~孤独の密室 後日談~ 作:カロライナ
23:30を回った頃、ついに警察官もSAT(対テロ特殊部隊)を引き連れ現場に到着。
最初の通報から既に60分は経過していたが、ハードラックはやっと来たかと言った様子で窓の外の警官部隊を眺める。非常に練度の高そうな機動隊の面々が盾を構え、こちらを見据えているのが分かり、何処かホッとした表情で胸を撫で下ろした。そして、包囲をしていると言わんばかりにスポットライトで中央に存在するバスが照らされる。
「こちらは機動部隊SATの交渉人の家守だ。中に立て籠っているバスジャック犯に告ぐ。悪いことは言わない。大人しく武器を捨て投降しろ。今であればやり直しがきく段階だ。これ以上の罪を重ねるのは止めるんだ!」
拡張機が使われ、ハードラックに呼びかけが行われる。警察車両のヘッドライトや、その他の照明器具だけが 周囲を照らし、その周辺だけが昼間のような人工的な明るさで照らされていた。
その呼びかけの大きさからウトウトしていた人達は目覚める。あの毛布に包まれていた少女も身体を起こし、目を擦る。
「
目を擦り、怯える母親をそっちのけで、外の様子を伺う少女に向けてハードラックは近づき 悪意のない表情を作りながらとある提案を持ちかける。
しばらくして、夜行バスの入り口の自動ドアが開かれる。
警察隊やSATは突然開かれた扉に向けて銃口を構え、何が起きても対応できるように構えた。中から、ハードラックが話しかけた少女とその母親が、ゆっくりと出てくる。母親の方は、バスジャックの現場に居合わせたということから非常に青白い顔をし、なんとか娘だけでも助けなければならないという意思のみで立っているのか、千鳥足になりながらも必死に警察官の方へと歩いてくる。
彼女たちが中ほどまで歩くと、警察官は彼女達を瞬時に保護する。
ハードラックはその様子をバスの中から観察し、少女が警察官に向けて何かを伝えているのが遠目から見ても理解することができていた。少女の訴えを聞いた警察官は、他の警察官に少女とその母親を任せると一目散に交渉人と名乗った家守という男の元まで走って、何かを話しかけ始める。家守は何度か頷いたのちに、再びバスの方に向き直り拡張機で語りかけ始めた。
「確かに君の要求を了解した。今、無線機を持たせた警察官を一人そちらに向かわせる。無線機を受け取ったら、彼女が言っていた通り人質を解放して欲しい!」
ハードラックはその言葉を聞くと、扉から人質をもう1人出すと〇と言ったハンドサインを提示させ、そのまま逃がした。
5分後、交渉用の無線機がバス内に届けられ、ハードラックは それを覚束ない手付きで手に取る。無線機の向こう側からは、拡張期で聞こえたあの男や警官たちの声がする。確認が終わるとまた一人、人質を逃がす。
「Ah-・・・もしもし? 聞こえマスか?」
そしてハードラックは無線機に付属していた説明書を読みながら、試行錯誤しながら無線機に話しかける。
【後書き】
ここに出てくる家守は
『第4クトゥルフ神話【名前に癖のある探索者達の観光バス】』に登場した
あの
なんのこっちゃ?という読者の方は、カロライナページから
『第4クトゥルフ神話【名前に癖のある探索者達の観光バス】』をチェック!!(ステマ)
彼は、今こそ陸上自衛隊・特殊警備部隊SHIELD隊員ですが、
SHIELDに就職する前は機動隊のSATに入隊している設定があったような気がします。
無かった場合、今そんな設定がついたことにします。
意図して居ないところで活用できそうな設定が登場したため
時間軸として、この後日談は『第四クトゥルフ神話』よりも前。
SATの交渉人として働いていた時代設定を付け登場させることになりました。
小説は、こんな過去のMy 探索者利用ができるので好きです。