「さて、まずは南に聞きたい事がある。」
「いいよ、何?」
「学校は、どこにあるんだ?」
「そして、何歳だ?」
「学校は、広夢と同じだけど、アンタ女子に年齢聞くのってどうなの?」
「は?いやいやいや、待て!学校が俺と同じ!?どう言うことだ?」
色々急過ぎて分からなくなっている。俺と同じ学校ということは、同い年ってことだな。
は?ワケわからん、頭が痛い。
「どうしったって、こうしたって、同じ学校なんだもの。しょうがないよ。」
「ま、まずうちに女子高生の制服はないぞ!」
「知ってるよ、そんなこと。あったら気持ち悪いし。」
「じゃあ、何着ていくんだよ!」
「まぁまぁ、落ち着けって、ね?」
「落ち着けるかっ!」
朝から疲れた、何なんだコイツ。謎過ぎる。
「まぁ、何とかなるっしょ。」
「なる訳ないだろ!」
「まぁ、広夢の中学生の時の制服とか、あるでしょ?」
「あるけど、男の制服だぞ?」
「大丈夫、貸してくれる?」
「わかったよ。ちょっと待ってて。」
タンスの下にある、白い箱を取り出した。
「確か、この中だったような?」
「!あったぞ、南」
「どれどれ、ふ~ん。まぁ、いいか。」
そう言うと南は目の前で着替え始めた。
「ちょっと!南さん!?俺、男の子だよ!」
「ん?あっ!」
上半身下着姿でやっときずいた。
「こっち、みないで」
また、泣きそうな声で叫んだ。
「す、すいませんでした!」
5分後、扉が開くと、そこにはYシャツ姿の南がいた。
「ど、どう?」
「どうって聞かれても、あと寒くないの?」
「結構、寒い。」
「だろ、じゃあ、これ着てろ。」
俺が、高1の頃着てた薄茶のコートを南に着せた。
「暖かい。ありがと広夢。」
南が温かい笑顔をくれた。さて、面倒なのはこの後だ。そう、「始業式」だ。
高校生活2年目の初めに、新しい転校生が来たとしたら、クラス中えらいことになる。
ましては、南と一緒に学校に行く所を友達に見られたら、精神的にアウト+帰りも見られたらってあれ、南ってどこに 住んでいるの?
「なぁ、南。お前、どこに住んでいるの?」
「どこって、ここだよ。」
「ここだよ。」という言葉が頭の中で反響している。
「な、何を言っているんだ?」
ビックリ衝動が強すぎて、理解出来ず、声が震えている。
「ここは、俺の家だからな!俺、男だからな!あと、自分の家くらいあるだろ、普通。」
何とか、精神を落ち着かせて聞いてみた。
「ううん、無いよ。私の家は。」
「で、でも実家とかは?」
「無いって、身内もいない。帰る場所が無いんだ。」
少し、暗い表情で話している南。そして、話が急過ぎて頭が混乱している、俺。
「だから、ここに住ませてくれない?お願い、広夢。」
困った表情で南はこっちにお願いをする。
「···はぁ~、全く困った奴をほっとけないのも罪か?まぁ、いいよ。」
「ほんと?」
「ああ、本当だ。」
南が、嬉しそうにしているから、少しおちょっくってやろう。
「だが、俺は男だ。いつ南を襲うか分からないぞ?」
「ふ~ん、別にいいよ。その勇気があるならね。」
「なっ、南!一応、女なんだからそう言う事を堂々と言うな!」
少し、恥ずかしいんだこのセリフ。予想外の反応に少し、ドキッとしてしまった。
はぁ、厄介なのがやってきたな。