~孤独の密室 後日談~   作:カロライナ

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第5章 ~日本編【未来変革】~
~孤独の密室 後日談~ 14説


 運転手2人は大人しく手を挙げると、そのままバスの中に入る。

 明らかに不審な様子に対し、乗客はざわめきを増していく。ハードラックは車出に入口の扉を閉め、エンジンキーを抜き、渡す様に指示を入れる。車出は首筋に鉈を押し当てられている為、おっかなびっくり状態で指示通りに動く。鉈とは反対の手に持った懐中電灯を仕舞い、背中から疑似ソードオフショットガンを引き抜く。そして車出の背中をショットガンで背中を押し、奥に行くように指示を出す。

 

Mr, Kurumade?(車出さん?)Driving lack of sleep is the cause of a traffic accident.(睡眠不足の運転は交通事故の原因です。) Please come and(仮眠室でゆっくり) heal the fatigue slowly in the back room?(疲れを癒しては如何かしら?)

「車出さん。何故か分からないですが、心配されているようです。奥で休んできてくださいと。」

「もう永遠に目覚めたくないね。あぁ・・・これが夢なら冷めてくれ。」

 

 車出はショットガンで背中を押された後、もう一人の男性に肩を抱かれるようにしながら、耳打ちで日本語訳したものを聞かされる。車出は顔面を両手で覆うようにしながら、奥の仮眠室へと消えて行った。

 

Excuse me!(ちょっと いいかしら!) A,Ah-(え-っと)・・ちょっとダケ話を聞いて頂けルかしら?」

 

 取り残された38名の乗客は変わらずザワザワと騒ぐが、それよりも大きな声でハードラックは日本語をアメリカ訛のカタコトで話し始める。最初ほどのざわめきは抑えられるものの、それでも少しの話し声がバス内には残っていた。しかし、ハードラックは自分の声が通った様子を確認すると完全に静寂が訪れるよりも先に、日本語で乗客へ向けて語りかけ始める。

 

「セッカクの夜行Busに乗ってノ旅行を、こんな形でフカイなモノにして仕舞ってゴメンナサイ。I’m(わたくしの名前は) Hard(ハード) luck(ラック)=Fanbrler.(=ファンブレラと申します。) 安心して下サイませ。アナタ方、お客サンや運転手サンに必要イジョウに、わたくしカラ、Ah・・・アタエル?クアエル? つもりはありマセンわ。So...Ah...(つまり・・・・・)少しの間ダケ、bus jack(バスジャック)させて下サイ。」

 

目星

ハードラック80→36【成功】

 

 あまりにも丁寧かつ粛々と、顔を一切隠すこともせず、むしろ目立つドレス姿でバスジャック宣言に33人の乗客と代理運転手の男は、彼女の意図が理解しきれず、再びざわめき始める。

 その中でも静かな人間も4人程。確かに存在していた。

 1人は非常に肥った男性。下半身が短小で、非常にずんぐりむっくりとした体形をしている。頭部はスキンヘッド上になっており、肌の色は褐色肌で日に焼けているように見えた。非常に薄着でシャツから見える臍の中身の色すらも褐色といった様子から、地肌が褐色の外国人である事が分かる。また、とても筋肉質なのが腕の骨格の様子から感じ取ることができ、彼一人で2つ分の座席を占領しているようだ。そして彼にチャームポイントを上げるとすればクリクリとして、ぱっちりと見開かれた瞳であろうか。

 次の1人は、短髪の黒髪に鼻下と顎に髭を生やした黄色人種の男性。彼は最初に紹介した男に比べて非常に小柄な体格をしていたが、それを補うかのような筋力を持ち合わせているようであった。顔つきも決して悪いものではなく、中年の顔つきをしているが凛々しさが引き出され、彼が最も周囲の状況を判断し、どのように動くか考えているような視線の移り方をしている。

 もう1人は、イギリス人のような容貌をした男性。シャーロックホームズのファンでもあるのか、シャーロックホームズが着用していたような鹿撃ち帽を被り、インバネスコートを羽織っていた。左足を右足に乗せるように交差させながら、タバコを口に咥え、火をつけるか、そのまま咥えておくか迷った様子で考えながら、鹿撃ち帽で額まで隠し、バスの上空を眺めて居るようだ。首からは一眼レフカメラが掛けられ、胸ポケットの中には虫眼鏡 上に形が浮かび挙がっていることが分かる。

 最後の1人は、ハードラック同じ様なアメリカ人らしい外見をした男性。彼は、周囲がざわついている間も一言も話すことなく、窓ガラスの外の景色を眺めている。傍らにはポケットからは絆創膏などの端が見え隠れしているのが分かる。特に外見が他の人に比べて特に美形であったり、身体のサイズが大きいという訳でもなく、ハードラックを含めた5人の中で最も筋力もあるという方ではない。至って普通の人と言った印象を与えていた。しかし、ポケットの中に左手を突っ込んだまま、それを出そうとはしない。

 

 




【後書き】
確実に『第一クトゥルフ神話』の話よりも長くなりそうです。
誰がここまでしろと言った。

4人の特徴については、立ち絵の画像や提出されたキャラシートの文から
想像を膨らませ書いたものです。

彼らの描写だけで1本として投稿できそうでしたが
流石にそれだけでは話が伸びるだけなので一つに纏めました!


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