過去ではなく異世界へGOしたトランクス   作:しろろ

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投稿が遅れて申し訳ありません!
忙しかったのと、上手く話が纏まらないので時間が掛かってしまいました。

それでも、口調や設定に疑問を抱く方、どうかご了承下さい!


4話 以外と初心です。

 

 

 

 ↑(意外と初心です)今は廃墟となった教会の中で、私━━━ミッテルトとドーナシーク、カラワーナは恥ずかしさで頭を上げる事が出来なかった。

 

「それで、あなた達は人間一人にやられた挙げ句、アーシア・アルジェントを逃がしたの?」

 

「は、はい・・・すみません、レイナーレさま」

 

「面目無い・・・・」

 

「恥ずかしい限りだ・・・・」

 

 私たちに嘆息するのは一人の女性堕天使。

 ボンテージ姿で魅惑の肢体の露出が激しい。一見して、そっち系の女優かと思うけど、私たちのリーダーなのだ。

 

「・・・・人間とは言え、あの男には注意すべきだ。私が気絶させられた時、何をされたかも分からなかった」

 

「ああ、まさに瞬殺と言っても過言ではない・・・・」

 

「ふん、揃いも揃って情けない。それでも至高の種族である堕天使なの?・・・・・はぁ、まあいいわ。それよりも今はアーシアよ」

 

 ドーナシーク達の報告を気にも留めず、レイナーレさまは話題をあの金髪シスターに変えた。

 

 分かっていない・・・・この人は知らないんだ。

 あの眼。あの青い眼に捉えられた時を思い出すだけで背筋が凍る。

 

 堕天使としては下級も下級。そんな私でも感じる事ができた圧力(プレッシャー)は尋常じゃない。

 うぅ・・・・正直怖かったよ、あいつ・・・・。

 

「まったく、念を入れておいて正解だったわ」

 

 頭部が丸々無くなっている聖人の彫像に腰を降ろしたレイナーレさまは、胸元から一枚の小さな紙を取り出した。

 

 うわー、相変わらず大きいっす。

 それに比べて私の胸は・・・・・・。いや、ま、まだ成長期だし?これからボインになる!・・・・・よね?

 

 自分のペッタンな胸に淡い期待を抱いていると、レイナーレさまは取り出した紙の説明を始めた。

 

「あの子には予めマーキングを施していたのよ。どんなに離れていてもこの転移用の陣で呼び戻すことが出来るようにね」

 

 表には堕天使御用達の魔方陣が描かれ、裏は白紙だ。

 流石レイナーレさま!準備が良いと言うか、用心深いっす!これでアイツらに一泡吹かせられますね!

 

「なら早速━━━」

 

「残念だけど今は無理よ。恐らく、忌まわしい悪魔共の張った結界内にアーシアはいるわ。そのお陰で転移を妨害されてるの・・・・・ほんっとうに忌まわしい!」

 

 カラワーナの言葉を遮ったレイナーレさまは、憤怒の表情で歯をギリッと鳴らす。

 めっちゃ不機嫌そうなのは一目瞭然だ。この時にはあんまり関わりたくないのが本音でもある。

 

 でも、そういう時に限って・・・・・。

 

「ミッテルト、あなたは悪魔どもの監視に行きなさい。戦いもせずに逃げてきたのだから、少しは働いて貰うわよ?」

 

「え、私一人っすか・・・・?」

 

「そうよ?何か問題があるかしら?」

 

「い、いえ、ありません」

 

 ひぇ・・・・こんなの死にに行くようなものだよ。で、でも、このままじゃ役立たずの烙印を押されちゃう!

 

 うぇーん!何で私だけなの!?

 無理だ!うん、無理無理!だってあの怖い人もいるんでしょ?

 さっきは見逃してくれたけど、次会ったら殺される気しかしない・・・・!

 

「そうか、頑張ってくれミッテルト」

 

「私も手伝ってやりたいが、直々にご指名ならば仕方ない」

 

 ド、ドーナシークゥゥ!カラワーナァァ!

 他人事だと思って安心してるよね!?ああ、もう!どうせなら私が先に戦えば良かったわ!!

 

 

 ━━━━。

 

 

 やっぱ怖いからそれは無理・・・。

 第一、私って戦うの苦手だし、そもそも弱いし。

 

 ・・・・・はぁ。

 

 これが出来なきゃお払い箱にされるかも知れない。

 もう・・・・・やるしかないよね。

 

 

 

 

 

 

 ▽▼▽

 

 

 

 

 

 トランクスがアーシアを救出し、無事にオカルト研究部部室に到着してから数十分。

 慌ただしかったこの部屋も、今では大分落ち着きを取り戻している。

 

「どうですか、イッセーさん?」

 

「ああ、痛みが和らいでいくよ。ありがとな、アーシア」

 

「い、いえ!これくらいの事は当然です!」

 

 一誠はソファーに座り、左足の方のズボンを捲り上げて、怪我をしている所をアーシアの神器、『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』で治療してもらっていた。

 その回復速度は目を見張るもので、あっという間に怪我が修復していく。

 

 ━━━アーシア・アルジェント

 

 ・・・・本来ならば、教会関係者は悪魔の敵。

 この拠点に連れてくることも、当然快く頷けるものでは無い。

 

 しかし、事情が事情だ。

 一誠の説得もあって、リアスは特別に此処への滞在を許可した。

 その前に一誠は自分の家を勧めたが、それだと一誠の両親が巻き込まれる可能性が出てくるので却下。

 

 ここならば、簡易だが結界もある。

 加えて、トランクスも暫くはここで寝泊まりする事になったのだ。

 

 戦力的にも申し分無い。・・・・・無いのだが。

 

「やっぱり、年頃の男女を二人っきりにするのは不味いわよね・・・・」

 

「じゃ、じゃあ!俺も一緒じゃダメですか?」

 

「それはそれで、いけない気がするわ・・・・・」

 

 たった今足が完治した一誠の申し出に、リアスは首を横に振る。

 それもその筈、兵藤一誠とはまさにエロの権現。脳内ピンク1色と言っても過言ではないほどの男なのだ。

 

 まあ、だからと言ってアーシアに邪な事をするとは思えないが、念には念を、だ。

 

「仕方ないわね、私もここに泊まろうかしら。それなら変なことも起こらないでしょうし」

 

「あ、あの・・・・・俺、外でも平気ですよ?態々迷惑を掛けるわけにもいきませんし」

 

「それは駄目よ、トランクス。客人にそんな失礼な事は出来るわけないでしょう?」

 

「いや、でも━━━」

 

「出来るわけないでしょう?」

 

 有無を言わせないその笑顔に、渋々頷かざるを得なかった。

 一誠からは凄まじく恨めしそうな視線を向けられ、内心で勘弁してくれ、と溜め息をつく。

 

 日々戦場のような環境の中、異性と一つ屋根の下で過ごすなど母親であるブルマ以外に経験がない彼にとっては赤面ものだ。

 

 ましてや年の近い少女で、それも『美』が付く程。

 これを意識するなという方が無理な話だ。

 

 そんなトランクスの心中に気付くこともなく、リアスは手をパンッと叩いて本日の悪魔家業を締める。

 

「堕天使については私の方から調べてみるわ。でも、取り敢えず今日はこれでお開きにしましょう。イッセーも怪我は治っても疲労は溜まってる筈よ、トランクスも同じくね」

 

「はい!アーシアの事、よろしくお願いします!トランクスも今日はありがとな!お前がいなかったら、今頃アーシアはどうなってたか・・・・!」

 

 一誠は頭を下げて感謝を伝える。

 

「そんな大したことじゃ・・・。俺の方こそ、皆さんが無事で良かった・・・・本当に」

 

 静かにトランクスはそう言った。

 

 その言葉の真摯さ、向けられる安堵の眼は17の少年に出せるとは到底思えない。

 年不相応、と言うべきか。

 

 一体、彼の世界はどのような場所なのだろう。

 

 全員が心でそう思っても口には出せずにいた。

 哀愁漂う彼に、その発言を塞き止められる。

 ただ、今は聞くべき時ではない。聞いても答えてくれるだろうが、それでもだ。

 

「あの、どうしました?」

 

 自覚の無いトランクスが、黙りこむリアス達に怪訝そうに問いかける。

 

「あっ・・・・・いえ、何でもないわ。さあ、皆も明日は学校があるんだから今日はもう帰りなさい」

 

 その掛け声の後、眷属の皆は各自挨拶をして部室から退室していった。

 

 

 

 

 

 ▽▼▽

 

 

 

 

 

「眠れない・・・」

 

 ソファーが二つある内の一つに仰向けになるトランクスがそう呟いた。

 向かいのソファーにはアーシアが横になり、スヤスヤと寝息を立てている。

 

 そして、リアスはと言うと、魔力で作った即席のベッドで眠りについていた。

 魔力知識の無いトランクスにとって、新鮮且つ驚愕の業だ。

 

 目を瞑って試しに羊を数えても寝られず、仕方なしに夜景を眺める事にする。

 

 窓から差し込む月光。

 神秘さを感じさせる輝きだ。

 スポットライトのように降り注ぐ光は、何故か孤独感を感じさせる。

 

「・・・・平和だな」

 

 

 破壊された所はどこにもない。

 

 

 黒煙も見当たらない。

 

 

 悲鳴だって聞こえない。

 

 

 ━━━このまま、帰れないのか・・・・?

 

 

 不意にその考えが過った。

 

 大丈夫、きっと何とかなる。そう何度も反復するが、一度出てきたこの不安はどうしようもなく纏わり付いてくる。

 

 それでも、何度も何度も思い込ませた。

 そうでもしなければ・・・・・今にも不安に押し潰れてしまいそうだから。

 

「・・・ダメだな、もっとしっかり気を持たないと・・・・」

 

 己に喝を入れる。

 こんな腑抜けた所を見られては、孫悟飯(恩師)に呆れられてしまう。

 

「よし」

 

 トランクスは小さく頬を両手で叩くと、音を立てないようにそっと部室から出ていき、軽く鍛練を始めた。

 

 しかし、『軽く』とは言っても、一度集中してしまえば時間なんて忘れてしまう。

 

 気が付けば、既に夜明けを迎えていたのだった。

 

 

 




むむ、3話使って漸く1日が終わりました。
もっと話を纏められるように頑張っていきたいです!

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