~孤独の密室 後日談~ 作:カロライナ
俺の探索者は、こんなことしない! と思われましたら申し訳ございません。
それは私の実力不足で御座います。
今回のようなバスジャックシナリオがあったとして、
もしも探索者が何も知らなければどんな反応を指し示すだろうか?ということを
考えながら書きました。
私は皆さんのキャラについて完璧に理解している訳ではない為、特にセリフなどは用意しておりません。それこそ、自分のキャラが異なる口調、異なる性格でRPをしましたら萎えると思いましたので今回の物語のような処理を致しました。
ビデオカメラが無事に自分の顔を写しだし、話した内容と同じことを話し始めた途端、ハードラックは満足したかのように笑い、操作を教えてくれた乗客に向けて後日談中これまでにないくらいの感謝の気持ちと自分が*板の中に居る*ことに対して驚きを示した。一方、乗客はハードラックに振り回されながら、ビデオカメラを知らない彼女に対して複雑な表情を向ける。
ハードラックは一通り喜んだ後、運転席の真後ろ一番前の座敷に腰を掛ける。そして、ビデオカメラを運転帽をかぶっていない方の運転手に渡すと、乗客にカーテンを全て閉めるように伝え 指示通り動いたのを確認してから、そのまま外に出て行くように促した。
「・・・
乗客が出ようとする際、4人の顔をそれぞれ見据え下車しない様にと指示を送る。4人も他の乗客同様に立ち上がり、バスジャック犯から解放されると安堵の表情を浮かべていた村松とチンロックだが、ハードラックの居残り発言を聞いたとたん、表情に戦慄が走る。
・・・・・・・。
バスジャックされた車内にはハードラック。そして、乗客4人が取り残された。
スモークグレネードを所持していたアメリカ人っぽい、ツェペリ。
イギリス人のような風格を持つ男、チンロック。
身体のサイズは小さいが筋肉質な日本人、村松。
そしてスキンヘッドに非常に肥った褐色肌の男性、グラトニーの4人だ。
あれほど眩しかった外は、今はカーテンで遮られ眩い光源は隙間からしか通していない。
ハードラック4人に他の乗客・乗務員に見せていた表情よりも、更に申し訳なさそうな顔をしながら、撃つことのできない擬似ショットガンを構え4人の後部座席方面に歩いて行った。
4人の視線はハードラックに集まる。
その視線は、決して好意的な物ではない。警戒。軽蔑。怯え。殺意。全ての負の感情が凝縮され見つめられるような感覚。NPCではない。PC、探索者としての確固たる意志の強さを秘める力強いものだ。
時刻は23:50を回っている。
夜行バスの中に設置されたデジタル時計が刻々と時間を刻んでいた。
乗客である4人が何か口を開くのよりも先に、ハードラックは手に持っていた鉈をしまい、ブラックジャックを解体、ニーソックスを履き直し、擬似ショットガンを座席に置いた。
「・・・・・・。」
そして名状しがたい視線を向ける4人に対して、もう一度申し訳なさそうな顔した後に 傍から見れば開き直ったかのような・・・何処か悲しげな微笑の表情を浮かべる。本来であれば、また会えた4人に対し全力で胸の中に飛び込みたい。そんな気持ちでいっぱいの筈だ。
しかしそれは出来ない。今、ハードラックの目の前に居るのは『孤独の密室で仲良くなった4人』ではない。『バスジャック犯と乗客』として敵対している関係だ。左手で右手を押さえ、感情を押し殺しながら小刻みに震える。
そして、完全に敵意が無いことを4人に伝えるため、ハードラックは持っていた鉈と、疑似ショットガン、六法全書、スモークグレネードを通路に滑らせ、4人が拾おうと思えば拾えそうな位置に投げた。
4人とも、それぞれの持ち物を拾う。疑似ショットガンを拾った過去の仲間は、それが偽物であることを悟ると驚いた様子でハードラックを見つめる。
「
「
彼女は4人に対して、祈るかのように両手を組み、跪き、
“約束を果たすことが出来た”と涙ぐみながら、4人に懺悔するハードラックに対してグラトニーは、どんなを約束したのか。どうしてこんな事をしたのか。と尋ねる。
ハードラックは、自分が妄想癖が過ぎたイカレ
自分は未来から来たこと。
過去にはイス人の時空転送装置を使いやって来たこと。
しかし、生まれは1920sアメリカの過去の人間であること。
一度 死を経験し、『とある過程』を経て現世に生き返って来たこと。
その『とある過程』を経ている最中に、未来の貴方達4人と出会って仲良くなったこと。
結果的に生き返ることが出来たのがハードラックだけであったこと。
未来の貴方達4人に、『クソッタレな未来をぶち壊して、絶望の未来から過去のあなた達を必ず助け出す』と約束を交わしたこと。
4人に対して、すべてを話した。
4人は淡々とハードラックの話を聞く。
ハードラックの中で今まで抑えてきた感情が溢れ出し、クラックスに対し4人について話した時と同様、涙がとめどなく溢れ 祈るように組んでいる指に、バスの床に、雫の塊がボタボタと落ちて行く。4人に表情は見えなかったが、潤むようなその声から 表情について察することが出来た。
最後にハードラックはこう続ける。本来起こるべきであろう死亡時刻は過ぎ去った。と。安易かも知れないが「未来を変えて、約束が果たせた」と。泣きじゃくりながらそれを必死に伝える。
本人が気付かぬ内にその訴えは、途中から英語での訴えになってしまっていたが、英語がよくわからない村松、チンロック、ツェペリの為に、グラトニーがそれを翻訳して伝えていた。
心理学
チンロック??→??【??】
【後書き】
前作の主人公の1人である家守について話していたら
孤独の密室 後日談も終わりに近づきつつありましたね。
時間をズラしただけでは事故死の運命は変えられないと仰る方も居ますが
私はそうは思いません。事故死はその一瞬一瞬が重なり合うことによって引き起こっていると考えているためです。
時間がズレることによって、そこで起きるはずの問題は過ぎ去る可能性があります。
勿論、過ぎ去らない。向こう側もこちら側に合せてくると言う可能性が残っていますが、そのような不運な奇跡が発生しないためにもバス自体を使えなくし、乗客を人質に取り、バラバラに散開させることで、未来を変えると言う暴挙にハードラックは打って出た訳です。
死のリスクを回避させるには詰めが甘いですが、あとの判断はその時のKPにかかっていると思います。
私が『孤独の密室』をPLとして参加させて頂いた時のKPさんは、過去に戻り未来を変えることに対してOKの許可を出してくださいました。
これで、KPさんが『それでも運命は強制的に死へ導くのである』と言えば、この世界線は存在していなかったことでしょう。
だからこそ、今回の物語は生まれたのです。
許可してくださったKPさんには感謝しか御座いません。