~孤独の密室 後日談~   作:カロライナ

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~孤独の密室 後日談~ 3説※注意

「皆さん、面白い方々でしたわ。あの時は、そう・・・出口のない部屋に閉じ込められましたの。」

「目が覚めたらフカフカのソファーで寝てしまっていたようでして・・・。」

「村松さんは、一番 初めにわたくしに不思議な魔法を見せてくれましたわ。緑色の炎を本から噴き出す魔法を見せて・・・・代償に非常に老けてしまいましたけど・・・それでも部屋から脱出する為に全力を尽くしてくださいました。時には壁に書かれた奇妙な文字を読み上げてしまったせいで、グラトニーさんに撲殺されてしまったり・・・。」

「・・・グラトニーさんは、日本のSUMOU選手の様に太っていた方でした。しかし見かけによらず、かなりの頭脳明晰で謎解きのギミックを解読して行ったり・・・時には、わたくしを含む他の被害者の為に『TYANKO鍋』とやらを作って振る舞ってくださいましたのよ。あの『TYANKO鍋』は、心が休まるほど、とても美味しかったですわ・・・。」

「ツェペリさんは・・・・・・・大雑把な方なのか、ガラス戸などを・・・拳銃や机で破壊しようとするパワフルな方でしたわね。・・・非常に寡黙な方で・・・したけど、鍵が見つからない部屋で・・・・物理でこじ開けようとする そのお姿は・・・鬼神にも・・・・勝る勢いでしたわ・・・っ。」

「チンロックさん・・・・はっ、・・猫 顔負けの・・・好奇心と・・・我先にと・・・・危険地帯へ飛び込んでくださる・・・・勇敢な人ですの・・・・っ。ジョークのセンスも・・・・素晴らしい お方でしたわ。っ・・・。グラトニーさんがっ、作って下さった・・・『TYANKO鍋』を・・・食べながらっ『口が幸せ、しかし体から幸せが流れ出てしまう。』なんてっ・・・ゾンビみたいな・・・・っ体で・・・・おっしゃ・・・・るんです・・・・の・・・・。触手プレイ・・・・になっても・・・一番・・・・・状況を楽しんで・・・らしてっ・・・とても・・・とてもっ・・・素敵な方・・・でしたの・・・・っ。でもっ。でもっ・・・!! あの方はっ・・・あの方々はっ!!!」

「・・・・・・・・。」

 

 ハードラックは話し始めの頃こそ、満面の笑みを創り彼女へ向けて、ぽつりぽつりとではあるが自分が体験したことを彼女へ向けて、名の通りハードラックな事件について語り始める。しかし、終盤にもなるとその声は震え、顔は俯き聖書の上に ボロボロと雫が零れ落ちる。

 

「だから・・・・だからっ・・・。」

「・・・・。」

「だから・・・・っ。例え、鋭角から、クソッタレな腐った犬が現れようともっ。彼等が、これからっ、楽しみにしている旅行を邪魔されてっ、わたくしの事を憎んだって構わない・・・っ。・・・1920年代から来たという、わたくしにっ、最後の希望を授けてくれた友を裏切りたくないんですの・・・。ですから、わたくしは、誰に、なんと言われようとも、イス人の時空転送装置で彼等を助ける義務があるんですのっ!」

 

 再び両目に涙を溜め、両手や聖書をグシャグシャに濡らしたハードラックは彼女を見据える。

 その姿を見た彼女は、泣きじゃくるハードラックを抱き締めた。

 

「オーケー。オーケー。曾おばあちゃん。もう誰も止めない。分かったから、泣き止んで。大人が泣くなんて みっともないよ。」

「うぇぇ・・・っ・・・ひっぐ・・・・ぐすっ・・・・・。」

 

ハードラックが泣き続けたのは、彼女の両親が帰宅する10分前までだった。

 

 

 

 




【後書き】
本当に愉快で。
時には一緒にシリアスをして。
ほのぼのして。
戦々恐々としながら、探索をして。
意見交換をし合って。
脱出の糸口を見つけたと思えば、あんな残酷な未来が待っていて。
その中でも設定を生かして、どんでん返しの希望を作って。
皆の期待と希望を胸に抱えて。
希望を掴んで戻った矢先に 絶望を突き付けられて。
セッションクリア後の雑談はお通夜状態に陥って。

どうあがいても幸せはやってこない。
だからこそ、ここで“あいつ等”が想定していなかった機械で未来を変えるのだ。
例え、命が燃え尽きようが、ゾンビのような人間になろうが関係ない。

1人分の命で4人が救えるのならば、
それが早死に一族1920s 探索者 ファンブレラ家 ハードラックの本望だ。

※注意
“あいつ等”とはKP様でも、シナリオ製作者様でも御座いません。
ここの“あいつ等”は最後の彼等です。(既プレイ者には分かる筈)




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