~孤独の密室 後日談~   作:カロライナ

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第3章 ~悪夢~
~孤独の密室 後日談~ 9説


 その夜。ハードラックは夢を見る。

 

 ハードラックはあの忌まわしき思い出の詰まった部屋で仲良くなり、全員脱出し生還した世界でグラトニー、村松、ツェペリ、チンロックと一緒にバスの最後部座席に乗って、日本の天然『ONSEN(温 泉)』とやらに遊びに出かけるのだ。グラトニー曰く、そこで出される『TYANKO鍋』はグラトニー1人でも食べきれないほどの巨大な『TYANKO鍋』が出て来るらしい。そこであの部屋で仲良くなった4人を募って みんなであの時と同じように鍋を囲もうと。

 チンロックは迷推理を披露し、ツェペリが酒に酔った勢いで旅館にスモークグレネードを投げ込んで「ボヤ騒ぎになるか、机であの時と同じようにガラス戸を粉砕するんじゃないの?」とからかう姿が窺える。

 ツェペリも、そんなからかわれ方をしチンロックに対して拳で小突くように殴りつける。それを痛がるチンロックだったが、心配した村松が応急手当をしようとしたところで、痛がっていた振りをしていたことを告白。周囲が笑い声に包まれる。

 ハードラック自身は、その村松とチンロックとツェペリの掛け合いを見ながらケラケラと笑いながら1920年代から持ち込んだのであろう射影機を取り出して、その光景を撮影する。

 そして、射影機なんて代物を見慣れていない、現代の4人が射影機について尋ねてくる。使い方を教えて、村松が用意していた自取り棒を改造し、5人そろって撮影。

 夢にまで見ていた幸福が目の前にあった。

 

アイディア

ハードラック65→48【成功】

 

 しかし、ここで何か忘れていることをハードラックは思い返したのか、一旦笑うのを止め、神妙そうな顔で考え込む。グラトニーがハードラックに悩み事ごとでもあるのかと問う。

 他の3人は自取り棒に射影機を括り付け呑気に記念写真を撮っている。

 

目星

ハードラック80→73【成功】

 

 折角の旅行気分を台無しにしてはいけないと。嫌な予感を頭の隅に追いやり、何でもない事をグラトニーに伝える。そして、いつまでも射影機で自取り画像ばかり取っている3人に向けて射影機を返す様に催促しようとした時だ。三人の奥。奥の暗闇ばかりが写る窓が気になった。そこには無くてはならないものが写ってなかった。

 暗闇に反転して移る姿。それはハードラック1人だけの姿。他4人の姿は映っていない。

 すぐさま反射していない4人に視線を移す。そこに4人は居ない。足元には射影機が転がっている。嫌な予感は更に加速していく。そして何故かは分からないが、運転手を止めなければいけない、そんな予感がした。

 そして運転席に辿り着いた時、そこに運転手は居ない。しかしバスはひとりでに走行している。次の瞬間。フロントガラスにあるものが映った。それは、大量の青白い 苦渋に満ちた顔・・・まるで窒息しながら、助けを求めるかのような腕。深淵を覗いているとしか思えない暗黒だった。その見知らぬ顔が殆どであったが、中にはあの4人の・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「イヤアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!」

 

 自分の叫び声でラブホテルのベッドから飛び起きる。時刻は午前2時を指していた。

 

「はぁっ・・・! はぁっ・・・・! はぁっ・・・・・っ!!」

 

 息は最高潮まで上がり切り、過呼吸のような状況に陥る。

 あれは夢である。

 そう。悪い夢。

 ただの悪い夢。

 悪い夢であると分かっているのに現実味を帯びていて、どうも気分が悪かった。まるで胃袋の中で邪悪な蛇が這いずりまわって居るような気色悪く、不気味な感覚。

 

「・・・・・うっぷ・・・。」

 

 這う這うの体になりながら、ベッドから降り手洗いに向かう。

 そしてトイレに到達した瞬間。喉元の決壊が始まり、胃に入っている物が全て逆流する。

 

「ゴフッ! ・・・・はぁっ・・・!! ・・・はぁっ・・・・!! はぁっ・・・・・っ!!」

 

 左手で右手を握り、震えを止めようとするが止まらない。寒さによる震えであれば、立ち上がり熱い風呂に入れば止まると考え立ち上がろうとしても、腰が抜けてしまって立ち上がれない。

 

Fuck off(失せろ)...Evil fellows... Mother fucker... .(腐れ・・・邪信徒共が・・・。) ...Are you showing hallucinations(あの時の魔術の様に) like the magic of that time(幻覚を見せられているとでもいうのかしら)?」

You can not have your own way fuck(テメェ等の思い通りになってたまるかですの).... . No matter how you interfere(どんな邪魔をして来ようが),I will not yield fuck(わたくしは屈しませんことよ).... . I want to stop me(わたくしを止めたければ), Thompson sub machine guns as well(トンプソンサブマシンガンでも) bring up(持ってきやがれですわ)... .」

 

 口の中が酸っぱさによって、気持ち悪い気分を保ったまま、立ち上がることが出来るようになるまでハードラックは便器に寄り掛かる。その瞳は明らかに澱んでおり、正気を感じられるものではなかったが、瞳の奥で燃え盛る決意の色は変わることは無かった。

 

 

 




【後書き】
うーん、小説を書くときに冒頭に
その人物や背景を書くと『クソつまらなくなる』って
教師に指摘されてから書かない様にしていましたが、
いきなり「ハードラックは夢を見る。」で入っちゃってますね・・・。
修正するにも、昨晩 布団に入ったって出してしまったんですよね。

丑の刻を連想させて、深夜2時に投稿したいってノルマがあったから
って言うのは言い訳ですよねぇ・・・。

あー、今 思えばいきなり話が飛んだ!? と驚かせてからの・・・?!
って展開もありだったかなーと思い出しました。


次はまた章が変わるので、通勤ぐらいに覗ける
朝8時ぐらいから投稿しようと思っています



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