sunny place 〜彼女の隣が私の居場所〜   作:律乃

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前の話から数ヶ月経ったある日の話です


詩章・番外編 とある日の出来事(未来)

「………」

 

薄っすら目を開けてみる。

 

まず目に入るのは……白い天井……。

この天井を見るとは()()()()()()()()()何回目となるのだろうか? 数えることも二桁を超えるところで億劫になってきた。いや、この世界に来たことで襲ってきた心細さ、孤独、絶望に比べれば、感じていた億劫も微々たるものだろう。

 

視線を横にすれば、深緑色のカーテンとサイドテーブル。きっと足元に広がるのは、長ソファー。長いテーブルが並んでいることだろう。

この宿屋を寝ぐらにしているので、木造箪笥の中には自分ともう一人、同居者のアイテムが沢山入っていることだろう。

 

暫く、ボゥーと覚醒する為に天井を見ていると視界の端で焦げ茶色の何かが揺れていることに気付く。

視線を其方へと向けると件の同居者が自分の胸元に顔を押しつけて寝ている姿だった。

 

「すぅ……すぅ………」

 

可愛らしい寝息を立てながら、甘えたようにギュッとパジャマを握りしめる。

焦げ茶色のショートヘアーが彼女が頬ずりする度に左右に揺れては鼻先と頬をくすぐり、こしょばゆい。目を細めながら、寝ている彼女を視界に収める為に少し体を枕の方に身体を引き上がる。肘で上に上がってから、スヤ……ァ、スヤァ……と健やかな寝息を立てている彼女の焦げ茶色の髪の毛へと右手を差し込み、後頭部を撫でる。

 

(この子とも長い付き合いになるな)

 

この子、この世界、ソードアート・オンライン(SAO)でのアバターネームは《シノン》。現実世界では《朝田詩乃》との出会いは、小学校3年の時に彼女の隣に引っ越してきて、それから同じ小学校の図書室での仲良くなり、互いの部屋や図書館で遊ぶようになり、その後も何度か交流を重ね、そして、ーーーーーーーーー。

 

「……ん?」

 

長い焦げ茶色の睫毛が僅かに揺れ、1ミリ1ミリと上がってきた目蓋から髪と同色の瞳にカーテンから差し込んでくる光によって宝石の琥珀のように光る大きな瞳が真っ直ぐ自分を見上げてくる。

琥珀の光を放つ瞳を見下ろしながら、さらさらときめ細かい糸のような髪の毛へと右手の指を差し込み、慈しむようにシノンの髪の毛を撫でる。白魚のような指先が眠そうに擦っては大きな欠伸をしている。

 

「……おはよう、ヒナタ」

 

「ん、おはよ、シノ」

 

ベッドの頭の辺りへと気怠げに背中を預けていると起き上がったシノンが太もものところに腰を落とす。

肩に両腕が添えられるとスッと身を寄せ、焦げ茶色の瞳が近づいてくるのを見つめながら、近づいてくる唇を迎える。

最初に触れるだけだった唇はうねり、貝が合わさるように唇と唇が重なり合い、お互いのぬくもりや感触を交換するように、貪るように、キスを続けていく。

 

(伝わってくる……シノの気持ちが……)

 

「ひな……た……ぁ」

 

甘えた声ですがるように自分の現実世界の名前(リアルネーム)を言う彼女が愛おしくて、ギュッと強く抱きしめると自分の同じ気持ちだと伝える為に後頭部を撫で、力が入っている唇の力を緩めるようにしてから小さかった隙間をゆっくりと広げていく。

詰まっていた目蓋が開き、舌を挿入してはシノの舌へと絡める。まん丸になった瞳が細まり、上下する舌を受け止めながら、互いの唾液が動き回る自分たちの舌により泡立てる。唇の隙間から唾液が頬が汚れるのも忘れて、キスに没頭していく。

 

「んっ……ぁ……ぅぁ………」

 

唇の隙間から漏れ出るシノの声が色っぽくて、もっと聞きたくて、空気を吸い込もうとする彼女の唇を覆い、より強く強く抱き寄せると絡み合う舌にだけ意識を集中していく。

一旦、何時間掛かったのか分からないまま、ゆっくりと唇を外したあたしとシノは身を外すと大きく数回深呼吸をする。

 

「……ぷは」

 

「はぁ……はぁ……」

 

赤い頬で熱っぽい息を吐きながら、お互いを見つめているとクスクスと笑い出す。

 

「ヒナタってキスが上手よね」

 

「それはどこぞのお姫様が毎朝毎晩キスを求めてくるでしょう。お陰で舌だけでチェリーの枝を結べるようになりましたよ」

 

「それって……私、関係あるの?」

 

「関係大有りでしょうよ………たく」

 

その後、まだ笑い合うともう一度キスするのだった。

 




なんだか……アダルトな雰囲気が流れているような……(苦笑)

でも、大丈夫。R18ではないバス!(大汗)

………た、たぶん………(滝汗)








ついに終わってしまいましたね…………アニメSAO、アリシゼーション編(涙)
全4クールという長い期間を駆け抜けたスタッフの皆様、そしてキャストの皆様、本当にお疲れ様でした(高速土下座)
最終話(#23)は見どころが多く、最初から最後まで楽しませていただきました!
中でも好きなシーンは、キリトくんの家族とアリスちゃんが会話するシーンですね。アリスちゃんの「お父様」に対して、リーファ(直葉)ちゃんが「お父様ッ!?」というところが一番好きです。
後は、200年後のアンダーワールドがメカメカしすぎていて……びっくりしちゃいました。が、あの時から200年経ってるんですもんね……それ程経っていたら、科学も文化も進化しているはずです。そこで思うのは、アドミニストレーターが人々に齎していたのはやはり停滞だったのだな……と。
そして、ロニエっぽい子とティーゼっぽい子(私は二人が何者かは知っていますが……アニメだけを見ている人にとってはネタバレになるので記載なし)が乗っていた機体の天井に掲げられた紋章(?)に"金木犀の花"が書かれているんですね!
後、最後の最後にキリトくんの横にユージオくんを登場させるのと、幼い頃のキリトくん、ユージオくん、アリス・ツーベルクちゃんを乗せるのは泣くッ!!これはあかんっ(滝涙)

最後の最後に、二刀流のキリトくんが登場したのは……アニメ化が決定した【SAO プログレッシブ】編への繋がりだと私は勝手ながら思ってます。
私の好きなプログレッシブの話は、ミノタウロスに追いかけられるアスナちゃんです(笑)

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