生き残り大尉の使い魔   作:シータが座ったァァア!!

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Act3 ——目覚めとウインドウ

 

 

 青年が次に目を覚ましたのは、またしてもあのベット部屋だった。先ほどと違う点と言えば、窓辺から月明かりが注いでいる事と、中年男性の他にピンク色の少女がいる事だろう。

 ひとまず、先ほど中年男性に声を掛ける。

 

 

「……! 目が覚めたのですね、ミスタッ!!」

 

 

 言っておくが青年の名前はミスタではない。となるとミスタとは青年の、または男性に対する仮称なのかも知れない。

 心底嬉しそうな表情をしている中年男性に、とりあえずは大丈夫だと伝える。

 

 

「そうですか、それは良かった……!!」

 

「……」

 

 

 だんまりを貫くピンク色の表情が優れないが、今は無視しておく。

 それよりも、と言って青年は話題を切り出した。自身が使い魔として呼び出された魔法は『コントラクト・サーヴァント』で合っているか、と。

 すると中年男性は驚いたような表情で返す。

 

 

「なんと、そこまで分かっているのですか。平民でありながらそこまでの知識を……って、え?」

 

 

 そこまで至って中年男性は考えを改める。

 自身は今までこのピンク色の少女——ルイズが使い魔として召喚したこの青年は、あくまで平民だと思っていた。

 しかし、呪文の種類までもを当てられるとなると、話は別だ。この青年は何処かのメイジである可能性がある。下手に出るのはマズい。

 

 

「あんた、なに者? 今朝まで意味不明な言葉だったのに今はちゃんと喋べれてるし」

 

 

 しかし、そんなコルベールの危惧は目の前の少女、ルイズには分からなかった。あくまで青年は平民だと思っていたからだ。

 しかし、青年はルイズの言葉には答えない。彼は彼で、目の前の事柄に夢中だったから。具体的には、自身の目の前に展開するウインドウに。

 

 

 ——これは……なんだ?

 

 

 目の前に表示される画面に青年は、深い違和感を感じた。画面に表示されるは何かの訓練施設や機械工場が立ち並ぶ街並み。そしてこの街並みに青年は懐かしみを覚えていた。何しろ目の前のこれは、自分が今までいた基地の、航空写真と一致していたから。

 懐かしみに負けてそのウインドウへと手を出した。

 

 

「!? な、何するのよッ!」

 

 

 手を伸ばした方向、画面の後ろ側にて例のピンク少女が騒いでいるが、青年には関係ない。構わず手を伸ばした。

 すると……半透明のそのウインドウに、青年に手が触れた。これは、青年が触れることが出来るのだ。

 それと同時に知識が浮かび上がる。これは、どのように使うのか。

 早速実行しようと手を動かすが。

 

 

「……!!」

 

 

 何故かピンク少女に指先を噛まれた。これには流石の青年も悶える。指が、指がぁ! と何処かの大佐と同じような行動は流石に、取らなかった。

 痛みを我慢しながら少女を深く艶い真黄の瞳で見つめる。いわゆるジト目という奴だ。

 

 

「な、何よ! 使い魔のくせに文句あるの!?」

 

 

 少女は強気な姿勢は崩さない。ビクビクしながらも、プライドが許さない、という事か。

 何となく、青年は彼女に仲間意識を持った。それと同時に、ワクワク感も湧いて来た。

 故に、青年は答える。使い魔の件、宜しく頼むと。

 

 

「え? えっと……あ、当たり前よ! 主人だもの!」

 

 

 彼女の強気な姿勢を心頼もしく感じ、ぽろっと笑顔が溢れ出す。こんな楽しそうな奴は、自分たちの所でもちゃんとやっていけそうだな、と。

 

 青年はふと窓辺の方を見つめた。その先には真っ赤に輝く赤の月と、真っ青に輝く青の月、現実ではあり得ない2つの月があった。

 

 

 ——俺は、ここにいるぞ……

 

 

 それは、誰に向けてのメッセージなのか、誰にも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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