに必死なあたしとは違い、離れたところから二人の鬼ごっこを傍観しているキリト達は悠長に話し合いを行なっていた。
「えっと…これはいったい、なんだんだ?」
「さぁ?何かしら。随分とカナタにご執心の様子だけど…」
「カナタさんにだけ向かっていってますね」
「カナちゃんが最初に攻撃したってわけじゃないものね」
「カナタ様の何が…ニコラスを惹きつけているのだろうか?」
「うーん、可愛いからってわけじゃないですよね」
一通り、案を出しても結論に達しなかったキリト達は自分達の周りを飛ぶ
数分後、調べ終わったユイがその小さな口を開く。
「調べてみた結果、あの背教者ニコラスはパパが挑んだ時から数段難易度が上がっているのと…色々な設定も追加されたようです」
「へぇ〜、どんなのだ?」
「まず、今まで参加したプレイヤーがニコラスを見ても良い反応を示さなかったためーーサンタクロースというのは、小さい子供に好かれる=小柄なプレイヤーを中心に狙うように設定されたらしいです。それでもウケなかったので、小柄かつ中性な顔立ち、もしくはイケメンなプレイヤーを狙うように設定されたようです。それからは設定が変わってないので、創作者が満足するような反応が見れたと思われます」
『ーー』
“なんとマイナーかつ…うちの主力メンバーを潰しにかかるタチの悪い趣味なんだ…”
ユイの説明を聞き終えたみんながそう思う中、あたしは迫ってくる右手を刀で斬りつけて逃げると…未だに微動にしないみんなへと叫び声を上げる。
「んなことはいいからっ!!誰か、ヘルプに来てよ!!」
「まぁ…カナタには、囮になって貰って…ここにいるメンバーで全力で攻撃が最善の攻略だなぁ…。尊き犠牲はどの攻略でも必要だよな…」
キリトは思う。
あの時よりも更に難易度が上がっているのであれば…誰か一人に敵を引きつけてもらって、ここにいるメンバーで総攻撃した方が手っ取り早いのでないのか?と。
それを思っての案だったのだが、得体の知れない恐怖から必死に投げまくるあたしにとってその案は地獄へと落ちろと言われているような感覚だった…楽しいクリスマスが一転、恐怖と嫌悪のクリスマスになったあたしは大きな声でキリトへとツッコミを入れると迫ってくる左手を横に飛んで逃げると素早く立ち上がり、後方へと逃げる。
「意味が分からんわぁーーっ!!!」
その後も誰かが助けて来てくれるというのはなく…私にとって苦痛な鬼ごっこが役2時間にも達し、ヘトヘトなくあたしよりも上手だったニコラスによって、フィールドの端へと追い詰められたあたしは後ろを振り返るとガタガタと震える。
「あっ!しまっ…」
「ガァル…ル…フフフ…」
「ひぃ!」
知らぬ間に追い詰められていたあたしを改めてみて、ニタニタと気色悪い笑みを浮かべるニコラスに…あたしは心の底から恐怖と嫌悪にガタガタと歯を鳴らしているところへと…そのニコラスの頭へと三本の矢が突き刺さる。
ニコラスと共に矢が飛んで来た方を見ると…そこには、真昼間にはお見せできない表情を浮かべている我が恋人殿が愛弓を構えていた。
「誰がその子に触っていいなんて言ったのかしら?このニセサンタ」
「…シノ」
「…ガルル」
「その子は私の所有物なの。欲しければ、私を倒してからになさい」
そんな事を仰る我が恋人殿に一つだけ言うことがあるのならーー何故、もっと早く助けに来てくれなかったっ!?という事だけだろう。
「ヒナタ、立てる?」
「…ん、ありがと。…シノ」
「どういたしまして」
ニコラスから怯えるあたしをいとも簡単に救出した我が恋人殿ことシノンは、あたしへと可憐なウインクを決めるとその後も見事な身のこなしで迫りくるニコラスの追撃をーーあたしを構いながらーー交わし、精確かつ迅速なカウンターをニコラスへと決めると…瞬く間にニコラスのHPが減っていく。
そんなシノンの見事な戦いっぷりに戦慄するのは、守られているあたしだけではないだろう。遠くで武器を構えている我が友達も同じ事を思っているらしく…時折、隙をみては攻撃を仕掛けているみたいだが、シノンのカウンターや攻撃の方がHPを確実に減らしているらしかった。
黒を好む親友がシノンのことを山猫系
“あらあら、うちのシノンさんたら、変なスイッチが入ってしまったみたいだわ”
などと…柄にもない言葉を使って、この驚きを現していると…シノンが天高くに弓を構え、複数の矢を放つ。それは見事な円を描き、ニコラスへと降り注ぐ。
「ジ・エンド。あなたは自分の力量と己の愚かさをもっと知るべきだったわね」
などと言って、弓を肩へと担ぐ…うちの
「これが財宝?」
「みたいね」
それを隣にいる今回のMVPへと問うと、肩をすくめて同意された。
意を決して、そのプレゼントをタッチすると中から光り輝く指輪が現れる…。
“おぉ〜!凄い綺麗”
と感想を抱いていると、ひとりでに左手の薬指へとはまってしまった。それに驚くあたしへと群がる我がパーティメンバー。
「えっ…と…、みんなしてどうしたのかな?」
あたしのその問いかけにニッコリと笑ったパーティメンバーたちは口を揃えて、こう言ったのだった…
『どうもしませんよ。ただ、カナタさんの結婚しようと』
のちに聞いた話、あの指輪は結婚“ごっこ”が出来る指輪らしい。
はっきり言うと、結婚したプレイヤー達と同じようなシステムを友達同士で出来るようにした指輪らしい…なんて、紛らわしいものをーーと思ったが、まぁ…不機嫌だったシノンか機嫌を直してくれたのならば良かったと割り切るあたしであった……
ークリスマス記念・完ー
今回は、ヒロインなヒナタとヒーローなシノンを書かせてもらいました…!
たまには、こういうのもいいですね〜(笑)
戦闘シーンはへし折ってしまいましたが…キャリバー編ではしっかりと書かせてもらいますので…それで、ご勘弁をm(__)m
また…30日くらいまで、私用によって更新を休みたいと思ってますm(_ _)m
楽しみにされている方、本当に申し訳ないです…