剣(つるぎ)の世界で   作:ネギ丸

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番外編を除いて記念すべき第10話目です。今回は部活の合宿が重なったりして忙しかったのですが、頑張って書きました。更新のペースをもう少しあげたいのですが、なかなか思い通りにいきません。読者の方々には迷惑をおかけすると思いますが今後ともよろしくお願いします。
それでは、剣の世界で第10話をお楽しみください。


第10話 :ようこそ! 黒猫魔法道具店へ

無事にゴーレムを討伐した俺たちはその報酬を貰いにギルドへと足を運んでいた。

 

「お疲れ様です。こちらが今回のクエストの報酬の50000エギルとなります。」

 

受付嬢のカリータさんはそう言い、俺に報酬の入った袋を手渡した。俺はそれを受け取りバッグにしまった。

「そして、こちらがゴーレムの核の欠片の買取金額の25000エギルとなります。」

 

カリータさんはそう言い、続いて俺に25000エギルの入った袋を手渡した。魔法持ちのゴーレムの核は貴重な魔法道具の材料になるため普通の核よりも高く買い取られるらしい。

俺たちはカリータさんから袋を受け取りお礼を言ってギルドを出た。

 

 

 

「思ったよりも高く買い取ってもらえたな。」

 

「そうですね。今回採取した核は綺麗に割れていたからでしょうか。」

 

俺とセレスは今回の報酬について話しながら街の大通りを歩いていた。今は時間でいうと午後の3時頃、特に今からやることのない俺たちはセレスの提案でセレスの行きつけであり、この街で人気のある魔法道具店へ行くことにしたのだ。その魔法道具店は回復薬を始めとし、特殊な装備品や道具が売られていて、沢山の道具があるらしい。

 

「セレスは何か買う予定があるのか?」

 

俺は俺の右に並んで歩いているセレスにそう聞いてみた。

 

「はい。今回の報酬で杖を新調しようと思ってます。」

 

どうやらセレスは新しい杖を買うらしい。セレスの杖を見てみると、セレスの杖はかなり使い込まれていることがわかる。そろそろ替え時なのかもしれない。

 

「あ、着きました。この店ですよ。」

 

セレスは一軒の店の前に立ち止まり、そう言った。俺はその店を見る。その店は日本でいうとコンビニぐらいの大きさで、綺麗な木造だ。入り口の上には、『黒猫魔法道具店』と書かれた看板が貼られている。俺は店の扉を開けて中へと進んだ。店の中はおしゃれな雑貨屋さんのようで沢山の魔法道具が目に入る。

 

「いらっしゃいませー。この度は黒猫魔法道具にご来店いただきまことにありがとうございます。」

 

俺が出入り口の前で立ち止まっていると、店の奥のカウンターから店の人が丁寧に挨拶をしながらこちらへとやって来た。その店員は年齢でいうと20歳ぐらいだろうか、そして黄色く光る目と綺麗な黒髪ショートにカットされた髪からピンと立っている猫耳が印象的だ。

 

「こんにちは、エルさん。今日は新しく杖を作ってもらいたいんですが、大丈夫ですか?」

 

俺の後から入って来たセレスはその店員に話しかけた。

 

「にゃんだ、セレスじゃにゃいか。今ならお客さんも少にゃいから大丈夫だにゃよ。」

 

さっきとは喋り方が違う店員さんに少し戸惑っている俺を見てセレスは俺にその店員を紹介してくれた。

 

「ケンマさん。こちらはこの黒猫魔法道具店の店長にして、バルトリア街一の魔道士と言われている猫耳族のエルさんです。」

 

「バルトリア街一にゃんて大袈裟だにゃ。はじめまして、私は黒猫魔法道具店の店長のエル・ブラックフォードだにゃ。君はセレスの友達かにゃ?」

 

エルさんは自分からも自己紹介をし、俺に聞いてきた。

 

「あ、はい、はじめまして。俺はケンマ・ヒガシノです。セレスとは同じパーティの仲間です。ところで、エルさんはバルトリア一の魔道士ということは冒険者ってことですよね?どうして魔法道具店の店長をやってるんですか?」

 

俺は急に振られたので少し言葉が詰まったが、なんとか自己紹介をし、そのまま疑問に思ったことを聞いた。

 

「面白いことを聞いてくるんだにゃ。それは、ただひたすらモンスターを討伐してたら、知らにゃいうちにとてつもにゃい大金を稼いでいて、昔から魔法道具店を開いてみたいと思ってたから店を開くことにしたんだにゃ。と言っても、週一の休みには討伐クエストとかやってるからまだまだ腕は鈍ってにゃいよ。」

 

エルさんは楽しそうに笑いながらそう言った。どれだけモンスターを倒して来たんだよとつっこみたいところだ。

 

「そんにゃことより、新しい杖を作って欲しかったんだにゃね。何か要望とかはあるかにゃ?」

 

とエルさんは話を切り替え、セレスに聞いてきた。

 

「そうですねー。大きさは今のと同じくらいでお願いします。あと、この金額でできるだけいい杖を作ってください。」

 

セレスはそう言い、事前に分けたクエストの報酬が入った袋をエルさんに手渡した。

 

「まいどありー。今から作ると明日の正午には完成するからその後に取りに来るといいにゃー。」

 

エルさんはそう言ってセレスからお金を受け取り、レジ裏の扉を開けて中へと入っていった。

 

「それでは、私は少し商品を見て来ますが、ケンマさんも少し見ていってはどうですか?」

 

「うん、そうさせてもらうわ。」

 

 

 

セレスと別行動をとることになり、俺は店の中の商品を興味深く見回っていた。売られているものはかなりの数の種類があり、魔力が上がる指輪や解毒のポーションなど、ゲームでお馴染みの道具の他に、魔力を注ぐと勝手に水が溜まる湯飲みや、熱魔法によって洗濯物の乾燥を速める物干し竿などの変わった道具も売られていた。

俺はしばらく店の中を見回っていると、一つの商品に足を止めた。その商品はガラスのような素材でできた猫をモチーフにしたネックレスだ。色のバリエーションはたくさんあり見ただけでも10は超えている。俺がしばらくその商品を眺めていると、

 

「そちらの商品は今若者に人気の商品の一つ、『幸運の猫』です。この商品は身につけると幸福が訪れると言われている鉱石『ラクルト』を使用したネックレスです。冒険者の方にも大変人気のある商品ですよ。」

 

店員さんが商品の説明をしてくれた。俺はその急な説明にぽかんとしていた。

 

「あ、急に説明してごめんなさいね。私はこの店の店員にしてエルのパーティメンバーのアーラといいます。この店は私を含めて5人のパーティメンバーが経営していて、今日は私が担当の日なんですよ。あ、いらない情報でしたね。」

 

ごめんなさい、と彼女はそう言い、レジへと戻って行った。

俺はしばらくその商品を眺め、手に取って触ってみたりした。そして、俺はその中の一つを手に取りレジへと持って行った。レジにはさっき商品の説明をしてくれたアーラさんが青い長髪の毛先を指先で弄りながら手に持った書類に目を通していた。そして、俺に気づいたのか書類を読むのをやめてこちらに視線を向けた。

 

「この商品を買います。」

 

俺はそう言い、白い猫のネックレスをレジのテーブルの上に置いた。

 

「では、1800エギルになります。」

 

俺は自分の財布からお金を取り出しアーラさんに手渡した。

 

「1800エギルちょうどいただきました。お買い上げ有難うございます。」

 

アーラさんはそう言い、ネックレスを丁寧に紙の袋に包み俺に手渡した。俺はそれを受け取り、お礼を言った。ちょうどその時に店を見回っていたセレスが俺のところにやって来た。

 

「ケンマさん、いい商品が見つかったんですね。ちなみに何を買ったんですか?」

 

「猫のネックレスだよ。」

 

セレスは少し興味深そうに聞いてきた。

 

「猫好きなんですか?」

 

「ああ。昔家で猫を飼ってだだよ。ちょうどこんな感じに白いのをさ。」

 

そう言って俺は袋の中からさっき買ったネックレスを取り出してセレスに見せた。窓の外から入って来た日差しが反射し、白い猫は眩く光っていた。セレスは少し眩しそうに目を細めたあとに少し笑ったように見えた。

 

 

買い物を終えた俺たちは店を出て、街の大通りを再び歩いていた。今は午後の6時ごろ、街のあちこちでいい匂いが漂ってくる。

 

「そろそろ夕飯の時間ですね。何か食べていきましょうか。」

 

セレスは期限が良さそうにそう言った。

 

「そうだな。そういえばこの近くに美味しい定食屋があるって聞いたぞ。そこで夕飯を食べるか。」

 

こうして俺たちはその店で食事をすることにした。エシリアは早く食べたいのか、俺の肩から降りると、自分で飛び始めた。大通りを行き交う人混みの中、俺たちはその店へと向かうため足を進めた。




風邪ひきました。

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