なるべくドキドキできるシーンを入れられたと思うのですが……んーあまりドキドキできないかもしれませんが楽しんでもらえると嬉しいです!
それでは本編をどうぞ!!
【とあるファミレス】
化けくじらことケートスを討伐した後、あたしとリーファ/直葉とリズベット/里香と共に両国公園近くのファミレスへと来ていた。
透明なカップへと水を注ぎ、お盆に三つほど置いて、あたし達のところへと持って来てくれる店員さんへと懐と相談しながらメニューを決めて、そのメニューと共に届いたジュースを利き手で持ったあたし達はついさっきまで続いたケートスを無事討伐出来たことと自分達への労いの念を込めて、お互いのコップへとカッキンカッキンと鳴らす。
「ケートス討伐お疲れ様ーー!!」
「お疲れ様です」
「お疲れ様〜」
グビッとキンキンに冷えた柚子入りジンジャーを喉を鳴らしながら、半分くらい飲み干したあたしは"くっぱー"と口を左の甲で拭うと向かい側で赤とオレンジ色のツートンカラーの飲み物を優雅に飲む里香をジィーーと見つめる。
「何よ……陽菜荼……」
あたしの視線に気づいた里香はうっとおしそうに横目で見てくるのを身を乗り出したあたしはニッコリスマイルで出迎えると最大限の甘えた声を出して尋ねる。
「ねぇ、里香が頼んだやつってなぁに?」
「まさか、あたしのが美味しそうに見えたらって一口貰おうとか思ってるんじゃないでしょうね」
"呆れた"と全面に出してもそう言う里香にもう一度微笑むと小さく口を開くあたしへと里香はスッと自分の方へとコップを引き寄せる。
「そのまさか。一口ちょーだい」
「そんな声出してもあげないわよ」
「なっ、ケチだな……ほら、あたしのもあげるからさ」
そう言い、あたしが薄っすらゴールド色から柚子色へとグラデーションをしているコップを差し出すと深いため息をと共にやっとコップを差し出してくれた。
「どんだけあたしのを飲みたいのよ……はい」
「さんきゅー」
里香が
“赤いのがさくらんぼで、橙がマンゴーか……ん、うまい!”
「…なっ」
おや? 里香の顔がさくらんぼみたいに真っ赤になってる……もしかして、さっきまで飲んでいたさくらんぼ要素が溢れ出してきてしまったのだろうか? いや、そんなことないか。
考えてみても里香が顔を真っ赤している理由が分からなく、小首を傾げたあたしへとさっきまであたしが咥えていたストローと柚子入りジンジャーへとついささっているストローを取り替えた里香が声を荒げる。
「ん?」
「ん? じゃないわよ!あんた、ストローくらい。自分のを使いなさいよ!」
「へー。面倒いし、里香ので良くない?」
なんでわざわざ里香のストローとあたしのストローを取り替えないだけでそんなに怒られなくてはいけないのだろうか? 本当に意味が分からん……かったるし……なんでそんなことに気を張らなくてはいけないだろうか? 里香が口をつけたからって取り替える理由にもならんし……本当、よう分からん。
「はぁ……あんたのそういうところにシノンは頭を抱えてるのよ……少しは分かってあげなさいよ……」
なんか里香がドッと疲れているような顔をしてらっしゃるけどどないしたんだろうか?
取り替えたストローであたしの柚子入りジンジャーを一口飲み干した里香が目を丸くして"え、なにこれ……美味しいんだけど……"と小声で呟くのを聞いて、してやったりとほくそ笑むあたしの左腕をちょんちょんと突いてくるのでそちらを向くと両手で包み込んでいるコップをこちらへと差し出しながら問いかける直葉の姿がある。
「陽菜荼さん、あたしのも飲んでみます?」
「おーぉ、いいの! さんきゅー」
直葉が差し出してくれた卵色の半円のものの下にしゅわしゅわと泡を吐き出している黄緑色のジュース……メロンジュースにささっているストローをくわえようとして思いっきり里香に頭を叩かれる。
「痛いな、里香。なんだよ……」
「なんだよじゃないわよ、さっきと同じことを繰り返すのかしら?」
目が笑ってない笑顔でそう問われ、あたしは震え上がりながら直葉のストローとあたしのストローを取り替えてからメロンジュースを飲むと真横の直葉へとはにかむ。
「直葉のメロンジュースも美味しいね!」
「陽菜荼さんの柚子入りジンジャーも美味しいですね。あたし、お兄ちゃんがよくジンジャーを飲むから、つられて飲んだりするんですけど……このジンジャーは初めて飲みました」
「ほのかに漂う柚子の香りと……ジンジャーの苦味と柚子のほんのりした酸味が合うんだよね」
「はい、とっても美味しいです!」
「だよね〜」
そんな感じで里香と直葉の頼んだジュースを分けてもらいながら、今回のケートス戦での反省会をしていると店員さんが
“さーて、どっちが先に食べるかな?”
あたしのニコニコ笑顔に何かを感じとってるような里香は訝しがりながらも白と黄色のトロトロな衣をスプーンで突き破り、真っ赤なチキンライスまで掬うと恐る恐る口に含む。
「びっくりしたわ……これは美味しいわね」
「本当です、卵がふわふわでとっても美味しいです」
満足そうに目の前のオムライスを食べていく二人をニコニコを通り越してニヤニヤとした笑みを浮かべるあたしに里香は眉をひそめるとさっきから感じる違和感に気づいたそうでオムライスとあたしの顔を交互に見つめている。
「なんであんたが幸せそう……ってもしかしてこのオムライスってーー」
「ーーそう! あたしがここのファミレスさんに頼んで作った手作りオムライスなのだ!」
えっへんと胸を張るあたしに里香はポカーンと口を開け、直葉は何故か頬を真っ赤に染める。
「トイレが長いから何かしてると思ったらそんな事を……」
「どう? かなりいい出来でしょう?」
あたしもパクリと口に含むあたしへと直葉が問いかけてる。
「なんで陽菜荼さん、わざわざ手作りオムライスを?」
「あたし、将来お料理屋さんになりたいんだよね……オムライスもだけど他の料理も作るのは好きだからね」
ニコッとはにかむと直葉もニッコリと笑ってくる。
「なるほどね……その夢のためにあたしらをダシに使ったってわけね」
「言い方ッ。まー、その通りなんだけど……」
苦笑いを浮かべるあたし達はオムライスを食べ終わるとそのファミレスを後にしたのだった。
ということで長かったリーファちゃん&リズベットちゃんの誕生日エピソードのおしまいです!!
余談なのですが……陽菜荼ちゃんがリーファちゃんとリズベットちゃんへの誕生日として用意したのは【手作りオムライス】だけでなく【盛り付けられたお皿&スプーン】も送ったそうです。
更に余談なのですが……【盛り付けられたお皿には二人の誕生日花が、スプーンには二人の誕生日石】がつけられていたそうですよ♪
因みに、二人の誕生日プレゼントを買うために…二人に会う前にこっそり順位を上げていたそうですよ、陽菜荼(微笑)