~孤独の密室 後日談~ 作:カロライナ
外は満点の星空だった。目の前にはガードレールがあり、その奥、下方からは岩肌に波が打ちつける さざ波の音が聞こえる。周囲に蛍光灯のような明かりらしい明かりは設置されておらず、ハードラックが懐中電灯で照らさなければ、そこには何も見えない漆黒の暗闇が広がっていることだろう。
この何も見えない暗闇は、夢を思い出させハードラックの心を抉る。しかし、振り払うように首を横に振ると、暗闇を睨み付け 漂ってくる磯の香りを肺一杯に吸い込んだ。
バスの乗車扉が開かれ、1人の男性が非常にやつれた表情で降りてくる。
車掌帽を被りながら左手で顔面を押さえる『車出 運』の姿だった。
どうやら、扉から聞こえてくる様子からして、もう一人の男が運転席に座り他の乗客を宥めている様子だ。フットブレーキをかけ忘れ、一人でに夜行バスが動き出してしまうという悲劇は起きないことだろう。寝起きの運転手が誤ってアクセルを踏み込まない限りではあるが。
「あれ? 搬入口が開かれて・・・って・・・・ア、アンタは・・・!!」
「
非常に流暢な英語で話しかけながら、度肝を抜かれている運転手に向けて、笑顔でハードラックは歩み寄る。一歩一歩確実に。これから起こりうる最悪でクソッタレな絶望の未来を止める為に。
「こ、困るよ。こんな勝手なことをされちゃ! アンタがやっていることは犯罪だよ!? 犯罪! わかってる!? あぁ・・・報告書が増える・・・。」
「何か分かったのか・・・うわ・・・・マジかよ。トランクに外国人が勝手に乗りこんでいたって奴・・・? しかもこの時期にそんなドレスって・・・。」
男は、疲労が見え隠れするような悲鳴に近い声で、ハードラックが行った行為に対し咎めながら、両手で顔面を覆う。
ハードラックは更に距離を詰め、男に鉈を突きつける射程範囲内一歩と言うところまで詰め寄る。そして鉈に手を掛けようとした時、運転手の悲鳴が気になったのかもう一人の男が現れる。男は寝起きなのか、目を擦りながらワイシャツに黒の長ズボンと言った服装でひょっこりとこちらに半身を見せた。
「
他の言語(英語)
運転手??→19【??】
男 ??→9【??】
「アンタ、日本語喋れるだろ・・・? 英語で話しかけられてもなんて言っているか、わかんねぇよ・・・・・・。」
「フットブレーキを掛けたか? ・・・か? あぁ、もちろんだ。パーキングにも入れている。」
「
カタコトの日本語ではしまらない為、英語で話しかけるハードラックに対し、車出は嘆き、男の方は英語を理解したかの様に返事を返す。その言語は日本語で返されることとなったが、それだけでもハードラックにとっては十分すぎる返答であり、友好的な笑顔が更に愉快な笑顔へと切り替わる。
コンコン
「・・・。」
「・・・。」:)
そんな中、ハードラックの頭上の窓が叩かれる。そこには幼い少女がハードラックに対して手を振っているのだった。ハードラックは彼女にも優しい笑顔を向け、手を振りかえす。と、同時に これから行う非道を行う決意を更に固める。
そしてヒソヒソと話している彼等に向け、更に一歩踏み出る。何やら、彼等はハードラックの処遇について、今ここで警察を呼んで引き取って貰うか、このままバスに乗せて現地に到着したら警察を呼ぶか話し合っているようだが、ハードラックにとってはどちらでも良かった。鉈を引き抜き、車出の首筋に押し当てる。2人とも何が起こっているか理解が追い付いていないような表情をしている。
「
「な、何を・・・。」
「
ドスの利いた声で、ハードラックは鉈を更に押し当て、鉈は首筋に刃が更にくい込んでいく。
【後書き】
最初の骨組みプロットを見る限りでは、
ハードラックがイス人が開発しファンブレラ家が鹵獲した
時空転送装置に乗り込むところで終了する流れだったのですが・・・。
いつの間にかに、とても長話になっていますね。
今回ハードラックには英語だけで第4章を締めくくって欲しかったのですが、うまくいきませんでしたね。運転手である車出に対する優しさってものでしょうか。
彼に分からないことが無いように日本語をカタコトで話させました。
もう一人の男を人質に取れば良かったのですが、バスと3人の人物関係図的に
人質に取れない場所に男が立っていたと脳内完結をしていただけると私としても
とても、ありがたいです。
ps: 途中に出てきた『:)』とは海外における顔文字の笑顔のようなものです。
首を左に倒すと分かるとその意味が分かると思います。
顔文字は小説に入れるべきではございませんが、少女、ハードラック共に
無言でしたので、区別する為に あのような処置を施しました。
また新章に入るので、時間変更したいと思います。
時刻は今までの『第1,2クトゥルフ神話』と同じ時刻(22時頃)を予定しております。
よろしくお願いいたします。