木曜日に更新するといって…遅れてしまって、ほんとに申し訳ないです。
そんな遅れてしまった本編ですが…食事シーンが主となってます。
では、本編をどうぞ!
「へい、お待ち」
「ありがとうございます、マスター」
カウンターの向こう側から伸びてきたマスターの両手からオムライスとはちみつレモンを受け取り、まずは膝の上に腰掛けるひなちゃんへと差し出します。
チラッと私の方を見るひなちゃんへと微笑むとひなちゃんは最初の方はキョロキョロしていましたが…目の前にあるオムライスの魅力に負けたらしく、ゆっくりと小さな左手でスプーンを掴むとパクっとオムライスを口に含みます。含んだ瞬間、ひなちゃんのすこし切れ目な蒼い瞳がみるみるうちにまん丸になり…かけこむようにスプーンを動かすひなちゃんはどうやら、マスターのオムライスが気に入った様子です。…とは言いましたが、本当はそんなに心配していませんでした。だって、大きくなったひなちゃんことカナタくんはしょっちゅうマスターのところに通っていたところは見たことがありますし…えっと、何が言いたいかと言いますと…人の好みは小さくなっても大きなっても変わらないものだなぁ〜と言うことです。
「ひなちゃん、美味しい?」
「ん…おひい」
「もう、お口に物を入れたまま喋ったら、はしたないよ」
「あむむぐ…ごめんなひゃい」
ひなちゃんが食べているのに話しかけてしまった私も悪いのですが、子リスのように頬を膨らませて、口の中にあるオムライスをのぞかせながら喋るひなちゃんは微笑ましく愛らしいのですが…やはりここはママとして注意するべきでしょう。
淡く笑いながら、ポロポロ零しながら食べるひなちゃんの頬についたケッチャップを拭いてあげながら…小さい膝の上にハンカチを置いてあげます。こうしておけば、もし服の上に落ちてもワンピースが汚れることはないでしょう。
そうこうしていると、どうやら私の分も出来た様子です。マスターにもう一度頭を下げ、隣に座るシノンちゃんへももう一度お礼を言います。
「はい、これはレイちゃんのね」
「あぁ…ありがとうございます。シノンちゃんもありがとうね」
「いいのよ。私もカナタに勧められて、マスターのオムライスを食べたんだけど…確かにオムライスだけは別格だったわ。食べて損はないばすよ」
「おいおい。シノちゃんまでそれは酷くないか?」
「ふふふ、冗談よ、マスター。マスターの料理はどれも美味しいわ」
マスターのむくれた表情が可笑しかったのか、シノンちゃんはクスクスと笑うとひなちゃんへと話しかけてきます。そんなシノンちゃんを暫し、ジィーと見つめていたひなちゃんは小さな声でお礼を言うのを微笑ましく思います。
「ひなちゃん、オムライスとはちみつレモンの味はどう?美味しいかしら?」
「……」
「?」
「…どっちもおいしい…。おねえちゃん…ありがとう」
「ひなちゃんはもうお礼が言えるのね、いい子だわ」
「えへへ〜」
シノンちゃんのほっそりした右手がひなちゃんの髪を撫でるのを見ながら、私もお言葉に甘えて…オムライスを一口口に含んでみます。
“んんっ!?何これ、美味しい!!”
口に含んだ瞬間、ポロっとほぐれる卵には淡くダシの味が付けられており…その卵の薄味が濃い味付けのチキンライスとまたあうのです、これが。なるほど、これはひなちゃんの手が止まらなくなるのも分かります。
ひなちゃんの頭を撫でていたシノンちゃんが私の表情から驚きを感じ取ったらしく、声をかけてきます。
「ね?マスターのオムライスは格別でしょう?」
「うん、そうだね!今度から時々食べに来なくちゃ」
「良かったわね、マスター。レインも来てくれるそうよ」
「あぁ、これで常連さんが増えたよ」
その後、私とひなちゃんが食べ終わるのを見計らって…マスターへとお金を支払ったシノンちゃんの後を追いながら、こっちへと手を振るマスターへ頭を下げる。ひなちゃんを抱え直し、シノンちゃんの隣に立つとどこへ向かっているのか話しかけます。
「それでシノンちゃん、ここからどうするの?」
「アスナのところへ行ってみようと思うのよ」
「アスナちゃん?」
「そう」
お腹がいっぱいになったおかげで眠くなってしまった様子のひなちゃんはウトウトと小船をかきながら…遂に我慢できなくなった様子で私の右肩の頭を乗っけて眠ってしまいました。
「アスナなら最前線のことが分かると思うし…何よりユイちゃんっていう娘が居るんだもの。服とかこれからの事とか何か相談に乗ってくれるばすよ」
シノンちゃんに連れられ、今度はエギルさんが切り盛りにして居る酒場へとやってくるともうそこには一人の少女が腰掛けていました。
全身を覆う白と赤と騎士服、腰近くまで伸びた栗色の髪はこっちへと手を振っている少女の動きに合わせてフサフサと左右に揺れている。
そんな少女・アスナちゃんへと手を振りながら…寝てしまっているひなちゃんを起こさないようにゆっくりと腰掛けます。そんなに私の隣に腰掛けたシノンちゃんが口を開くより先にアスナちゃんがひなちゃんへと視線を向けてきます。
「シノのんから来たメッセージを見た時もびっくりしたけど…本当にカナちゃん小さくなっちゃったんだね」
「ええ、そうなの。一体、どんなクエストを受けたのかしらね?」
「ふふ、そうだね。さて、カナちゃん…今はひなちゃんなんだっけ?その子の服だよね」
どうやら、シノンちゃんが前もってアスナちゃんへと状況説明と子供服の依頼を送ってくれたらしく…アスナちゃんはその形良い眉をひそめると真剣に相談に乗ってくれます。
「想像していたよりも随分小さいんだね…。心辺りがあるにはあるんだけど…その人は
凄く今更なんですが…このマスターですが、オリジナルキャラです…(汗)