ハリー・ポッターと半人半霊の少女   作:桜林檎

2 / 2
魂魄妖夢と賢者の石
1話*魔法界って…


8月7日。

今日も爽やかな朝が来ました。

ひとあくびして、調理場へ向かう。

幽々子様の朝食を作らなくては…

 

***

 

調理場にはもう既に妖精や幽霊が何体かいた。

そういえば昨日雇うとか言ってたな…

そんなことを考えていたら、半霊がもう料理をしていた。目玉焼きを3つ完成させている。

私も早く取り掛からなくてはいけないな。

 

その日、私は幽々子様の好みの味を料理人全員に教えてあげた。

さらに半霊と合わせて40品作ることに成功した。

 

***

 

「おはよ~、妖夢。」

 

「おはようございます、幽々子様。朝食の用意が出来ています。歯磨きを済ませて来てください。」

 

「は~い」

 

数分後、幽々子様が歯磨きを済ませてきた。ニカッと笑う口から見える歯は真っ白だ。

 

「朝食の用意が出来ています。お食べになってください。」

 

「わお、今日は豪華ね!妖精と亡霊を雇ったおかげかしら?パクパク…でも私好みのむしゃむしゃ…味付けになっているってことは、バクバク…妖夢も作ってくれたって事かしら?ガツガツ…」

 

「そうですけど……幽々子様、口に食べ物を入れながら喋るのはお止めになってください。」

 

***

「おいしかったわ♪御馳走様♪」

 

幽々子様は空いたお皿を自分で片付ける。そういうところはありがたい主だ。

 

「幽々子様、私は皿洗いをするので…」

 

「いえ、もうすぐ紫がくるわ。行く準備を済ませなさい。」

 

「わかりました。」

 

自室に入り、準備をすることになった。

鞄を用意し、中にいろいろ詰め込んでいく。

財布、ハンカチ、ちり紙、ポーチ……等だ。

いや、持ち物が乙女過ぎるか?

 

一通りの準備が終わったところで、楼観剣を背中に、白楼剣を腰に装備した。

 

***

「幽々子~来たわよ~」

 

「紫が来たわ。上がって。」

 

紫さんがスキマから現れた。紫さんがスキマから出ると同時にそのスキマは消えた。

 

「妖夢、ホグワーツ入学だったかしら。おめでとう。」

 

「ありがとうございます。」

 

「まぁ、別にいつでも入れるんだけどね。半人半霊で成長遅いから。」

 

幽々子様はうふふ、と笑いながら言った。

 

「私、11歳じゃないですしね!」

 

「ダンブルドアに許可とったら、特別okしてもらえたものね。」

 

………………

それは初耳なんですが…

 

「そうなんですか?」

 

「あら、幽々子に聞いてなかったの?」

 

「うふふ…じゃあ、そろそろ行きなさい。…でもその前に、紫に術を掛けて貰いなさい。」

 

幽々子様、今絶対話をそらしましたよね…

…っていうか、術って何ですかね?

「何の術ですか?」

 

「外国の言葉が日本語に聞こえて、話す言葉も自然と外国語になる術よ。使用時のon/off切り替えも簡単。」

 

「物は試しよ!掛けて貰いなさい。」

 

幽々子様…強引過ぎます~…

 

「はい…」

 

「まずは、目を閉じて…」

 

私は紫さんに言われた通りに目を閉じた。

紫さんの手が私の額にふれた。

 

その直後、私の頭の中にスイッチ………いや、違う?選択肢?のようなものが現れた。

おかしい感じだが、本当にそう感じた。

 

すると、紫さんの手が額から離れた。

 

「…よかった。無事、成功よ。」

 

「失敗するわけないじゃない。いつも私を支えてくれる立派な従者よ?」

 

「とか言いながら…幽々子、あなた息がすっごく荒いわよ?」

 

「き、気のせいよ、うふふ♪」

 

 

無事?成功?失敗?どういうこと?

 

「あ、忘れてた。妖夢、目を開いて良いわよ。」

 

「は、はい………ところで、成功とか失敗とかって、何ですか?」

 

私が訪ねると、紫さんが口を開いた。

「えーと、今妖夢にかけた術なんだけど…」

 

 

……………………

 

「そんなに言いにくいものなんですか?」

 

「えぇ、だって……普通の人間にかけたら即死するくらい精神への負担が大きい術だもの…。」

 

 

 

 

 

「えええええぇぇぇぇぇぇ!?幽々子様なんでとめてくれなかったんですか!?」

 

「だってぇ…妖夢、半人半霊でしょう?だから大丈夫かなぁって…♪というか、私から紫にこの術をかけるよう頼んだのよねぇ…」

 

「もう…私が死んだらどうするつもりですか!!…いや、私半分死んでました。」

 

「まぁまぁ、結果大丈夫だったんだからいいじゃない…」

 

紫さんが私と幽々子様の間に入った。

そういえば、アリスさんとの約束の時間は大丈夫でしょうか?

 

「確かにそうですね…では、時間も押していることですし私はそろそろ…」

 

「行ってらっしゃい。夕食までには帰ってくるのよ~」

 

「スキマ、ご開通~♪」

 

「では、行って参ります。」

 

私はお辞儀をし、先の見えないスキマの中に入った。

 

「え?」

 

下から風が…いや、違う。

 

まさか、私……

 

 

落下中?

 

 

「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

半霊に乗っても落ちる。落ちる。

地球よりも強い重力がある場所へ落ちるかの様に下へ引き寄せられる。

 

紫さん…帰ったら覚悟しておいてくださいね…

 

 

***

 

急に目の前が明るくなると同時に、半霊が床に着いた。

 

「あら、少し遅かったわね。」

 

聞き覚えの無い声が聞こえる。

透き通っていて、綺麗な声だ。

この声の主がアリスさんだろうか。

声は、上から聞こえた。ということは…

 

見上げると、金髪ストレートボブ、そして青い目の綺麗な女性がいた。

青いワンピースを着ていて、それと同じ色のカチューシャを着けている。

まるで、外国人のような人だと思う。

無表情でこちらを見つめている。

 

「いかにも。私がアリスよ。綺麗な女性とは、お世辞でも嬉しいわね。外国人?まぁ、確かに日本の出身ではないけれど…。」

 

え?声に出てた?

 

「いいえ。出ていないわよ。」

 

じゃあ何で私の考えてることが分かるのか?

 

「魔法の一種よ。名を読心術と言う。似たもので、開心術というものもあるわ。…用途は全く違うのだけれど。」

 

心を読めるんですか?怖いですね…

 

「目を合わせないと使わないというのが欠点ねぇ。」

 

それを聞いて私は咄嗟にアリスさんから目を背けた。

 

「あら、賢いのね。」

 

「この位出来ないと、生きていけませんよ。…私、半分死んでますけど。」

 

「ふふっ。面白いことを言うのね。改めて自己紹介するわ。…私はアリス・マーガトロイド。『七色の人形遣い』と呼ばれているわ。あと、わざわざ敬語を使わなくても良いのよ?」

 

「そう。じゃあ、お構い無くタメ口でいくね。魂魄妖夢。白玉楼の庭士よ。」

 

「ありがとう。本題に移りましょう。そこの椅子に座って。」

 

「うん。」

 

「そうねぇ…今の魔法界の状況から話すわ。」

 

「う、うん。」

 

 魔法界を動かさなければならない私にとっては重要なところ。

 

「むかーしむかし、あるところ…ホグワーツ魔法魔術学校にとある青年がいた。

青年は、愛を全く知らずに育っていた。そして…闇の魔術の深い深いところに手を染めた。

ホグワーツを卒業した青年は、自らヴォルデモートと名乗り、死食い人と呼ばれる集団を率いて『マグル生まれ』や『半純潔』を殺していた。

ある日、ヴォルデモートは、『闇の帝王を滅ぼす者』の情報をある死食い人から受け取った。

これは流石に焦ったヴォルデモートさん。『闇の帝王を滅ぼす者』を殺しに行ったわ。」

 

うーん、なんでマグル生まれと半純潔だけを?

恨みでもあるのだろうか…

ん?私ってこの場合マグルになるのか?狙われるな…

 

「あ、ここから先は幽々子様から聞いたよ。」

 

「あら、そうなの。ピンクの悪魔も用意が早いのね。」

 

「ピンクの悪魔って…あの球体の大食いピンクじゃなからね。幽々子様は…」

 

「だいたい一緒じゃない。」

 

「そうなの?」

 

二人でクスクスクス…と笑った。

 

「今から向かう先はダイアゴン横丁。魔法の道具とかが売っている店が並んでいる横丁よ。」

 

「そんな横丁があるんだー…どこに?」

 

ダイアゴン横丁など、全く聞いたことがない。

 

「イギリスの魔法界よ。普通『漏れ鍋』っていう店から行くんだけど、今日はここから煙突飛行で行くわ。」

 

また聞いたことのない言葉だ。

ぐぬぬ、なんか悔しい……

 

「煙突飛行って?」

 

するとアリスさんは人形を起こし、上に置いてあった巾着を持ってこさせた。

 

「この巾着に入ってる粉、煙突飛行粉であの暖炉を煙突飛行ネットワークに繋いで、ダイアゴン横丁の暖炉に移動するの。」

 

その後に、「魔法省非公認だからそんな頻繁に使えないんだけどね」と言葉を付け足した。

魔法界って何でもありだなと思いながら、煙突飛行粉を触ってみた。

煙突飛行粉は太陽の光を受けた水のように、キラキラと光っている。

 

「っと、話が逸れたわね。あっちに着いたら買い物をするけれど、まずはお金を用意しなきゃいけないわ。妖夢、お金は持ってきた?」

 

「ア、うん。このお金じゃだめなの?」

 

「そうなの。魔法界には魔法界のお金があるわ。クヌート銅貨、シックル銀貨、ガリオン金貨があって、1シックルは29クヌート、1ガリオンは17シックル。魔法界って半端な数字が好きなのよね。」

 

うわぁ覚えにくい…

 

「ということは、1ガリオンは493クヌートってことか…」

 

「そう。すごい量そして覚えにくいわ。」

 

「そしてそれで通る魔法界って…」

 

変なところに行くのかぁ、とため息をつく。

 

「妖夢の持ってるお金を換金して、金庫に入れればお金は大丈夫ね。あとはあっちに着いてから説明するわ。」

 

アリスさんは立ち上がり、暖炉の方へ歩いて行く。私はアリスさんに着いていった。

 

アリスさんが手を振るうと、暖炉に火がついた。

只でさえ暑いのに、暖炉の周りはもっと暑くなった。

背中から汗が滲み出てくる。

 

「妖夢から先に行って。」

 

「う、うん…」

 

少し不安になる。

粉をひとつまみ、暖炉の中へ放り込んだ。

すると、赤く燃え上がっていた火は緑色へと変わった。

 

「目を瞑って『ダイアゴン横丁』とはっきり言うの。はっきりね。」

 

私は少し躊躇ったが、勇気を出して火の中に入った。

お化け以外に、怖いものなどあんまり無い!!

火の中は不思議と熱くなかった。

 

「ダイアゴン横丁ッ!!」

 

 

そう言った途端に、自分の体がぐるぐると回るのを感じた。




*紫さん*

スキマ妖怪。あくまでも少女。
よく調子にのる。
でも色々と憎めないヤツ。
幽々子と中が良い。

*アリスさん*

旧作のロリアリスとマーガトロイドさんの設定を混ぜています。
しっかり者。
金髪の美女の魔法(人形)使い。
私は人形の名前を全て知っている訳ではない。((

*ピンクの悪魔*

かわいいですよね。

*煙突飛行と煙突飛行粉*

フルーパウダーってなんか使えそう。
私はあんまり煙突飛行やりたくないなぁ。

*魔法界のお金*

全く…覚えにくいんだから…

*妖夢の背中から滲み出てくる汗*

おいソコ、ヘンなこと考えてるお前らだよ。おい。

遅れました…
次も遅れます。ハイ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。